平成30年5月14日(月)
私と雪と(5)
私の立ってゐた樹立の蔭に、今また私と同じ人影が、
黄昏から彼の推測の一点に私を
私の立ってゐた樹立の蔭に、今また私と同じ人影が、
黄昏から彼の推測の一点に私を切り離して、狙撃者の眼
深にした帽子の庇を反らし、私と同じ外套の襟を立て、
その息を殺した照準の中に、既に私を閉ぢこめてゐた。
「よろしい、もはや! 私は斃れるだらう! まるで何
かの小説の中の……」
――早や、私は横ざまに打ち倒れた。銃声が轟いた…
…、記憶の遠い谺に。
内村鑑三「一日一生」より 歓喜と希望 2022.03.15
詩集「バタフライ効果」(34) 仮想現実 2019.04.02
詩集「バタフライ効果」(33) 鏡 2019.04.01