著者:金指安行(下田市在住、著者の第三詩集)
発行:二○一八年十一月三十日
発行所:ルネッサンス・アイ
発売元:白順社
年の功
近頃 弱いものに出会うと
同情を寄せたくなる
むき出しの〈己〉の意識が希薄化した分
心は柔軟に広がっていて
怯えている人に会えば
怖がることはないのですよと
励まして上げたくなる
ぎくしゃくしないで
気持ちよく生きていかれるように
ちっぽけなエゴは置いて
謀らず むり押しをせず
悪意のない言葉を
挨拶のように手渡していく
街を明るくするには
程を弁えた人間を育てていくためには
難しい心遣いなど いらない
ほんの少し胸を開いて
笑顔で相手と 向かい合えればいい
そんなことが
ごく自然に思われる近頃
これも生きるという折り合いの中で生まれた
年の功とでもいうものであろうか
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