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おっと、すっかり留守にしちゃいました。気まぐれ猫デス。
こえめ
です
でも、マナーを守っている人は、素敵だと思うのです。
センスの良い携帯灰皿、一つ持ってみませんか?
こえめにモテるよ。 (あ、ここ、笑うところね)
夏実との回想は前回で一区切り。
真矛と実夏、それからどうした?
魔法の真矛ちゃん(9)~(11)と連動しています。
―真矛・告白― (7)
実夏はそのあと、実際に小鳥を呼び寄せる魔法を使った。
それから私は少しずつ、みんなと仲良くなっていき、
小学3年のとき、私と実夏は、
クラスの子を誘って魔法ごっこを始めた。
最初にやったのは、箒(ほうき)に乗る練習だった。
そんなの魔法とは何の関係もないと思ったが、
リカさんの話によると、
この世界で人々が考える魔法使いとは、
杖をもち、箒に乗って空を飛ぶものだというのだ。
実夏と一緒に声をかけると、意外にも興味を持つ人が多くて、
二十人くらいが放課後の裏庭で
修行と称して魔法ごっこに興じた。
そのうち親から、
小学三年生が夢中になるには少し幼稚じゃないかと言われて
やめていった子達も何人書いたが、
なぜか新しく興味を持つ子達が入ってくるので、
常に同じくらいの人数を保っていた。
裏庭でがやがやと、でも本人達はいたって真剣に、
掃除用の箒にまたがり、
高いところから飛び降りた。
飛ぶということは、そういう事じゃないのに
という気持ちが段々強くなってきた私はある日、
リカさんに聞いてみた。
「ねえ。どうしてみんな、飛ぶのに道具が必要だなんて
思うのかしら?」
オーブンの前に屈んで
ビスキュイクッキーの焼き具合をみていたリカさんに
そっと訪ねてみたが、
「その時が来れば、自然にわかるものよ」
と言うだけで、他には何も教えてくれなかった。
私はどうするべきか分からず、
とりあえずそのまま、箒の練習をする子達を
励まし続けた。
箒のない子は順番がまわってくるまで、
鉄棒や平均台にまたがったりと、
みんな一所懸命だった。
その様子を見ているとき、
ある日違和感を感じた。
その違和感というのは、何というか、
本人が目の前に居るのに、
何かがその周りを取り囲んでいるように、
歪んで見えるのだ。
めまいに似た感覚で、ぼうっと霞んで見えたのだ。
でも、めまいなどではない。
その証拠に、すぐ向こうで鉄棒から落ちて泣いている子の
シャツの背中が汗で滲んでいたことや、
地面にいたずらがきしたかえるの絵が
はっきりと見えていたのだから。
「彩葉!」
私は何か怖いような気持ちで、薄れていく姿の名前を呼んだ。
( 次のお話 )
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