3月28日(木)
詩集「バタフライ効果」(29)
発行:二○一八年十一月三十日
発行所:ルネッサンス・アイ
発売元:白順社
蓄える
昨夜の雨で川は溢れ
普段はのんびりとした川の流れが
逃げ惑う蛇のように川下へと下っていく
これほどの水の量を
空は事も無げに抱えていたのだ
太陽が森を包み
葉は七色の光のうちから緑の光線だけを反射し
あとは事も無げに蓄えている
光は幹に落ち
花や実に思わぬ色彩となって溢れ出す
自分の中の他人
他人の中にも自分
その声に私は耳を傾けていただろうか
私は心に
何人の想いを宿していただろう
それは溢れ出る程には 無い
だが、蓄えることで
私は自分と他人との想いを宿す
昆虫の目を手に入れるだろう
行きたくても行けない日がある
呼ばれても行かれない所が
何時かはきっと適えたいと思うのだが
今はじっと耐えるしかない
深く根に蓄えるとき
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