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2023.11.04
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カテゴリ: 報徳記を読む
報徳記  巻之六 

【8】草野正辰先生に謁し國家の政體を問ふ

先生の大徳人民(じんみん)撫恤(ぶじゅつ)の道を行ふ事既に久し。
遂に幕府に達し天保十三寅年(とらとし)冬、命(めい)を下して先生を登用し玉ふ。
時に先生大久保候の邸(やしき)に寓居(ぐうきょ)す。
草野大夫此の事を聞きて曰く、
我先生に謁し道を問んと欲すること久し。
然りと雖も遠路を隔だて主用繁多(はんた)にして野州に至ることを得ず。
今先生の在府時を得たりと云ふべし 
と。
是に於て人をして面謁(めんえつ)を請はしむ。
先生辭(じ)するに暇(いとま)なきを以てす。
大夫頻(しき)りに求めて止まず。
先生素(もと)より草野某(それ)の徳行誠忠を聞き、頗(すこぶ)る其の人となりを歎賞せり、故に面會(めんくわい)する事を得たり。

草野某(それ)先生に謂(い)ひて曰く、
不肖先生の高名を聞き教を受けんと欣慕(きんぼ)する事久し。
今某(それがし)の愚誠を察し面謁(めんえつ)を許し給ふ何の幸(さいはひ)か之に如(し)かんや。
某(それがし)主家(しゆか)領邑(りやういふ)舊來(きうらい)の艱難殊(こと)に甚しく、中古(ちゆうこ)元禄年間に比すれば人員の減ずること五萬(まん)人餘(よ)、収納(しうなふ)の減ずること十萬苞餘(まんぺうよ)、領中大半荒蕪(くわうぶ)に歸(き)し、借債(しやくさい)山の如く、實(じつ)に亡國に(ぼうこく)頻(ひん)せりと謂(い)ふべし。
先君の世に當(あた)り、文化年中大いに節儉(せつけん)を行ひ、舊弊(きうへい)を革除(かくじよ)し、高六萬石(まんごく)の用度(ようど)を以て一萬石(まんごく)の度に減じ、專(もつぱ)ら邦(くに)の本源たる郡邑(ぐんいふ)再興を計り力を盡(つく)すこと既に三十年に及ぶと雖も、費用多くして其の功半途に至らず。
某(それがし)既に極老(きよくらう)に及び、志願を達すること能はざるをのみ歎息せり。
是れ皆凡庸(ぼんよう)にして國家(こくか)再復の道に明らかならざるが故なり。
然るに先生舊來(きうらい)廢亡(はいぼう)の地を擧(あ)げ百姓を惠恤(けいじゆつ)し之を安撫(あんぶ)する事意の如くならざるはなし。
剰(あまつ)さへ餘澤(よたく)遠近(ゑんきん)に及ぶもの誠に不世出(ふせいしゆつ)の高徳にあらざれば、何を以て此(こ)の大業を成さんや。
願はくば先生の至教(しけう)を得て、以て衰國(すゐこく)再興の志願を達することを得(え)ば、誠に上下の大幸之に過ぐべからず。


先生曰く、
某(それがし)素(もと)農間(のうかん)に生まれ極貧に人となり、貧苦を盡(つく)し祖先の一家を再復せんことを而已(のみ)勤めたり。
然るに先君命ずるに野州宇津家(うつけ)の采邑(さいいふ)再復の事を以てす。
辭(じ)すること三年にして君(きみ)之を許さず。
已(や)むことを得ずして彼の地に至り、數(すう)十年を經(へ)て漸く舊復(きうふく)の道立ちたるが如しといへども何ぞ言ふに足らんや。
然して隣國(りんこく)の諸侯仕法を懇望(こんぼう)して止まず、固辭(こじ)すといへども猶(なほ)求むる事再三遂に少しく告ぐるに再復の事を以てす。
今又(また)子(し)來(きた)つて一言(ごん)を求む。
何ぞ其の望みに應(おう)ずることを得ん。
然れども往年一條(でう)某來訊(らいじん)せしときに當(あた)り、已(や)むことを得ず告ぐるに一言(ごん)を以てせり。
是の故に今黙す可(べ)からず。
夫れ國家(こくか)の政體(せいたい)は多端(たたん)なるが如しといへども之を要するに取ると施すとの二つに止(と)まれり。
此の二つを外(ほか)にして又何事かあらんや。
且(かつ)盛衰安危(あんき)も此の二つにあり。
存亡禍福(くわふく)も亦(また)然り、然して世上國(くに)の盛衰する所以(ゆゑん)を察せず何を以て其の衰廢(すゐはい)を擧(あ)げんや。
何となれば取ることを先(さき)んずれば國(くに)衰へ民窮し、怨望(ゑんぼう)起こり衰弱極まる。
甚だしきは國家(こくか)亡滅の大患に至れり。
施すことを先(さき)んずる時は國(くに)盛んに民豊かなり。
人民之に歸(き)し上下富饒(ふぜう)にして百世(せい)を經(ふ)るといへども國家(こくか)益々平穏なり。
聖人の政(まつりごと)は仁澤(じんたく)を施す事を以て先務(せんむ)とし、敢(あへ)て心を取ることに用ゐず、暗君(あんくん)は取ることを先として施すことを悪(にく)む、治平(ちへい)亂暴(らんぼう)の由(よ)つて起る所皆斯(こゝ)にあらざるものなし。
今相馬の政施すを以て先と爲(な)すか、取るを以て先と爲すか。
苟(いやし)くも取るを以て先とせば千萬(まん)の勞(らう)を積み百年の辛苦(しんく)を盡(つく)すと雖も、決して中興再復の期ある可(べか)らず。
又施すことを以て先務(せんむ)とせば何ぞ國(くに)を興すの難きを憂へんや。
凡(およ)そ天下の生物無量なりといへども、血氣(けつき)あるもの施與(せよ)の道を厚くして悦服(えつふく)せざるをものあらざる也(なり)。
豈(あに)血氣(けつき)のものゝみ然らんや。
草木(さうもく)といへども之に與(あた)ふるに糞培(ふんばい)を以てする時は、快然悦服(えつふく)の色顯(あらは)る。
之を殘伐(ざんばつ)する時は彼豈之を快しとせんや。
鳥獸(てうじう)蟲魚人を惧(おそ)れて遁(のが)るゝものは、我に取らんとするの心あるがゆゑなり。
若し夫れ之を愛し之に與(あた)ふるに食を以てする時は忽(たちま)ち悦服す。
況(いは)や蒼生(さうせい)に於てをや。
義の爲(ため)に命(めい)を輕(かろ)んじ萬苦(ばんく)を厭(いと)はざるものは何の爲(ため)ぞや。
君之に與(あた)ふるに食を以てするが故也(ゆゑなり)。
故に興(あた)ふる時は君臣となり、取る時は仇敵(きうてき)となる。
獨(ひと)り百姓(しやう)而已(のみ)何を以て與(あた)へずして服するの理あらん。
與(あた)ふる時は堯(げう)の民となり、取る時は紂(ちう)の民となる、察せざるべけんや。
然るに世の民を治るや、貢税(こうぜい)を取るを以て先とし與(あた)ふるを以て後とす。
先づ與(あた)へざれば民其(そ)の生を安んぜず。
民貧なる時は放僻(ほうへき)邪肆(じやし)至らざる所なし。
終に貢税減少し土地荒蕪(くわうぶ)し上下(じやうげ)の大患となる。
與(あた)ふることを先とする時は、民其の生を樂しみ業を樂しみ土地毎年(ねん)に開け、生財(せいざい)窮まりなく國(くに)の衰廢(すゐはい)求むといへども復(また)得(う)べからず。
是の故に取與(しゅよ)の先後を明らかにして然(しかる)後に政事(せいじ)を行ふもの政(せい)を知るものとなすべし。
某(それがし)廢亡(はいぼう)を開き百姓を撫(ぶ)し餘澤(よたく)他邦(たほう)に及ぶもの、他事(たじ)あるにあらず。
惟(たゞ)與(あた)ふることを先務(せんむ)とせしが故なり。
子(し)の國(くに)衰貧なりといへども、大いに仁澤(じんたく)を施し下民を撫(ぶ)する時は何ぞ再復せざることあらんや。



1人、スローロリス、ダッフルコート、テキストの画像のようです




​​『報徳開拓者 安居院義道』鷲山恭平著を 
鷲山氏の御子孫の方から、読みやすくしてとお話があり、現代語訳し、
11月1日(水)から『現代語 安居院義道』出版に向けて
クラウドファンディングを開始
しました。
鷲山恭平著『報徳開拓者安居院義道』が出版されたのは、昭和28年今から70年前です。

原書は旧漢字、旧仮名遣い、文体など現代人には読みづらくなっています。

そこで現代語に訳し、新しく発掘した『横曽村仕法』を原文と現代語訳で併記して収録するなど資料的価値を高めました。

限定800冊 目途で、 45万円を目標金額 に支援を募集します。

出版した本は、支援者へのリターンと、大学及び静岡県内公共図書館へ寄贈します。

来年、令和6年1月13日までの、 期間限定のプロジェクト です。
CAMPFIREから  for Social Good(社会的貢献度の高いプロジェクト) に認定されています。

本書は一般書店では販売しません、また期間限定のクラウドファンディングのリターン品としてしか入手できません。

皆様が本プロジェクトをご支援くださることを願います。​​


『現代語 安居院義道』出版のクラウドファンディングを開始します
URL:https://camp-fire.jp/projects/view/710516?utm_campaign=cp_po_share_c_msg_mypage_projects_showそう思い込んで、言い切っちゃうと、そうなる可能性が高まる。(p.18-19)





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