桜の園

桜の園

 『フロム・ヘル』


フロム・ヘル
 1888年、ヴィクトリア朝末期のロンドン。貧民地区ホワイトチャペルで娼婦ばかりを狙った残忍な連続殺害事件が起きる。アバーライン警部は、娼婦メアリ、女王の侍医ウィリアム・ガル卿の協力を得て捜査をすすめるうち、事件は英王室も巻き込んだ陰謀へと展開していく。

 諸説ある「切り裂きジャック」についての見解のなかでは、一番映画映えしそうな題材を採用。殺害事件は手口や現場などがリアルで、目を伏せたくなるシーンもある。血を見るのが嫌いな人は見ないほうがよいかも。
当時のロンドンの描写は写真を再現したように正確だ。そして実在の人物であるアバーライン警部とメアリにロマンス(フィクションの部分)はドラマチックな描き方。警部がアヘンで予言となる幻覚をみる場面は、犯人を暗示する為だったのか?ネタばれになるので言えないが、犯人は・・・身近にいた。
世紀末のロンドンの暗黒部分は堪能できるし(エレファント・マンもちらっと登場したり)、貧民街に生きる人々の生活や逞しさが窺えるストリート・ムービーの面も併せ持っている。

 翳りのある退廃的な主人公の魅力はジョニー・デップならでは。
アバーライン警部の助手・ゴッドリー役のロビー・コルトレーン(「ハリー・ポッター」のハグリッド)もいい味だしており、デップとのやりとりも温かみがある。ヘザー・グラハムも「ブギーナイツ」以来の好演で、社会の底辺に生きる女性の生命力を感じさせる。

 照明を使わず、ランプやろうそくの明かりで撮影したというシーンは、ほの暗い映像が雰囲気たっぷりなのだが、視聴環境によっては「暗くてわかりづらい」ケースもあるかも。





© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: