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2011年10月10日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
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3ヶ月以内投資判断 「中立」
買いのタイミング  現在(上昇傾向と見るも、下値余地に比べて上値余地は小さい)
3ヶ月以内株価予想 2850円

要点

・今期も海外企業買収を軸に、大幅な成長は継続の見込み。
・会員数の表面上の数字を過信すべきではない。
・同業他社比では割高な印象で、時価総額も過大な感じ。
・国内外の有力プラットフォームとの結びつきを更に模索していくべき。



【企業概要】
SNSゲームサイト「GREE」運営。「Mobage」と二大巨頭。無料でゲームを提供し、広告とアイテム課金が収益源。アイテム課金で85%。

海外展開に積極的で、国内会員数2600万超に対し海外では1億人を突破。今期中に買収などで海外の会員数を増やし、国内外で3億人突破を目標に。韓国、シンガポール、英国、オランダ、ブラジルなどに子会社を新設予定。


【業績】
前期は大幅な増収増益。売上は前々期比2倍の急成長。スマートフォンの急拡大で通勤客などの利用が飛躍的に伸び、結果収益機会の拡大に繋がった。

今期も引き続き大幅な増収増益が見込まれている。国内のスマートフォンは未だ拡大余地があり成長が見込めると同時に、海外での収益急拡大も期待される。

会員数の伸びは順調で、今後も海外企業買収を軸に会員数を伸ばしていく公算。ただネット上では「携帯での退会が難しい」と非難の声があがるほど、強引な囲い込みが目立つ様子。結果、会員数の減少が数字上現れないため「実際の利用者数」に対しては参考記録でしかなさそうだ。一方Mobageも同じと言われ、相対比較には有効か。

また広告単価が会員数で決まると見れば、数字は武器と考えている本音も見え隠れする。しかし国内の会員数が表面上でも既に国民の1/5に達し、伸びしろを増やすにはスマホの更なる普及に頼らざるを得ない印象。

12年6月期第一四半期予想(KA.Blog)単位:百万円
売上   23500
営業利益 5900
経常利益 5900
当期純益 6950


第一四半期は未だ成長が続くARPU(加入者一人あたりの月間売上高)が牽引し、順調に前期比増収増益を確認する決算になると思われる。対して増大するデータセンター費用、新規開発コストなどを考えると、利益率の低下は避けられないのではないか。

有利子負債は0。現預金は223億円で流動比率(流動資産÷流動負債 ×100)は189%と財務状況は良好。フリーキャッシュフローは前期データでは124億円の黒字。巨額な買収が無い限りは当面ファイナンスの心配は無いだろう。


【決算を受けた主なアナリストの評価】
GS 投資判断「中立」 目標株価2500円
海外展開の難易度は高いのではないか。

JPモルガン 「ニュートラル」 2350円
国内事業の好調は既に株価に織り込まれ済み。

三菱UFJ   「アウトパフォーム」3500円
ヘビーユーザー化の進行、スマホの普及によって、国内ソーシャルゲーム市場は2013年4000億円超への拡大を予想、同市場において着実に収益を積み上げていくと想定

シティ    「中立」     2750円
株価上昇で良好な業績モメンタムは織り込み済み、現在は、次の業界ナンバー1タイトルを獲得できるか否かを見極める段階と判断。なお、海外事業の拡大期待を織り込むには時期尚早。


各社共に概ね現値よりはやや高いところに目標株価を置いているものの、株価が既に十分高まってきたことから、積極的な買い推奨は減ってきている。このまま各社目標株価の平均値である2850円辺りを株価が超えてきたら、格下げリスクも。また通期営業利益予想も平均で500億となっており、会社計画上限クリアが最低条件となっている。


【理論株価】
買収価値を示すEV(時価総額-現預金+有利子負債)は5396億円。今期予想EBITDA(営業利益+減価償却費)は402億円であり、結果EV/EBITDA倍率は13.4倍となる。同業他社の平均値がおよそ10.2倍と見立てられるが、それらを元に計算した理論株価は1877円となり、現状の株価は事業価値分析上は割高と捉えられる。


【株価推移】
08年に東証マザーズに上場してから株価は一貫した右肩上がりに。リーマンショック後で株式市場が既にどん底であったタイミングも奏功して、その後はIPOらしく上値にしこりのないところでドンドン上値を取りに行く動きが強くなった。

そして昨年6月に上場1年半での東証1部指定替えが実現すると、SNSの急成長を背景に上値追いが継続。上場以後2度の株式分割で勢いを付けると、円高に強い内需株物色の流れにも乗って時価総額は6倍になった。8月以降出来高も急増し、低迷が続く株式市場での異彩高が目に付く。


【テクニカル】
9/8に実質的な上場来高値を記録してから株価は2週間調整したが、足下では再度反転上昇の流れに。株式市場の戻りや野村によるSNS関連投信の設定などを材料に再度上値追いの流れに戻りつつある。

MACDやパラボリックといったトレンド系の指標では上昇継続を示唆。一目均衡表では雲に下値を支えられる形での上昇が続いており、足下は遅行線が実線に沿う形の上昇になっている。

現在の株価位置は短期的なトレンドの見極めが難しいところではあるが、週足などで見ると一段しっかりした上昇トレンドとなっており、長期的には売り転換していないことから、もうしばらく買いが継続していく見込み。

ただし9/8の上場来高値更新後の陰線において、過去最高の出来高を伴って下落に転じている点は相場の転換点も示唆するため、見極めが必要。上場来高値を再度更新してくるのであれば上昇トレンドの継続を確認できるが、それまで強気ポジションに傾け過ぎないようにすべき。

また上場来高値を更新しても、最初の上値目処は8/23から9/8までの上昇分を9/22を起点して当てはめても2700円を少し超える程度。その他の要因を加味しても3000円を超えることはなかなか想像し辛いのではないか。次に出来高がどの節目で急増するかで高値が決まってくるものと見る。

なお今後株高を誘因する要素としてはアメリカで大型のSNS上場が実現すること、反対に出尽くしの恐れが出るのはSNS関連投信設定日10/28を通過することと予想される。


【需給】
足下の株価推移は業績相場から需給相場へと移行している印象。特に時価総額が一時100位圏内に入ってきたのは象徴的な出来事。ただ、事業規模などを考えても現在のポジションはやや過大に映る。

小田急(9007)やいすゞ(7202)よりも時価総額が大きいと言われて、受け入れられる程に一般の投資家はピンときていないだろう。むしろライブドアなどのIT企業の時価総額経営を想起することで、危険水域と感じている投資家の存在が多そうだ。

信用倍率は徐々に売りが増えているところ。直近でも1.3倍と、高値を更新することで売り方の買い戻しが更に期待される水準にはなってきている。

月間ベースでは8、9月の出来高が突出しており、ここから更に上昇トレンドを継続するためには10月も同程度の商いをこなしていく必要がありそうだ。


【同業他社比較】
同社の予想PERは25.6倍、PBRは15.0倍。予想ROEは58.8%、配当利回りは0.4%となっている。同業他社はどういう状況だろうか。


DeNA(2432)
同社と国内二大勢力のSNSプラットフォームMobageを運営。ソニー系。同社と同様に広告宣伝に力を入れ、海外展開に積極的。
予想PERは14.5倍、PBRは6.9倍。予想ROEは45.8%。配当利回りは0.9%

減価償却費が24億円あり、その分利益を押し下げるが、それでも株式価値は同社よりも割安。特に同社は6月決算であり、3月決算のDeNAよりも3ヶ月分先の将来の成長を取り込んだ数字にもかかわらず割高である。


ミクシィ(2121)
SNSサイト「mixi」を運営。最近になってゲームにも力を入れ始め、アイテム課金収入も。法人向けプラットフォームを開拓し、Facebookに対抗。
予想PERは23.6倍、PBRは2.5倍。予想ROEは11.7%。配当利回りは0.4%

PBRは同社よりも低いがROEが小さく、その分同社と比べて妥当な評価というところ。


サイバーエージェント(4751)
ブログ中心のサイト「Ameba」を展開。ネット広告代理店やFXなども幅広く手がける。アメーバピグなどでアイテム課金も。
予想PERは17.5倍、PBRは4.3倍。予想ROEは23.1%。配当利回りは1.3%

こちらも一時期ネット株の先駆けとして、震災直前までは商い急増で大きく買われた。8月に入ってからは主役の座を同社に明け渡した感じ。株価の値動きは参考になりそう。PERやPBRは割安だがROEは同社に劣り、成長性での差を数字上で肯定されている格好。


同業他社との比較では、特にDeNAとの比較が重視されるが、その一点では同社の株価は割高な印象。08年12月からの相対的な値動きでは同社の方がDeNAに対して劣る場面が多かったが、8月以降逆転現象が見られている。売上規模が同社の方が小さい分、成長性の変化率が高くなるため、株式的にはアウトパフォームしやすくなったと捉えられる。

他社も含めた総合的な比較では、やはりPER・PBRは最大であり割高な印象。ROEも最も高いが、それを肯定できるほどの差では無いと思われる。


【課題】
ユーザー層が30代までで3/4超となっているが、課金利用率が高い30代以上の利用を増やすために、年齢層の高い世代に訴えかけるゲームの提供が必要だろう。その辺りで成功しているのは固有ハードを擁する任天堂(7974)と言えるが、スマホがシニア層にまで拡がるのを待つだけではなく、彼らに対して魅力的なソフトを提供できるように力を入れるべきである。

主要なプラットフォーム戦略としてMobageはヤフーと、GREEはauと結び付いているが、より大きなプラットホームとの結びつきを引き続き追求すべき。海外ではMobageはの方はサムスン、AT&Tといった通信大手との結びつきが強く、遅れをとっている印象。

SNS参加のきっかけとして大きいのは友人から勧めか、もしくは普段利用しているプラットフォームからのアクセスしやすさであろうことから、大手プラットフォームが自前のSNSを構築する前に、積極的な提携策を模索していくべきである。

現在の海外での展開も、あくまで会員数の獲得という数字上のメリットのみが追求されているようにも映る。海外SNSで現在大きな影響力を持つパートナーと手を組むことで、実際の利用率増加に繋がっていくのでないか。

国内外全般に、スマホ普及は追い風である一方、通信データ量に対する規制が問題になってきており、国内でも規制が入った場合はその逆風から逃れられないだろう。


※来週の無料レポート公表はお休みさせていただきます。


※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、投資成果を保証するものではありません。





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Last updated  2011年10月10日 09時15分35秒
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