香納諒一執筆日記

《再開、香納諒一執筆日記！　ぎっくり腰にうなりつつ、構想にもうなる香納おいちゃんなのだ。》

６月２４日　金

　読書しつつ、新作の構想。２、３本やりたいものが出ているので、そのどれに着手するかを考えつつ、ディテールを練っていく。ずっと待ってもらっている出版社の連載から、まだ企画になってさえいない作品まで、状況は様々だが、とにかく自然に書き出せるものから着手したい。

６月２５日　土

　朝から息子の小学校の学校公開。朝５時ぐらいまで、本を読んだり構想を練ったりしていたので、眠い。１時間目を聞いたあと、帰宅して寝直し、あとは６時間目を聞く。担任の先生が男になって、息子は喜んでいるようだ。

　６時からは、森村誠一先生が会長をやっていらっしゃる会の小説教室。小説を書き続けるという生き方は、精神面に於いても、収入面に於いても、ハッピーになることと不幸のどん底に落ちることの繰り返しで、他人に薦められる生き方ではないが、そういう生き方をしたいという方たちが集まっていらっしゃるので、応援したい。作品を造っていく過程について精一杯話す。

　９時からは宴会。１１時にお開きになり、場所が渋谷だったので、家まで歩いて帰る。飲んだあとの１時間ぐらいのウォーキングが快適で、最近はこうして歩いて帰れる場所でしか飲まないようにしている。

　帰宅すると、酔いもいい感じで醒めているので、飲み直し、帰りに買ったカップ麺など食べる。４時頃就寝。

６月２６日　日

　９時から１時まで、少年野球の練習。結構疲れた。帰宅し、昼食後、仮眠。４時半頃から机に向かうが、大量に汗をかいたせいで体が火照っている。これでは構想は立てられないので、今日はスパッと仕事はあきらめて読書。

　夕食後、何十年かぶりで酒を抜いてみる気になり、一杯も飲まずに過ごして１２時頃就寝。わおっ。

６月２７日　月

　１０時頃起床。肉と野菜をいためて朝食。少年野球の練習で頑張りすぎるせいか、今朝もアキレス腱が猛烈に痛く、今日はついに日課の軽い筋トレはパス。代わりに、念入りにストレッチ。昼頃から仕事。書き出したい作品を再確認し、どれから着手できるかを考える。ある出版社の連載を、もうずいぶん待ってもらっているので、なんとかこの長編に取り掛かりたいが、去年、一度構想を立てたにもかかわらず、結局は納得のいく形にまとまらなかった。今日も最終的には、その作品の構想。だが、夜に至っても、どうにもしっくりと来ない。

　夕食後は読書。ショートショートを読んでいる。今日も酒を抜くつもりでいたが、結局飲み出す。

６月２８日　火

　今日もアキレス腱痛いが、仕事に時間を割きたいので、鍼灸等の治療はパスしてみる。今日も昼頃から仕事。着手したい新作を一応３つほどに絞り込む。このうちのふたつは、結局は同じテーマというかアイデアを、どこに倒すかで生まれる２本だ。どう書くべきだろうか。

　今回は、考え過ぎず、できるだけ早くに着手してみたいが、それにしても今日はまだ結論が出ない。作品が気になり、結局、深夜に至るまでずっと仕事。疲れ果て、３時過ぎに就寝。

６月２９日　水

　左足のアキレス腱、ちょっと良くなったかと思ったら、午後、お勝手でちょっと屈んだ拍子に、左腰がぎくっとなる。そして、あれよあれよという間に猛烈な痛みになり、左のぎっくり腰をしたみたいだ。私は首が凝り過ぎてぎくっとなったことは何度かあるのだが、腰に来たのは生まれて初めて。これがその痛みか、と納得し、次に小説に書く時には臨場感が出せるなどと考えつつも、痛みのほうは笑いごとじゃない。

　今日は行きつけの鍼灸院がお休みなので、堪えつつひたすら構想。一応、これで行けるか、という形を定める。

６月３０日　木

　朝起きて一番で行きつけの鍼灸院に電話をすると、ちょうど１１時が空いているという。この先生は名医で、患者さんがひっきりなしにいるので、これは正に奇跡。喜んで飛んでいく。ついでにアキレス腱がずっと痛かったことも告げて一緒に治療してもらう。結局、左の腰から左の爪先にかけて、全部、猛烈に凝っていたようだ。

　まだ痛みは残るが、大分楽になり、午後からは、仕事を慎重になりすぎないのにいい機会なので、思い切って書き出してしまう。今日はピアノ教室の日だったが、腰が辛いのでそれはお休みを貰い、深夜までひたすら仕事。書き出しを６枚。腰は相変わらず痛いし、いいのか悪いのかわからない。判断は明日にしよう。

軽く飲んで就寝。

７月１日　金

　新作、出だしをさらに２枚。しかし、どうもしっくりいかない。これで書き出すと、ファーストシーンにおける物語の「初速」が弱い気がする。かといって、盛りすぎたくはない。どうしたらいいかを考え出して、今日はそれ以上は書けず。夜は読書。

７月２日　土

　今日も朝からずっと新作の書き出しで悩む。腰の痛みはほとんど抜ける。息子が微熱が出てしまったので、少年野球の練習は父子そろって休み。仕事が押していない時ならば、コーチとして私だけでも出席したいのだが、今週末はそういうわけにもいかなそうだ。何をどう直していいかわからず、ひたすらにうなり続ける。

７月３日　日

　今日は息子は少年野球の試合。私は仕事が一向に進まないので、仕方なく家で悩み続ける。書き出し、何かを変えなければならないのだが、どう変えればいいかわからない。このままでは、発端となる依頼人の男の死やその人間像も、主人公の人間像や事件にかかわる動機も弱い。

　深夜に至って、ファーストシーンで依頼人が訪ねて来る展開を、この男の死体が見つかり、刑事が訪ねて来ることに変えたらどうだと思いつく。この線で構想。

　構想がまとまらないのが気になって、今日は深夜も読書が手に着かず、結局３時頃まで悩み続ける。

　わっと酒を飲み、５時頃就寝。