日々のあぶく?

日々のあぶく?

April 12, 2006
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L県警本部、刑事部捜査一課の終身検視官の異名をとり、
上にも気にせずものを言い、そんな彼を気に入った司法解剖を担う大学教授達のが彼を手放さないという噂もあり、
彼を校長と慕い、心奉者も絶えない倉石義男(52)が臨場し、事件を解決する。

赤い名刺・
倉石の下に検視担当の調査官心得として二年前に配属された一之瀬和之は数年後の警視昇任を約束されたポストにいる。
今回の臨場(事件現場に臨み、初動捜査にあたり、自殺・他殺の判断の一端を担う)要請の対象者は一之瀬の不倫相手だった。
彼女の元に残した自分の名刺によって容疑者になることを恐れた彼は倉石と行動を共にする。
自分に降りかかる火の子を払うため縊死と判断するも、自責の念に耐えかねて倉石に連絡する。

眼前の密室・
県民新聞の記者・相崎の(警察)官舎の張り込みに付き合う上司・甲斐の妻・智子。
彼らが張り込む中、行なわれた密室での殺人劇。
ココでは倉石ばりの推理力を見せる智子が活躍。

記者と刑事(その家族)との夜回り、朝駆けの情報を貰おうとする駆け引きは大変なんだろうなーと人ごとながら改めて感じた。

鉢植えの女・
出会い系サイトがきっかけで付き合いだした年下の彼を独占しようと心中した裕子。
彼の浮気を確信しての犯行だったと思われるが、その真実は?
昇進を打診された検視官心得の一之瀬の卒業試験ともなる。
見立てを倉石に差し戻された頃、倉石を快く思っていない高嶋捜査一課課長が(倉石を)呼び出す。
ダイイングメッセージとも遺書とも取れる短詩を残して死んだ男は自殺か他殺か?

餞・
退職間近の刑事部長・小松崎周一。
彼の元に13年間届いていた差出人不明の年賀状と暑中見舞いにこめられていたものとは?
彼の退職間近に起きた殺人事件の解決と共に倉石が活躍。
彼の退職に餞を贈る。

声・
実務修習生としてL地検に来ていた斎田梨緒が自殺した。
それぞれ結婚していながら、彼女に興味を持った検事・三沢と検察事務官・浮島はそれぞれ彼女の気を引くため、取り入る隙を作るための仕事を(彼女に)回していた。
だが、それが原因で自殺したのかもしれないとお互いに探りあう。
倉石の見立ても自殺だが、その原因とする予測は違っていた。

真夜中の調書・
L県警刑事・佐倉が自白させた強盗殺人事件の犯人・深見。
しかし、そのことに対して倉石から「DNA検査をちゃんとやれ」という連絡が入ったという。
倉石の能力は聞いていただけに、面白くはないが、気になった佐倉が改めて導き出した犯人とは―

黒星・
元婦警・十条かおりが自殺した。
自殺としか見えない現場でただひとり、倉石は他殺だといった。
昔、彼女と同じ人に恋して、お互いに振られた小坂婦警は倉石と共に調べることに。

十七年蝉・
十七年蝉というキーワードと共に、移動を拒む倉石。
異例の抜擢で調査官心得になった永嶋は昔、レイプされて自殺した彼女のことを忘れずにいた。
若者が殺される事件が起き、それを倉石は十七年の事件と繋げようとしていた。
永嶋は何故、心得に抜擢されたのか?
事件は連続しているのか?

~ネタバレメモ~

赤い名刺・犯人は検死に来た「若先生」。押戸を難なく開け、前に部屋に来たことがあることを示したことが(犯人断定の)ポイント。

眼前の密室・加奈子夫人を殺したのは赤石デスク。大信田警部の息子が、母(加奈子)に「ハエ」といわれて追い払われた赤石を見て、(赤石の)息子を虐めていたことを恨みに思っての犯行。

鉢植えの女・彼女がその時感じた浮気は勘違いだったが、心中したのは本望だったろうと彼女の表情から判断。無事に卒業試験をパスする一之瀬。短詩を残した男は自殺だが、監禁されたことをダイイングメッセージとして短詩に残していた。倉石の能力を認めた高嶋と言う構図。

餞・手紙の主は小松崎を捨てた生みの母。彼女は老人ホーム近くで死んだのは自殺ではなく、事故だったことも倉石が解き、最後まで餞を送る。

声・男を裁くと判事を志望していた梨緒は男を憎んだのではなく、父に犯され、母に憎まれ、男に襲われた女である自分自身を憎み、自殺した。

真夜中の調書・B型の深見、O型の妻からA方の息子が生まれたという、血液型の不一致から離婚した深見だが、実は特殊なDNAを持っていたため、本当の息子だったが、血液型が変わっていたということが判明。別れたままの息子が起こした殺人の罪をかぶろうとするが、それが父親のすることではないと諭され、真実を話すことに。

黒星・自殺と分かっていながら、なぜ彼女が自殺したのか(振られた人を忘れられず、結婚した自分の生活を受け入れられないままだった)を解き明かすために倉石はわざと他殺だと断じ、甘んじて黒星を受け入れていた。

十七年蝉・永嶋の自殺した彼女・朱美の父親(結婚も認知もしなかったくせに、自分の遺伝子が途切れたことに執着し、原因となった若者、ひいては付き合っていた男を恨み)が衝動的に殺人を犯した可能性が高い。キーワードとなる十七年ごとに生き残るために大発生する蝉の話をしたのも朱美の父親だった。朱美を臨場した倉石は永嶋と現場に居合わせており、彼の救済も兼ねて抜擢していた。倉石は自分が病で老い先短いのも分かっていたというラストは切ないが、"職人"を全うさせる彼の姿勢に頭が下がった。





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Last updated  May 22, 2009 04:33:16 PM


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