日々のあぶく?

日々のあぶく?

April 11, 2006
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未読の(いつか読もうとは思っている)岡嶋二人(共同ペンネーム)氏のお一人だったとは。
何にも知らない自分に気付かされた一冊でもありました(笑)

招霊木の枝を持ち、相談者を霊視、時には除霊などもし、社会的事件を解決に導きもする盲目の「霊導師 能城あや子」、
彼女のマネージャー兼チームの主導権を握る鳴滝昇治、
調査対象(相談者候補)の家に潜り込み、調べ上げる草壁賢一、
主にネットで情報を集め、能城あや子に情報を伝える藍沢悠美。
バランスの良いチームである彼らは今日も相談者を調べ上げ、救いの手を伸ばすー

一章、二章という数字が点字表記(図)になっているのが、細かいところもやって(仕掛けて)くれたな!と思わせる。

招霊(おがたま)・
TVプロデューサーに誘われるままに「霊導師 能城あや子」を作り出した鳴滝。
それ(真実)を知っているのは極少数だ。
草壁と悠美がメンバーに加わってから、彼女の霊視は格段に精度を増したと評判になっている。
(調査の精度が増したことに比例している。)
今回のマル対(調査対象者)は桂山博史。
桂山はあや子を陥れよう(霊視は詐欺だと証明しよう)と動くゴシップ記者・稲野辺俊朗と組んでいた。
桂山を調べるうちに、彼らがあや子らに仕掛ける罠を見抜き、
反対に、桂山の抱える妹自殺の真相によって彼の口を封じることに―

TVの1コーナーだった霊視が人気になって独立、人気を博しているというのは今ある風潮にあっていて、ニヤリとさせられた。
霊視はしてないから、その点から見れば詐欺なのだが、調査はプロだし、結果として人を救っている。
爽快である。

金縛(かなしばり)・
悠美がパソコンでの情報処理能力を格段にアップさせ、この世界に入るきっかけとなる(高校の同級生・富塚真希に殺到した迷惑(エロ)メールを撃退したという)事件とからめて描かれる。
金縛りにあい、しかも、目覚めると怪我をしているという相談者・杵淵珠絵。
金縛りの真相とは?

"能城あや子"の能力を不動のものにするために番組スタッフのことまで調べ上げているとは!
草壁&悠美の調査は素晴らしい。

目隠鬼(めかくしおに)・
「能城あや子」誕生秘(!?)話と共に進む。
今回の相談者は突然人が変わり、キツネにでも憑かれているんじゃないかと友人に連れてこられた松原三智子。
あや子は過去に彼女が逃げ出し、生み出した鬼を暴き出す。

これはちょっとご都合主義というか、設定に無理がある気がした。
霊などを信じず、現実主義であり、辛辣な発言をポロリとこぼす素のあや子がピシリと引き締めてはいるが。

隠蓑(かくれみの)・
名を偽り、相談者としてあや子の前に現れた稲野辺。
しかし、正体を看破され、しかも、彼があや子を追いまわすきっかけとなった事件の真相を知らされた彼は―

状況で犯人が分かるが、動機までは解明されないのがちょっともどかしい?

雨虎(あめふらし)・
自宅に幽霊が出るという相談者・津野田葎子の家を探る草壁。
幽霊と思われる声の居所を突き止めた時に浮かび上がる事件があった。

寄生木(やどりぎ)・
相談者として名が挙がっていた恩田光枝が自殺したという。
調査途中で打ち切りとなったが、(調査の途中経過を見て)自殺とは思えない悠美は独自調査を続ける。

潮合(しおあい)・
能城あや子と鳴滝の過去を知る五十嵐が現れる。
相談者が知らずに盗撮されていたビデオに(相談者を調査するために潜り込んだ)草壁が写っていたという。
彼らの過去(正体)と共に展開する。

陽炎(かげろう)・
五十嵐が手にしていたのと同じテープを手に入れた稲野辺は写っていた男(草壁)からあや子を追及しようと奔走するが―

追う者と逃げる者。
稲野辺の視点で進む。

最後に彼らの不在が判明し、
稲野辺の妻が言う。
「彼らは手法こそ(空き巣のようなこと、霊視と偽った詐欺など)方を犯していたかもしれないが、人を救ってい、時には事件も解決、世の中の役に立ってもいた。」
「どこに被害者がいるの?」と。
何が悪くて、何が良いのか、その境界線は曖昧だ。

原因不明だった相談者の悩みに霊という名を与え、除霊(解決)するというのは
ちょっと違うが、京極堂の手法に通じるものがある気もした。





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Last updated  April 13, 2006 10:14:36 PM


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