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書評/三橋貴明「震災大不況にダマされるな!」
4点/5点
【送料無料選択可!】「震災大不況」にダマされるな! 危機を煽る「経済のウソ」が日本を潰す (単行本・ムック) / 三橋貴明/著
三橋氏の著作を読むのは初めてです。
そんな私の基本的な考えを完全に変えるまでには至りませんでしたが、考え方の筋道はしっかりとしていて1つの考え方としては拝聴するに値する考え方であると思います。
その点では「日本は破産しない!」(上念司)と違い読んで良かったと思います。
この本の大まかな趣旨は
「復興増税」「消費税増税」にて復興財源を賄うのはとんでもない。
橋本内閣で失敗した事の繰り返しになる。
デフレの時は需要を増やすか供給を抑えるしかない。
だが供給を抑えると言うことは失業を増やすことになるのだから、結局のところは需要を増やすしかない。
国内経済が冷え込んでいる以上、政府が公共投資を増やし、減税をして民間需要を刺激すべき。
経済が上向けば財政赤字は勝手に減少していく。
にもかかわらずデフレ期に「無駄を減らせ」「公共投資を減らせ」「増税やむなし」などとインフレ対策を強行するのは自殺行為。
今まで需給ギャップに苦しんできた。
と言うことは供給力がある(余っている)と言うことで、復興需要でその余った供給力を埋められると言う事だ。
日本政府が需要を作り出せばいいし、その財源は国債で良い。
こんな著者の主張は感じでしょうか。
ただ気になった点を1つ挙げておきたいと思います。
それは次の文章についてです。
政府は調達したお金を復興財源として、民間企業に道路や住宅を建設させれば、その6兆円分が民間に回る。
民間企業は給料を支払う。
そして、回りまわったお金が最終的には消費を押し上げることになる。 (p43)
他方「ヒトラーとケインズ」(武田知弘)と言う本では
またナチスは公共事業を受注する建設業者に、ナチス党員を送り込み、業者が収益を上げすぎず、労働者にきちんと分配されるように監視した。 (p105)
とあり
ただ単に公共事業を行うだけでは乗数効果はそれほど上がらないのである。 (p101)
つまりは、大企業、高額所得者の資産を減らし、それを労働者に分配する、そうして初めて、乗数効果が生じるのだ。 (p101)
とあります。
この考え方によればただ単に公共事業を増やすだけで三橋氏が述べている「民間企業は給料を払う」という部分がそんなにうまくいくのか?と言う疑念は残ります。
勿論、何も公共事業をやらなかった場合に比べれば「民間企業は給料を払う」でしょうが、それが経済を大きく上向きさせるほどの「消費を押し上げることになる」かどうかという問題は残るような気もします。
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