inatoraの投資日記

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2005年10月05日
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今回はスクリーニングにおける「or条件」の活用について述べたいと思います。使用するツールは「CD-ROM版四季報」です。

個人投資家がスクリーニングだけで銘柄選択を済ませようとすればそこには自ずと限界があることを前回述べました。資金力の問題、および、個々のスクリーニング条件が完璧でないこと、がその主な理由でした。

また、前回には述べなかったですが、「スクリーニングで抽出される銘柄はいつも同じ銘柄ばかりだ」という「ボヤキ」の根本的な要因も、「and条件」だけでしかスクリーニングをしていないことにあるのではないかと思います。

以上のことからも、(完璧とは程遠い)複数のスクリーニング条件を並べるだけ並べて「それらを全て満たす銘柄を探す」という「記号論理上だけの完璧」を追求するとに固執する必要は全くないのではないかと思います。

それよりも、「妥協できるところは『or条件』、妥協しがたいところは『and条件』」と捕らえて、これらをうまく組み合わせた上で効果的な銘柄調査のきっかけにするほうがいいと思います。


それでは、条件の組み合わせ方の話をする前に、論理記号の基礎的な話をしたいと思います。

記号論理の基礎を知っている人には当たり前すぎると感じる話ですが、まず「or条件=足し算」「and条件=掛け算」だと覚えてください。カッコのない四則演算において、乗除(掛け算と割り算)は加減(足し算と引き算)に優先します。例えば、

「3+4×5」

という演算を考えた場合、「3と4を足してから5を掛ける=60」のではなく「4と5を掛けてから3を足す=23」ことが正しいということは小学校の頃に習っています。もちろん、カッコがある場合はそれを優先させるのは言うまでもありません。上記と似たような数値例、すなわち、

「(3+4)×5」

という演算を考えた場合、「3と4を足してから5を掛ける=60」が正しいことになります。

記号論理における「and条件」「or条件」もこれと同様です。条件式がいくつあっても同じですが、イメージをつかみやすくするために具体的な条件でやってみます。以下のような3つの条件、

条件A:PER<=10(収益で見て割安)
条件B:PBR<=1(資産で見て割安)
条件C:株主資本比率>=50(財務が健全)

を考えます。(今回は、PER・PBR・株主資本比率が正しく機能するための前提条件についてはあえて考えません。それは、個別に検討すべき項目だと思います。また、話を分かりやすくするため、赤字でないことを暗黙に仮定しておきます。)

サンプル銘柄として、以下の8銘柄があったとします。(勝手に数字を作っただけであり、ある特定の銘柄を指しているわけではありません。したがって、これは何の銘柄だと質問されても返答に困りますので、ご了承ください。)

銘柄1:PER=5、PBR=0.7、株主資本比率=80
銘柄2:PER=25、PBR=0.9、株主資本比率=70
銘柄3:PER=8、PBR=2.3、株主資本比率=60
銘柄4:PER=9、PBR=0.3、株主資本比率=10
銘柄5:PER=10、PBR=1.6、株主資本比率=30
銘柄6:PER=20、PBR=0.5、株主資本比率=20
銘柄7:PER=50、PBR=4.5、株主資本比率=90
銘柄8:PER=30、PBR=3.3、株主資本比率=40

このとき、条件の組み合わせ方として以下のようなパターンがあります。(ただし、3つを全て使用する場合。)

(1)「A or B or C」
該当する銘柄:1、2、3、4、5、6、7
(2)「A and B or C」
該当する銘柄:1、2、3、4、7
(3)「A or B and C」
該当する銘柄:1、2、3、4、5
(4)「A and C or B」
該当する銘柄:1、2、3、4、6
(5)「(A or B)and C」
該当する銘柄:1、2、3
(6)「A and (B or C)」
該当する銘柄:1、3、4
(7)「(A or C) and B」
該当する銘柄:1、2、4
(8)「A and B and C」
該当する銘柄:1

このように、たった3つの条件の組み合わせでさえ、スクリーニング条件は8パターンあるです。従来どおりのスクリーニング条件、すなわち「A and B and C」に限界があることは何となく分かって頂けたかと思います。

例えば、「財務が健全であることは必須条件として、収益面か資産面のどちらかで割安であれば調査対象としたい」という人であれば、(5)「(A or B)and C」をスクリーニング条件として設定することが考えられます。

今回あえて考えなかったスクリーニング式の意味(PER・PBR・株主資本比率の意味)を実際には考えながら、妥協できる点とそうでない点を自分なりに整理した上で、効果的に銘柄を探すことが出来ることを祈ります。

最後に一つ。気をつけなければいけないのは、そもそも完璧でないスクリーニング条件やその組み合わせに凝りすぎて肝心な投資調査が疎かになってしまうことだけは避けましょう。

今日の言葉:
「重要なのは、どれだけ作業をするかではなく、どれだけ儲ける事ができるかである」
(ラリー・ウイリアムズ)





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最終更新日  2005年10月05日 22時52分43秒
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