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2008.05.13
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カテゴリ: let me sleep beside you
その夜、ミリが、ベッドと布団だと、顔も見れなくて、なんだかサミシイって言うから、布団を和室に運び、2枚並べて敷いて眠ることにした。
「ねえ、ケースケ」
「ん?」
「ドラマってさ~、主演は誰なの?」
「ああ、悠斗だよ」
「そうなんだ~。じゃあ、ケースケもちょっとはリラックスできるね。・・・でもさ」
「なに?」
「撮影始まると、結構忙しくなっちゃうよね?」
「そうだな~。ま、俺は脇役だから、そんなにでもないと思うけど、なんで?」
「ん~、なんでもないけど。」
「・・・ひょっとして、サミシイとか?」
「・・・」
「だろ?」
「・・・うん」
俺は、笑って、
「なるべく早く帰ってくるから」

とは言ったものの、撮影が始まってしまうと、早朝からだったり、深夜まで続いたり、時間が不規則で、大学の授業が本格的に始まったミリとは、なかなか話せない日が続いた。
早朝からの日は、まだ眠るミリを起こさないように、しばらくその寝顔を見つめてから出かけた。
深夜までの日は、もう眠るミリを起こさないように、しばらくその寝顔を見つめてから眠った。
でも、そんなこと、ミリには分かるはずもなく、ミリの中には、少しずつ、寂しさが降り積もっていったみたいだ。

珍しく早く帰れた日、家に戻ると、ジュンペーと、ユウヤが来ていた。
二人とも、中学から一緒で今もミリとバンドをしている。
久しぶりにミリの料理を食べながら、幸せだな~と思う俺。
最近、元気なさそうだったミリも、今日はニコニコしてるし、ほっとする。

でも、ジュンペーがろくでもないこと言い出すから、その気持ちもふっとんだ。
「なあ、ケースケ、今日、ミリ、おかしくね?」
俺は、ジュンペーを見てから、隣に座っているミリを見る。特に、、思い当たらないけど。
「何が?」
と言うと、ミリの飲んでいるグラスを指差すジュンペー。あれ?
「な?酒じゃないんだよ、今日は。ペリエ飲んでやんの」
というジュンペーはビールを、ユウヤも同じものを飲んでいるみたいだ。ユウヤは後を引き取って、
「だから、さっきから、妊娠でもしてんのか?って聞いてたんだ」
妊娠?途端にむせる俺。ミリは、また笑って俺の背中をさすりながら、
「ちょっと、あんたたちっ、変なこと言わないでよ。ケースケはこうやってすぐにむせちゃうんだから、食べてるときに焦らしちゃだめだって」
ジュンペーとユウヤは、真剣に笑ってやがる。俺、こんなに苦しいのに。
「てか、ケースケさ、動揺しすぎだって」
「そうだよ、なんか身に覚えあんの?」
と2人。
「ないない。ありえないっ」
と即否定のミリ。てか、ありえないって言うなよな。ありえさせようって必死なのに。と、思っても、まだむせていて言葉にできない。
「じゃ、父親はケースケ以外の誰かなんだ?」
悪ノリがすぎるジュンペー。
「バカっ、妊娠なんてしてないよ。」
「じゃあ、なんで飲まないんだよ。ミリなのに」
確かに、、ミリが友達集まってる場で飲まないなんて、珍しい。
「最近、飲むと、すぐ眠くなっちゃうんだもん」
「それだけ?」
「それだけだよ。」
「なんだ、つまんね~答えだな」
「あのね~」
俺はやっと息が戻って、
「あ~、苦し。死ぬかと思った」
「お、戻ったな、ケースケ」
「よかったな、ケースケ、ミリ、妊娠してないって」
「お前ら、ろくでもないことばっか言ってんじゃねえよ」
「あ、そうそう、ケースケ、ドラマみたぞ」
おっと。それは結構恥ずかしいな。
「なかなかサマになってたじゃん」
「ああ、俺もそう思った」
そりゃあど~も、と思う俺。
「なあ、サインくれよっ」
「あ、俺も俺も」
「うるさいっ」
「てかさ、あれ?」
「なんだよ?」
「やっぱ、キスシーンとかあるわけ?」
今度はミリの動きが止まる。っと、そいういう話題を持ち出すなよな。
「ないよ」
とぶっきらぼうに言う俺。
「まぢで?」
「知らないって」
「でもさ、いつかは、そういうときも来るよな?したら、さ、やっぱさ、可愛い子とキスだろ?その気になったりすんじゃね?お前、お前らの言葉を信じれば、ゴブサタ、なわけだし」
俺は天井を見上げる。視界の隅に、ミリ。
「ありえねえっ」
「ほんとかよ。」
「お前らな」
2人を睨みつけて言ってやる。
「あんまり、そういうことばっかり言ってると、もうこの部屋に呼んでもらえなくなるぞ」

酔っ払いを追い返すように帰してから、片付けるミリを手伝う。やっと2人になれた。
「食器洗い、俺するよ?」
「いいよ。今日は飲んでないから」
「そうか?」
「うん。ゆっくりしてなよ。せっかく早く帰れたんだから」
て言われても、ミリのそばにいたい俺は、洗いあがったのを拭いていくことにする。俺が布巾を出すと、それを見て、にっこり笑って、
「ありがと~」
というミリ。だけど、微妙に目を合わせないし、テンションも低そう。俺は、ミリの手からスポンジを取り、手を流させてから、布巾で拭いてやる。唇が震えてるミリ。膝を曲げて、ミリの目線にあわせてから、聞く。
「さっき、あいつら言ったこと気にしてる?」
俯いたままのミリ。だよな。気にしてたって、今のミリの立場じゃ何も言えるはずがないだろう。だけど、俺は、自分が情けなくなる。全然、ミリに、ミリだけを揺るぎなく愛してること、伝え切れてないなんて。最近、メールや、メモでしか伝えられなかった言葉を口にする。
「ミリ、愛してる」
やっと顔を上げるミリ。目が合う。ミリの目には、ミリが愛しくて仕方ないからこその微笑みを湛え、目を細め愛しく愛しく見つめる俺の顔が映る。ほっとしたようにうなずくミリ。その笑顔。上出来。
食器洗いに戻るミリ。俺は、ひとつずつ、丁寧に拭いていく。
その壊れ物を、ミリの心のように大切にあつかって。
丁寧にグラスのくもりも磨き上げて。
ミリの心のくもりも、、少しずつ磨いてあげられたら。
そして、その間も、何度も繰り返し思う。

愛してるよ、ミリ。



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最終更新日  2008.05.13 00:09:06
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