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タイトル変更しました。旧 最新 詐欺「法務省を語る」&ブレイクの描く地獄 → ダンテの描いた地獄の図& 法務省を語る詐欺師
一昨日、母の所に詐欺(さぎ)の手紙が届いたらしい。
以前1度オレオレ詐欺で振り込み寸前までひっかかった母の所には、以降、度々詐欺らしい電話がかかるように・・。おかげで母は家電にほとんど出なくなった。
昨年末は、「あなたのカードが詐欺に使用されたらしい。」と警察を名乗る電話が。
「カードは家にありますよ。」と言うと、「確認に家に行くので住所を教えてください。」と言うので「警察が住所を聞くのはおかしい・・」と詐欺だと気付いたらしい。
これは近年最も主流になっていた年寄りを騙す詐欺師の手法であったが、一昨日、新しいのがやってきたのだ。 今度は法務省を名乗る手紙らしい。
そんな訳で詐欺師に憤りながら、彼らがどんな地獄に落ちるのか? 「ダンテの神曲」で拾ってみた。
それにしても、詐欺師の罪は重い。殺人ではないから、たいした罪ではないかと思っているのかもしれないが、道徳的観点から言えば暴力を振るう者よりも罪は重いのだ。犯人は地獄に落ちろ・・前に母がオレオレにあった時も思ったようで、その時は「ロダンの地獄の門」(2010年3月)を紹介していました ( ̄▽ ̄;)アハハ…
ダンテの描いた地獄の図 & 法務省を語る詐欺師
最新詐欺「法務省を語る」
ダンテの地獄図
幻視者ウィリアム・ブレイク(William Blake)
地獄の解説
オレオレ詐欺師が落ちる地獄
最新詐欺「法務省を語る」
まだ手紙の本体を直接確認していないが・・。
「あなた宛に訴訟が起こされました。」と言う内容らしい。
反論があるなら期限内に返答をしなければ訴訟を起こしたものの言い分が通ってしまうから連絡をしろと言うような事らしい。しかも期限は翌日と間がない。人に相談される前にまず電話をかけさせようと言う魂胆のようだ。
電話は当然詐欺師の所。そこで今度は法務省の人間を名乗り年寄りをだまくらかすのだろう。
※ 担当部署の名前と電話があり、そこにかけるよう書かれていたらしい。担当部署名だけで怪しそうだったけどね。
聞けば近所のお年寄り仲間も似たり寄ったり。年寄りを狙う最低のサギ師らがあの手この手で毎日のように年寄りの貯金をかすめ取ろうとしているこの現状。情けないにもほどがある。
オレオレ詐欺の電話かけなど、当然こう言う詐欺をする集団の年齢は若い方に部類するのだろう。
年寄りが、人生かけて一生懸命 貯めた最後のお金を、本来働き盛りの若者が、まともに働かずして、横取りするなんて考えられない悪行である。
人の行為として一番やっては行けない事だと親や学校では誰も教えてくれなかったのだろうか?
最も最近その親も駄目駄目なのが多いからね。
近年の日本の教育には、道徳教育の分野が欠けているのではないか? と思う。逆ギレする親かいるから悪い子がいても他人の子を叱れなくなったし・・。
それに詐欺以外にも「人として」ちょっとあり得ない事件が多すぎる昨今だ。日本人の行く末に本当に不安を感じる。
以前紹介した事がある 六道輪廻(ろくどうりんね)で考えると死後の転生があるとするなら、彼らの落ちる先は大叫喚地獄(だいきょうかんじごく)に間違いない。
※ 大叫喚地獄では罪状により細かく振り分けられている。
キリスト教で言っても、もちろんか地獄落ち
である。それもかなり深い地獄の底に・・。
キリスト教の地獄を皆がイメージするよう表現したのが「ダンテの神曲」である。
そして「ダンテの神曲」では罪の深さが明確化され受ける罰も表現されている。
地獄はすり鉢のごとく成り、底に向かう毎に裁きは重くなる。そして恐ろしい地獄の姿を細かく紹介している。
今回はダンテの神曲に挿絵した画家の絵を入れて地獄の紹介を少々。以前は入口の地獄門を紹介したから今度は詐欺師の落ちる地獄のステージを確認。
ダンテ神曲の地獄編 地獄の見取り図 バチカン教皇庁図書館
サンドロ・ボッティチェッリ(Sandro Botticelli),地獄の峡(かい)(La voragine infernale) (1490年)ダンテの地獄図
上の絵は地下に食い込んだ地獄の断面図です。
サンドロ・ボッティチェッリ( Sandro Botticelli)(1445年~1510年) ルネサンス期のイタリア・フィレンツェを代表する画家。 彼はメディチ家の依頼でダンテの神曲の挿絵を残していた。素描約90点、彩色4点
。
写真はバチカン教皇庁図書館のアーカイブから持ってきました。これは解像度が低いですが、 元絵は羊皮紙に描かれていた
ものらしい。NTTデータが技術協力したデジタル・アーカイビング事業。スキャンしてバチカン教皇庁図書館に収められている作品の一つです。
色合いは、ほぼオリジナルではないかと・・。
ダンテと彼の詩(Dante e il suo poema) 1465年
フィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(Santa Maria del Fiore)のフレスコ画
ドメニコ・ディ・ミケリーノ(Domenico di Michelino) (1417年~1491年)
※ ウィキメディァより、パブリックドメインになっいたので借りてきました。
ダンテが左手に持つのは叙事詩「神曲」。 左手バック、
フィレンツェの街。
彼の背後に見えるのが煉獄(れんごく)右手が指すのが地獄の行進。
下は部分拡大。
ダンテは著書「神曲( La Divina Commedia)」の中で地獄を描いているが、本来 「神曲」は「地獄篇」、「煉獄(れんごく)篇」、「天国篇」の3部から成る
。
そして各篇はそ れぞれ34歌、33歌、33歌の計100歌から構成
されている。
※ ダンテ・アリギエーリ(Dante Alighieri)(1265年~1321年)イタリアの詩人、哲学者、政治家。
※ 地獄編の成立は1304年から1308年頃とされる。
地獄の入口 地獄の門
地獄の門の碑文 ウィリアム・ブレイク(William Blake)
ロンドン、ナショナル・ギャラリー(National Gallery)臓 撮影は本から
※ ウィリアム・ブレイク(William Blake)(1757年~1827年) イギリスの詩人、画家、銅版画家。
※ プーブリウス・ウェルギリウス・マーロー(Publius Vergilius Maro)(BC70年~BC19年)共和制ローマ時代のラテン文学の詩人。
青い服がウェルギリウス。赤い服がダンテ。
物語はダンテ(Dante)が、ローマの詩人ウェルギリウス(Vergilius)に連れられて地獄門をくぐり数々の罪の地獄を観て回るところから始まる。
地獄の入口、地獄門には銘文が刻まれている。それは一人称の形で語りかけられた、門(もん)自身の自己紹介らしい。
その最後に「この門をくぐる者は一切の望みを捨てよ。(Lasciate ogne speranza, voi ch'intrate)」と書かれている。
実は正確にはキリスト教の聖典に地獄は表現されていない。黙示録はあるが・・。
神曲」はあくまでダンテの創作した地獄の姿である。しかし、この作品が登場した中世より、キリスト教圏では地獄の有様が決定したと言える。
とは言え、ダンテが求めたのは正義。正義を表現する為に地獄は産み出されたと言えるかも・・・。
ダンテと神曲、地獄門については以下で紹介しています。かなり昔なので、書き直したい気もしますが・・
2010年3月「オルセー美術館 番外編 (ロダン・地獄の門)」
リンク オルセー美術館 番外編 (ロダン・地獄の門)
2009年7月 「最後の審判 1 (ダンテの神曲)」
リンク 最後の審判 1 (ダンテの神曲)
2009年7月「最後の審判 2 (福音書と黙示録)」
リンク 最後の審判 2 (福音書と黙示録)
そしてこ のダンテの叙事詩は、実に写実的に表現されている。それ故に後世、啓発された画家らによってダンテの意図したのに近い挿絵がなされている。
前出、ボテイチェリの「地獄の峡」はダン・ブラウンの映画「インフェルノ(inferno)」でも取り上げられている有名な絵図である。
また、イラストレーターであったギュスターヴ・ドレ も「神曲」の挿絵を1861年~1868年に描いている。「ドレの神曲」「ドレの聖書」もある。
※ ギュスターヴ・ドレ (Gustave Dore)(1832年~1883年)
幻視者ウィリアム・ブレイク(William Blake)
そして、 近年ダンテの神曲の本に挿絵されるのが、ウィリアム・ブレイク(William Blake)
である。
※ ウィリアム・ブレイク(William Blake)(1757年~1827年) イギリスの詩人、画家、銅版画家。
冒頭に触れたが、 ブレイクは幻視者(Visionary)の異名を持つ。つまり霊や異境の怪物が見えたらしい
のだ。彼は出会った幽霊の絵も残しているようだし・・。ブレイクが覚醒したのは愛する弟ロバートの死(1787年)からだったらしい。以降彼は弟の魂と交信し続けたと言う。
そして、同時に独自のヴィジョンを使って? 彼はシェィクスピアやダンテ、あるいは聖書の挿絵を描き始めた。
ブレイクが観た怪物 ロンドン、テイトギャラリー蔵
写真は本から持ってきました。怪物は何度かブレイクの所に来たらしい。
もともと繁盛した洋品店の家で生まれた彼は父の応援もあり、しっかり絵の勉強をさせてもらっている。版画家の元に弟子入りすると7年の徒弟時代に版画のあらゆる技法をマスター。当時は挿絵もしていたので、徒弟が終わると実家で銅版画家として婦人誌の挿絵の仕事を始めたようだ。
25歳で結婚もしたが、父と弟が相次いでなくなると生活は大変だったらしい。何しろ俗世の事、ましてお金儲けは苦手だったようだから・・。
1788年、詩と画像を一枚の銅版画に載せると言う「彩色版画(Illuminated Printing)」を考案。この色刷り印刷は活気的だった。これによりブレイクは自分の印刷機で自分の本を印刷することが可能になった
。
※ 1788年「無垢の歌」。1794年「経験の歌」これらは「Illuminated books」として発売されている。
それにしてもこの技法、亡くなった弟の霊が教えてくれたものだったらしい
地獄の解説
地獄は9の圏から構成されている。大きくは3つ。
強欲の罪。暴力の罪。欺瞞(ぎまん)の罪
。
ダンテの地獄では一番重いのが欺瞞(ぎまん)の罪である。
上方のピンクが「地獄の門」
。黄色の十字がエルサレム。
赤で記した所がオレオレ詐欺師らが落ちる地獄
である。ほぼ底の方である。
下の絵は所持している「神曲」の挿絵から撮影したので白黒です。本来はカラーのはず。
地獄の上層 第2圏(自制喪失の愛欲の罪の地獄)
地獄の第2圏(自制喪失の貪欲者の罪の地獄)
3つの頭を持つケルベロス。貪欲者を食らっているのかよく見えないが裂かれた有様か?
地獄の下層 熱砂の荒野
ここは暴力者が落ちる地獄。乾ききった砂漠の上に裸かで歩く亡者に容赦なく火の塊が落ちてくる。つまり灼熱の地獄なのだ。
地獄の下層 第八圏 悪の嚢 (ふくろ) マレボルジェ(Malebolge)の中、
3つめのステージ、聖物売買者の地獄
貪欲な教皇らが、炎の穴に落とされて焼かれている?
オレオレ詐欺師が落ちる地獄
地獄の最下層(第九圏)に流れるコーキュースト(Cocytus)の少し手前、第八圏の中でも底の方の地獄。
悪の嚢 (ふくろ) マレボルジェ(Malebolge)の第七の嚢 (ふくろ)あるいは第八の嚢 (ふくろ)だろう。
※ 第八圏は十の嚢 (ふくろ)からなってる。
※ 第七の嚢 (ふくろ)と第八の嚢 (ふくろ)の話は第24歌から第25歌にある。
地獄の下層 第八圏 7つめのステージ 第七の嚢 (ふくろ) 盗人の地獄。
毒蛇のいる猛火の中を裸の亡者が走る。ここは盗人の地獄。ヘビは彼らの頭と腰と尾を刺し、貫き、彼らをとらえてとぐろを巻く。そして火を受けた亡者は灰になるまで焼かれて果てる。
そしてすぐにまた元に戻ってまたヘビに貫かれてまた燃える。ここではそれがエンドレスに続き苦しみが途絶える事はない。
こちらもフィレンツェの3盗賊の受け苦である。
ちょっとマンガチックな絵である。翼を広げた6本足のドラゴンが盗賊に食らいついている。
そして 悪意を以て罪を犯した彼ら詐欺師が落ちる地獄は第八圏である。
ダンテの神曲の「地獄編」中でも、この第八圏の悪の嚢 (ふくろ)、マレボルジェ(Malebolge)の解説は長い。地獄の下層 第八圏 8つめのステージ 第八の嚢 (ふくろ)
レボルジェ(Malebolge)の解説は長い。地獄の下層 第八圏 8つめのステージ 第八の嚢 (ふくろ
謀(はか)りを回らして他を欺(あざ)向いた者達が落ちる地獄。
亡者一人一人を包むように火焔(かえん)に身を焼かれ続ける。その炎の揺らめきは彼方まで連なる。
つまりたくさんいる亡者がみんな火に包まれて燃えている図なのである。
第八の圏にはまだ9と10のステージがあり体を引き裂かれると言う責め苦が待っています
。
そして最も最下層には嘆きの川、コキュートス(Cocytus)と呼ばれる氷地獄が待っている。
それでも「神曲」は全体を通して亡者が焼かれるパターンが多い気がします。特にこの第八圏のマレボルジェ(Malebolge)ではヘビと猛火の責め苦が多い気がする。
実は ダンテはこの「神曲( La Divina Commedia)」を神の喜劇(Commedia)として描いたと言う
。
簡易に読んでもらいたかったかららしい。敢えて俗語で書き下ろしたようだし・・。
が、内容は、 総じて、地獄編は行いに対して、必ず報いは受ける事になる。と言う教訓のよう
。
例えそれが生前でなかったとしても、 魂が裁きを受ける事になると言うのがキリスト教であり、ダンテの神曲です
。
だから生前、人として正しく生きなさい。と示唆しているのかな? と思いきや、実は ダンテは神曲の中で自分に酷い仕打ちをした者達を地獄に落として責め苦を与えている
のです。
ちょっとした仕返しですね。
そう言う意味で 娯楽本的要素も含めていた
か?
ダンテもまた普通の人だったと言う事ですが、 普通の人ではなかった? のが、挿絵をしたブレイク
です。 彼は詩人でもありロマン主義を代表するの天才ですが、生前彼を評価する者は少なく
やはり生活は貧しかったらしいです。
今やイギリスでも世界でも有名なブレイクですが、 霊的要素で? それとも悟ったから? 後年の作品はだんだんに難解になっていた
そうです。
いつか、作品を見つけたらまた改めてとりあげたいテーマとなりました。個人的にはヒ素中毒の影響があるのでは? との疑問はありますが・・。
最後に聖書をテーマにした「カインとアベル」から弟アベルを殺して逃げるカインの図です。かたわらには両親のアダムとエヴァがいて、エヴァのうちひしがれた姿と情けなくも悲嘆にくれるアダムの顔が印象的な絵です。
ロンドン、テイトギャラリー蔵 1826年頃。 32.4cm×43.2cm
人類初の殺人者となったカイン。このテーマをブレイクは幾度も描いているそうです。
おまけに、「アベルの幽霊」と言う作品もあるらしい。
実在かどうか解らないアベルに、まさか会ったのか
次回再び「東京クルーズ」に戻って続きをやります。
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