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今日2016年5月14日は、日本百名山第74座目となる南アルプス塩見岳(3047m)にアタックです。
中央道松川ICを午前零時に通過、鳥倉林道を経て越路駐車場を目指します。林道は、落石や落ち枝等はあるもの全線舗装されていて、快適に走る事が出来ました。午前1時過ぎに越路駐車場に到着、約30台停められる駐車場の先行車は、山小屋の関係者と思われる軽トラ1台のみでした。軽く腹ごしらえをして出発準備、午前1時30分に駐車場先のゲート(標高1630m)をくぐってスタート。GWに家事で痛めた腰の痛みが残っていてリハビリを兼ねての登山です。しかしリハビリには長い山行、一末の不安がありますが、もしダメならいつでも引き返そうと気楽です。長野県警に直接、登山届を提出しているので、登山者カードのポストはスルー。しばらくは舗装された立派な林道歩きとなります。午前2時10分、鳥倉登山口(標高1790m)に到着です。
ここから本格的な登山道となりますが、すぐに倒木やらで不明瞭。マーキングは、カラマツの幹に透明のビニールテープが巻きつけてあるので、これを頼りに登りますが、ナイトである上に、あちこちに同様のテープが巻き付けてあり、どれを頼って登れば良いのか解らず、ともかく直登気味に登る事30分、ようやく三伏峠まで10/1の立て札を見つけました。ルートが誤っていない事にホッとするものの、えぇ~。まだ10/1!? ここから先の登山道は明瞭です。約15分毎に立て札が現れる感じで、ペース配分には役立ちます。このルートは水場が少ないので途中「ほとけの清水」で水分補給です。まさに南アルプスの天然水。冷たくて、なんて旨いんでしょう♫
すでに残雪は無く、夏道ですが、途中、沢越えの丸太や階段等は、しぶきで濡れているところもあり、滑らないように注意しながら高度を上げて行きます。途中、塩川ルートとの分岐に午前4時28分に到着。塩川ルートは、崩落の為、通行止めの案内が貼ってあります。また、塩見小屋は、現在営業休止中、7月初旬営業再開の案内もありました。(※テン泊も禁止なので、これから登られる方、注意してください。)地図によれば、三伏峠まであと30分、この時期は夜明けも早く、もうヘッテンも必要ありません。三伏小屋まであと200歩の立て札に苦笑です。
先を急ぎます。午前4時58分、三伏峠(標高2580m)に到着です。三伏峠は、日本で一番高い峠と言われており、深田久弥さんの日本百名山によれば、昔は、伊那から、この峠から大井川上流に下り、デンツク峠を越えて甲州の新倉へ出る伊那街道があり、かなりの往来があったとの事、昔の人たちの健脚ぶりはスゴイと改めて感心しました。この峠の横に、立派な三伏小屋がありますが、ひっそり静まり返っていて、テン場も利用者はゼロ。小屋番の方が1名いらっしゃるのみでした。
ここから次の目標である標高2658mの本谷山を目指します。ここから残雪が登山道にかなり出てきます。まだ朝早いので、ツボ足になる事はありませんが、帰りは気温も上がって踏み抜きも多くなるのではと、気が重くなります。三伏峠から20分ほどの三伏山の頂上からは、周囲の山々の素晴らしい眺望が楽しめました。
午前6時32分、本谷山(標高2658m)に到着です。ハイマツに囲まれていて、あまり眺望は良くはありません。ここから次の目標はゴーロ。緩やかに下りが続くので足への負担は少ないものの、腐れ雪に足を取られやすく、トレースも不明瞭なので注意しながら先を進みます。ようやく目指す塩見岳の姿がハッキリ目視できますが、これがまた遠いし、高くそびえていて、あんなところまでコースタイムキープしながら登れるのかなぁ?と思える距離感です。ゴーロから先の次の目標は、塩見岳の核心部である塩見小屋を目指します。樹林帯のキツイ登りになりますが、ピンクテ-プでマーキングされているので、コースを見失う心配はありませんでした。
午前9時、塩見小屋に到着。小屋のまだ約半分ぐらいが、雪に埋もれています。背後には、目指す塩見岳の西峰、東峰がそびえています。青空の中、素晴らしい眺望です。小屋は7月初旬までは休業中で、立ち入り禁止、テン泊も禁止と張り紙があります。
次の目標はテング岩、バットレス、ここからは、夏道のガレ場となり残雪はありあませんが、かなりモロイのでスリップしないように注意して登ります。天狗岩の下で、更に岩場が続く為、身軽になる為、アイゼン、ピッケル、ストックをデポ。このデポが後でとんでもない失態につながるとは思ってもいませんでした。天狗岩から西峰までは、高度感のある岩場で、もろい岩質の為、ヘルメットを着用、落石にも注意しながら登ります。黄色いペイントでマーキングがあるのですが、かなり薄れていて、ところどころコースを見失い、ボルダリングの要領で、三点支持で急峻な岩場を直登しました。
午前10時45分、誰もいない標高3047mの西峰に登頂成功です。時折、霧が昇って来てガスッてしまいますが、周囲の南アルプスの眺望は素晴らしいものでした。
休憩もそこそこに、約5分ぐらい先の東峰を目指します。東峰は標高3052mと西峰より5m高いのに、なぜ百名山を東峰で無く西に定めているのか、おそらく三角点の設置場所によるものでしょうが、理由は深田さんの日本百名山には記載されていません。
しばらく360度の眺望を楽しみましたが、風もやや強くなって、ガスって来たので、長居は無用と下山開始です。ようやく天狗岩まで下山して、デポしたアイゼン、ピッケル、ストックを回収しようとしたところ、あるハズの場所に無いのです。誰も塩見岳に登っていないので、クマかサルに持ち去られる以外は、あり得ませんが、こんな3000m越えるような場所にそんな動物がいるわけもありません。気を取り直して、同じような場所が他にもあったかもと、下山をしますが、見つける事ができません。結局、見つける事が出来ないまま塩見小屋まで下山してしまいました。だいぶ疲れていて、どうしようか迷いましたが、この先、アイゼン、ピッケルはともかく、ストック無しでは、この長いコースを腰の痛みを抱えて下山する事は出来ません。それにデポしたアイゼン、ピッケル、ストックは、あの積雪期の常念岳を無事に登らせてくれた相棒です。容易く見捨てるわけにはいきません。見上げる天狗岩までの距離、登り返すのに心が折れそうになりますが、奮起してあえぎあえぎ登り返し。デポした場所を見落とさないように慎重に登り、ようやく見覚えのある場所に到達、「あったぁ~!!」と思わず叫んでしまいました。(下の写真の右奥の岩陰にデポしていました。)゚
めちゃテンションが下がっていましたが、俄然、元気を取り戻し、塩見小屋まで戻りました。やれやれと遅めの昼食のカップラーメンとお握りを食べようと、コンロに着火、ところが直ぐに消火してしまいます。標高3000m近くで、ガスが気化しないのに気がつき、「しまった高圧ガスカートリッジを持って来るのを忘れた!!」仕方なくラーメンを諦めてお握りだけ頬張ることに。そんな事をしていると、下から登って来るパーティが。塩見小屋を、掘り返す作業に来たと言う小屋のスタッフの皆さんでした。今回の塩見岳登山でお会いしたのは、この方々とゴーロ近くで、この方々の後を追って登って来られた3名のパーティだけでした。ゴーロを過ぎて本谷山までは、行きには、あまり気にしなかったのですが、下山でありながら、これでもかと思う程、ずっと登りが続くのです。急登ではありませんが腐れ雪もまとわりつき、ジワジワとボディブローのように疲れが増して行きます。更に三伏山までも何度かコルとピークを繰り返して、ようやく午後5時20分、三伏小屋まで無事下山しました。どちらにしても夕暮れまでには鳥倉登山口までには下りられないので、慌てずに腹ごしらえして、ベンチでごろりと。なんと心地よい事でしょう。昨日から一睡もしていないので、そのまま寝込みそうになります。10分ほど仮眠して、鳥倉登山道を下山します。
途中、「ほとけの清水」で、頭や体の汗を流してリフレッシュ。もう夕闇が迫っておりヘッデンを点けて下山を急ぎます。10/1の立て札から登山口まではルートが不明瞭であったので、特に慎重に下山、午後7時40分、真っ暗な登山口に到着です。ここからは林道歩きですが、行きはそんなに感じなかったのですが、ともかく、これでもかと言う程、長い。とても綺麗な舗装道路が逆に脚に負担となり、恨めしく思います。午後8時35分、無事に越路駐車場に到着しました。日帰りピストンでは、かなりキツイコースではありましたが、つつましやかな塩見岳は、素晴らしい3000m峰でした。次は、南アルプスの聖岳か光岳にアタックしたいと思います。
【コースタイム】休憩含む
越路駐車場 ~ 三伏峠 ~ 三伏山 ~ 本谷山 ~ ゴーロ ~ 塩見小屋 ~ 天狗岩 ~ 塩見岳(西峰) ~ 塩見岳(東峰)(日帰りピストン)
・登り:9時間15分
・下り :9時間(デモ装備収集の為の登り返しロス含む)
・合計:18時間15分
【歩行距離】30.35km(登り返し含む)
【歩 数】46704歩