9月24日(火)
「作歌のヒント」(抜粋:後藤)(40)
著者:永田和宏(日本放送出版協会)
発行:平成十九年十二月二十日
画面の隅に――映像と機会詠(1)
機会詠:事件や出来事に遭遇し、どう感じ、どう対応したかを、歌うもの。
例:戦争詠
目路にとぶ草の 穂絮 を手もて追ふ射撃のひまの身に 疲れあり
山本友一『北窓』
「目路にとぶ草の穂絮を手もて追ふ」という具体、射撃を続けている兵士の視線としては異様にのどかに映ります。緊張している時こそ、何の意味もない些事に目が止るものでしょう。「草の穂絮」が切なくも美しく命を輝かせている気がします。
(つづく)