億万長者の幸福論 観念をふっとばせ!

大将のいましめ




大将(たいしょう)のいましめ    徳川家康



大将というものは、

敬(うやま)われているようで、その家来に


絶えず落ち度をさぐられているものだ



恐(おそ)れらているようで侮(あなど)られ

親しまれているようで疎(うと)んじられ


好かれているようで憎まれているものじゃ




大将というものは

絶えず勉強せねばならぬし


礼儀もわきまえねばならぬ


良い家来をもとうと思うなら

わが食(しょく)をへらしても家来(けらい)に

ひもじい思いをさせてはならぬ



これが三十二年間つくづく思い


知らされた経験ぞ

家来(けらい)というものは

録(ろく)でつないでならず

機嫌(きげん)をとってはならず

遠ざけてはならず 近づけてはならず


怒らせてはならず 油断させてはならぬものだ


「では、どうすればよいので」



家来(けらい)には



惚(ほ)れさせねばならぬものよ





元和二年(1616年)


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