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2024.01.21
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カテゴリ: 識別について
1月18日に水元公園で嘴の長さが長いアカゲラを目撃しました。
上嘴先端に欠損した部分が少し認められました。
上嘴先端から頭長までのサイズに占める嘴の割合は約51%、一般的に見かける個体では
約38%でした。このため、嘴が長く見えています。
(嘴の摩耗と成長)
キツツキ類の嘴は木をつつくたびにすり減ることが知られていますが、成長して伸び続けると言われています。想像の域を出ませんが、水元の個体がなにかの事情で木をつつく頻度が低い場合には嘴が成長しつづけることが考えられます。
石田(1988)が飼育下のアカゲラ雄の上嘴が脱落し再成長する過程を写真と共に報告していること、同じキツツキ類のコゲラ雌若鳥で上嘴が異常に伸びた後に元にも取った事例を報告しています。これらの事例から上嘴が急速に成長し、くちばしの利用の仕方によって個体や個体群内でも嘴の長さが変化すると述べています。水元の個体で元に戻るかが注目されます。
(アカゲラの舌と嘴)
鳥類の嘴と舌の長さは比例し、アカゲラの舌は長く5cmもあり鼻孔あたりから頭蓋から後頭部を一周しています。水元の個体で嘴が急速に成長したとしても舌が収納されている余力があり採餌に支障が出なかったとも考えられます。
しかし、水元のアカゲラは私が観察した際は、木の根っこに近い部分でアリなどの虫を捕獲しているような動きをしていました。
(嘴の奇形について)
林(2005)は、標識調査の折、1990年代後半から嘴の奇形を持った野鳥を観察しているとし、2000年代に入ると障害を持った鳥類はすべて幼鳥だったと記しその寿命は短かいものと考えられると記しています。
水元で観察した個体は、頭に赤色部はなく腹部は白いことから成鳥雌と思われます。
仮に奇形が遺伝で発生したのなら成鳥まで生き延びる可能性は極めて低いと思われます。
このため、成長してから肝臓疾患、細菌や真菌によるもの、嘴のタンパク合成に異常があったなどの要因が考えられるのではと思われます。
(引用)
石田健.1988.Two examples of Upper Bill Abnormality in Woodpeckers,
Dendrocopos major and D. kizukiKen Ishida、Abstract Two observations of the woodpecker bill in captivity.山階鳥研報.第20巻.p111-115.
林 吉彦.2005.気になる野鳥のくちばしの奇形.
Bird Research News Vol.2 No.3.p2-3
(写真)













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最終更新日  2024.01.21 14:53:19
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