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2009/01/23

『童話物語』　向山貴彦／宮山香里

(6)

テーマ：今日どんな本をよみましたか?(91887)

カテゴリ：読書

…久し振りにいい本読んだなぁ。
読み終わった後、思わずそう呟いていました。

『童話物語』 　向山貴彦／宮山香里

【あらすじ】
世界は滅びるべきなのか？その恐るべき問いの答えを得るために、妖精フィツは地上へとやってきた。最初に出会ったひとりの人間を九日間観察して判断することがフィツの使命。しかし、フィツがたまたま出会ったのは極めて性格の悪い少女ペチカだった…。単行本未収録の設定資料集を新たに追加して、感動のロングセラー、ついに文庫化。

心を揺さぶられて自分を前向きにしてくれることを“感動”というなら、
これほど感動した本は本当に久しぶりでした。
なんだか上手くレビューが書けそうにありません
…いえ、いつもうまくはないですけどね

“ファンタジー”“妖精”“女の子”
そんなキーワードが並んだら、
貧しくても心が綺麗な女の子を想像しませんか？

ところがどっこい。
主人公ペチカは腹ぺこでガリガリの子猫を蹴っ飛ばすような
意地の悪いひんまがった女の子

でも少し読み進めるとわかるんです。
それはたった一人で生きていかなきゃならないペチカが
自分で作れる精一杯の鎧だってこと。

ペチカが暮らしている世界はそれほどに過酷。
会う人会う人、これでもか！ってほどに身勝手でせこくて
そんな人たちの中にいたらわたしもペチカみたいに振る舞うんだろうな。
と思いました。

そんなペチカにとって、突然現れた妖精フィツは、
厄介者以外の何者でもありません

“厄介者” どころか “厄病神” なのかな。
この世界では文字通りの意味で妖精は 厄病神 。
とある任務（？）でペチカにくっついてまわるフィツのせいで
ペチカは村を追い出され（それどころか殺されそうになって!!）
望まない旅に出るはめになるんです。

だけどペチカは色んな人と出会って少しずつ変わっていきます。
率先していじめてたけどペチカに謝りたくて追いかけてくるルージャン、
目の見えないおばあちゃん、ロバのテディー、
花屋のオルレアさんとハーティ夫婦、
そして機関車の運転士のヤヤ。

やがてペチカは自分の意思で世界の果てへと旅立ちます。
そこで会った人、在ったもの。
ペチカが本当に一番望むこと。

そして、その頃世界はとんでもない事が起きていて、
物語は下巻の半分をも使うクライマックスへ…

ものすごい疾走感のせいなのかなんなのか。
大泣きするような場面の連続でも全然泣かなくて、
それなのに心が満たされるみたいな感覚がしました。

あまりの感動で目は潤むのに、絶対に零れないのは、
泣くのさえもったいないと思うからなのかな。

「誰だって、自分が思っているよりはすごい人間だよ」

後半に出てくる強いメッセージは、
読み終わって数日たった今でも心に残っています。

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