平成30年5月22日(火)
詩集「測量船」:三好達治(89)
パン(1)
パンをつれて、愛犬のパンザをつれて
私は曇り日の海へ行く
パン、脚の短い私のサンチョパンザよ
どうしたんだ、どうしてそんなに 嚔 をするんだ
パン、これが海だ
海がお前に楽しいか、それとも情けないのか
パン、海と私とは肖てゐるか
肖てゐると思ふなら、もう一度嚔をしてみろ
パンはあちらへ行った、そして首をふって嚔をした
木立の中の 扶養院 から、ラディオの 喘息 持ちのお談議が
聞える
(つづく)
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