詩集「バタフライ効果」(22)
著者:金指安行(下田市在住、著者の第三詩集)
発行:二○一八年十一月三十日
発行所:ルネッサンス・アイ
発売元:白順社
耐えている馬
刻々と嵩んでくる重力
馬は
身じろぎもせず推し量っていた
その眼は
ざわめいている
若葉の歓びを見ない
なよなよとしたやさしさを避け
たてがみが 梳 られる
快感の味も忘れて
鏃のように食い込んでくる荒い鞭に
網膜までやられていた
その眼は
かつてもてはやされた
白馬であることを放棄し
終りのない
汗の
苦役のぬかるみを見ていた
馬よ
私のいとしいもの
お前の眼にはいつからか燃えている
黒い感情がある
野に放たれた獣の逞しさがある
忘れている赤い血もある
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