幸せな大学生活。

2004年5月

存在感は十二分にあったその女の子。
僕は運命めいたモノを彼女に感じていた。

彼女は僕から見たら1つ下の学年になる。
彼女はいつも回りに数人の女友達や男友達を引き連れていた。
しかしグループになっても彼女だけは突飛していた。
ゴシックロリータ。
否、それ以上にその内からくるオーラ。
しかし客観的に見たら、彼女の見た目は世間ではマイノリティのカテゴライズになる
ゴシックロリータ。
ファッション。

『ファッションとは究極の自己満足である。
贅沢品を求める時、妥協なぞ許されない。
似合わない服装に贅の限りを尽くしていくのも一つの生き方。
誰のためでもない、自分の為に被服は着るものだから。
しかしながら彼女にはゴシックロリータが良く似合った。
それは生まれ持った一つの才能である。』

彼女と初めて言葉らしい言葉を交わしたのは僕が保健室に3回目に足を運んだ時だった。

1回目に保健室に訪れた時彼女はリストカットしたてだった。
出来たてホヤホヤの手首のラインに包帯を巻いていた。
この時僕は躁の最頂点状態で話なぞ出来る状態ではなく、一箇所に10秒と留まる事が出来ないくらいの気分の高まりかただった。

この時に保健室を訪れた時の用事は先にも書いた…

「レントゲンでの異常」

僕は背骨がSの字に湾曲してしまっているらしかった。
僕はこの時何故か自分が躁鬱病であることを大々的にカミングアウトして薬を皆に見せ帰ったのだった。
恐らくリストカットの傷跡を見て性的興奮を覚えた結果だろう。

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2回目に訪れた時には彼女はそこに居なかった。
別段用事など無く顔を出した。
彼女に会いたいのかも知れなかったが下心は少なくとも無かった。
2回目に訪れた時は典型的な5月病の女の子のカウンセリングを僕が手伝っていた。

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僕は保健室に顔を出して3回目でまた彼女に会う事になった。
それは自分が作り出した偶然だった。
後から聞くと彼女は毎日保健室に登校していたらしい。
その時の彼女は上下ジャージで便所サンダルといういでたちだった。

僕が話しかけようとすると彼女は向こうから唐突に僕に「携帯持ってる?」と話掛けてきた。
この御時世、携帯電話を持っていない大学生を探すほうが遥かに困難な作業だ。 
僕はポケットから携帯を取り出した。

携帯には年上の女性とのプリクラが貼ってあった。
付き合っている関係ではなかったが僕は「コレが俺の彼女」と見栄を張った。
彼女は少し不満げな表情を浮かべていた。

結局その場で赤外線通信を使いお互いの連絡先を交換した。

そこから二人の間は急速的に近くなった。


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