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2010.01.30
啄木のこと(四)
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啄木のこと(四)
はたらけど
はたらけど猶(なほ)わが生活(くらし)楽にならざり
ぢっと手を見る
さて、啄木の歌集を読んでいるのですが、啄木の三行の別ち書きのことが大変気になりまし
た。それと同時に短歌を始めたとき教えられた一行書きについても同様で、なぜ一行書きなの
だろうかとの疑問が非常に湧きました。
短歌革新は明治に始まり、戦後にあっても前衛短歌が一時期風靡しました。しかし、考えて
見るといままでこんな肝心なこと、別けて書くのか一行に書くのか、なぜそうなのか、啄木の
別ち書きを一般の結社なり、歌人はどうみているのか、などについて明確な見解を残念ながら
知りませんし、入門書にもあるいは雑誌等でも読んだことがありません。
あるいは短歌以前の問題かもしれない別ち書きや一行書きの問題を考えることは、案外短歌
の核心に迫ることであり、短歌の本質に迫ることであり、実はいま一番必要なことのように感
じる次第です。
そうした問題をはっきりさせるためには、別ち書きをしている歌人(意識してそうしている
と思うのですが…)、啄木を避けては通れないように思います。
いま少し啄木と関わってみたいとそんな風に思う今日このごろです。
ところでこの歌を、NHKのアナウンサーが朗読するのを聞いた記憶があります。そして、
いま思い出してみると「はたらけど、はたらけどなおわがくらしらくにならざり」「じっとて
をみる」と読んでいたように思います。
しかし、啄木は初句の「はたらけど」で行を変えています。つまり、初句の「はたらけど」
と二句の「はたらけど」とのあいだに間(ま)を置くことに、あるいは啄木の思いがあるかも
しれないのです。
NHKといえば、投稿歌を五行書きにしています。またはがきなどで書く場合そのように指
示してあったように記憶しています。これなども、それでいいのであればそのように、いけな
いのであればいけないとはっきり権威ある歌人なりが言うべきと思います。NHK歌壇を支え
ているのは、そうそうたるメンバーですので…。
わたしは、NHKを非難しているのではありません。一行書きと多行書きの問題をはっきり
してもらいたいと思うだけです。
一行書き、多行書きについては、そのうち自分自身の考えを述べたいと思っております。
(つづく)
参考:石川啄木歌文集
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最終更新日 2010.01.30 08:49:08
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