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2011年10月16日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
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3ヶ月以内投資判断 「中立」
買いのタイミング  中間決算発表以後
3ヶ月以内株価予想 350円~420円

要点

・本業のDPE事業の先行きに不安。既存店売り上げも減少に歯止めがかからず、事業規模縮小へ。他事業との連携を模索中。
・株式的には流動性が薄く、一度崩れた需給バランスがなかなか改善できない。
・あまりやたらと事業を広げるよりは、スタジオアリスのように専門性に特化したサービス提供を検討すべきでは。
・TOBやMBOによって市場から離脱する可能性はそれなりにあると見て良い。


【企業概要】
写真プリント店「パレットプラザ」「55ステーション」を展開。携帯電話販売やブライダル関連事業など、プリントのイメージング事業を核として、手広く事業範囲を拡大。


【業績】
前期は減収減益。スマホ普及などによる画像プリント機会の減少や、震災による店舗の直接的な被災、景気減速などの影響で、売上が大きく落ち込んで赤字転落。

今期は増収増益を見込む。震災の影響一巡によって業績回復を期待。ただ最終利益は既に希望退職を募ったことによる特損を計上し、連続赤字の見込み。止血を狙うも、その分減配リスクが高まる。負ののれんも償却し尽くしたことから、利益ベースでの嵩上げが無くなるのも痛手(前期まで各期約2.7億円分計上)。

既存店については不採算店の削減などもあって、利益率は改善していきそう。ただ同業のカメラのキタムラの月次動向などを見る限り、売上は減少傾向に歯止めをかけられない模様。カメラのキタムラに関しては、出店を拡大しているにもかかわらず(第一四半期で11店出店)、前年同期比1割の減少となっており、同社の減少幅はそれよりも大きいと見るのが自然。

また主力のイメージング事業に関しては円高などによる旅行需要の回復などもあって、今期は前期よりも回復するのは間違いなさそう。いかにプリント需要に結びつける「記念日」「特別な日」を消費者に意識させていくか、またその機会を汲み取れるかが肝だろう。そのためにもスマホ画像だけでは満足できないような付加価値の提供が必須である。

携帯電話販売はスマホ需要の拡大により伸びる余地は大きいが利幅は小さい。同分野は参入障壁が低い結果、競合企業が多く、その分利幅が薄くなる構図。主力イメージング事業の前々期の経常利益率が2.6%に対して、モバイル事業は1.3%。前期もそれぞれ0.5%と0.1%となっており、同事業の売上が伸びる分、利益の質は落ちる公算。

第一四半期時点でも2900万の営業損失。iPhone4S効果もあって下期以降は伸びも期待でき、顧客の契約継続に応じた手数料収入という安定的な利益の積み上げは期待できるが、スマホの販売と同時に求められる操作説明などで余計なコストを見込むことも要注意。あまり力の入れるべき分野ではないと思われる。


11年9月期中間期予想(KA.Blog)単位:百万円
売上   8000
営業利益 -860
経常利益 -950
当期純益 -1000


直近3期では連続で中間期は赤字持続、下期に利益を計上するタイプであるため(業界的な季節要因)、中間期時点での赤字は免れないだろう。また、利益ベースでの会社計画はやや甘いと見て、計画下ブレを見込む。

有利子負債は55億円で前期比4.4億円の増加。現預金は14.5億円で有利子負債比率(有利子負債÷自己資本)は162.1%。流動比率(流動資産÷流動負債 ×100)は101%と財務状況はあまり良くない。

フリーキャッシュフローは前期データで2.5億円の黒字。更に何らか大きく事業展開する場合はファイナンスリスクもあるだろうが、3月に自社株消却を行っていることから、当分ファイナンスの意志はないと見るのが適当。


【株価推移】
96年の上場直後、00年のITバブルで1万円後半水準でのダブルトップを付け、以後は長期下落トレンドに。リーマンショック時の08年には288円の上場来安値を記録した。

その後は緩やかな戻り歩調を見せていた中で、今年の2月には発行済株式総数の25%にあたる大規模な自社株消却、株主優待の新設を発表。それらを受けて株価は急騰し、一時1.5倍化する盛り上がりに。

しかしそれらのイベントを消化して、震災で東北の店舗に被害を受けると株価はじり安歩調が続いている。


【テクニカル】
日々の流動性が薄く、不出来の日も多いため週足での分析。中期的にはMACDの暗転が続いていることから、株価は調整局面が長引くものと見られる。その他新値足やパラボリックなどのトレンド系も2月の急騰局面以後暗転したままの状態に。下落トレンド継続を示唆。

一目均衡表でも三役暗転の形が継続中であり、目先底を確認に向かっている状態。3/16につけた年初来安値380円までの距離は指呼の間に迫っており、足下の値動きは底値確認のための推移と言える。

この下落トレンドの転換を期待できるとすれば、次の中間決算発表予定である11/4のタイミングしか見あたらず、それまでは現株価水準前後を漂っている展開を想定。


【需給】
2月の急騰場面は、同社にとって長期上昇トレンドを決定付ける好機でもあったが、3月末の権利落ちが近かったことや震災による被害で需給バランスが一気に悪化。一転バランスを崩して、ここ半年は下落トレンドを形成している。

2月の急騰の際に増えた信用買い残は大方消え、あとは数千株を残すのみとなっているが、それでも日々の出来高に比べればささやかとも言えない水準である。

また2月急騰場面の第三週~震災後までの一ヶ月間の出来高累計が約18万株に達し、以後直近までの半年間の出来高は7.5万株とその半分にも満たない。日柄調整はまだしばらく続くと見られ、何らかのきっかけがないと需給好転までまだまだ時間を要しそうだ。


【同業他社比較】
同社のPBRは0.4倍。予想ROEは4.4%、営業利益率は1.0%。配当利回りは5.2%となっている。同業他社はどういう状況だろうか。


キタムラ(2719)
「カメラのキタムラ」を展開。また携帯電話販売事業も。やはりDPE以外の事業拡大を模索しており、収益源の多様化を図っている。
PBRは0.5倍。予想ROEは2.9%。営業利益率は0.5%。配当利回りは2.0%。有利子負債比率は124.2%。

株式的には同社に比べて流動性が高い分、また財務状態も相対的に健全な分、EV/EBITDA倍率などで比較しても同社の4.9倍に対して7.0倍と割高に買われている印象。株価推移も4月以降はほぼ500円台で横ばいを持続し、安定している。

それ以外の指標は同社の方が優れているものの、四季報予想などを用いると同社は営業赤字継続であり減配リスクもある。結果、同社の株価推移は会社予想に対しての懐疑の表れとも言える。


スタジオアリス(2305)
かつてはDPEで事業を開始したが、現在では全面撤退。七五三などの「こども写真」に特化することで、足下業績が急拡大。事業セグメント的にはあまり重なっていないため、あくまで参考例。
PBRは2.2倍。予想ROEは21.1%。営業利益率は18.3%。配当利回りは1.7%。有利子負債比率は19.3%。

流動性は高く、特に最近では市場の中でも注目株の一つ。月次ベースの売上は徐々に鈍化傾向で、11日に発表された9月分は遂に前年同期比1%台までに落ち込んでしまった。それでも急成長を実現させ、事業転換が成功した好例であり、同社の目指すべき方向性もここにあるように映る。

こども写真への特化から、固定資産に資金を使い過ぎることもなく、有利子負債比率も低く抑えることができている。また利益率も高水準で維持できる。PBRは高くなっているものの、高収益を背景に次第に水準訂正が進むことで将来的に肯定される。


ティーガイア(3738)
携帯電話販売で首位。中国にも進出し、グローバル展開を目指す。こちらもあくまでモバイル事業での比較を見るための参考例。
PBRは2.3倍。予想ROEは33.9%。営業利益率は2.2%。配当利回りは4.1%。有利子負債比率は129.1%。

携帯電話販売に関しては首位であるティーガイアでさえ営業利益率が低い。同社の前期0.1%の利益率からも、その先々の苦戦ぶりがうかがい知れる。海外展開に活路を見出しており、携帯電話販売の国内成長の限界を示している。


同業他社との比較では、特にキタムラとの比較を重視。キタムラの方もDPE事業の限界を感じているようではあるが、共に有効な方向性が出ていない印象である。


【課題】
業務内容が多岐に渡っているが、もう少し選択と集中を進めるべき。ブライダル関連サービスを提供する子会社は、確かに本業との相乗効果が見込める一方で、大手の提供するサービスには敵わない。

ブライダル関連はそのノウハウのフィードバックの繰り返しが顧客満足度を高め、特に神経質に扱う必要のある人生のイベントである以上、規模によるノウハウの蓄積、口コミが成否を握る。結果、相乗効果以上に損失を出すようであれば意味が無い。この分野においては大手との業務提携という方向に道筋を見出すべきであり、独自路線の開拓はリスクが大きいと見る。

それ以外にも写真データ保管サービスのオンライン化など、同社の本業的な部分で提供できるサービスはまだたくさんあるのではないか。クラウド型のサービス提供や、専門技術を駆使した付加価値の高いサービスを考えることで、他社との差別化を図るべきである。

株主還元は2月に積極的に行ったことは好感が持てるが、市場参加者にとっては流動性の確保にもっと気を遣ってもらいたいところ。分割などの余地は乏しいが、それが何よりの株主還元になるものと思われる。

そもそも特定株比率が82.6%と高く、既に親会社(大島社長の管理会社)と自社株などで経営陣過半を握っている。株式的には流動性が低く赤字継続、低PBRでありまた経営陣による業態転換の舵取りが強まるという条件が整っている中ではMBOやTOBの公算も高まる。

富士フィルムや主力取引先のみずほ銀行の賛同(借入)があれば実施しやすい。特に市場で資金調達の目的も無いのであれば、無理に上場を維持する理由も無いのではないか。さしあたって株式消却を実施したことから、すぐにそのような流れになるとは思えないが、方向性としては検討に値すべきものとも考えられる。


※来週の無料レポート公表もお休みさせていただきます。有料レポートにつきましては引き続きお受けしております。

※株式投資は自己責任でお願いします。文中の内容は現時点で予測できる範囲で想定されたものであり、投資成果を保証するものではありません。





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Last updated  2011年10月16日 22時30分44秒
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