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2023.12.04
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カテゴリ: 報徳記を読む
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報徳記  巻之七 

【6】相馬侯躬(みず)から領民に勧農の道を諭す その1

相馬侯(そうまこう)天保某(それ)年父君益胤君(ますたねくん)の世を繼(つ)ぎ、爾來(じらい)大いに國家(こくか)の衰弱百姓の困苦を憂ひ、專(もつぱ)ら父君(ふくん)の志(こゝろざし)を繼(つ)ぎ、國弊(こくへい)を矯(た)め領民の艱難を救(すく)はんことを以て心思(しんし)を勞(らう)し、衣(い)は綿衣(めんい)を用(もち)ゐ食は味(あじは)ひを重ねず、諸人に先立ち艱難を厭(いと)はず、江都(かうと)に在(あ)つては力を公務に盡(つく)し、國(くに)に在りては春秋(しゆんしう)必ず自ら領邑(りやういふ)を巡歩し百姓の疾苦(しつく)を問ひ、大雨(たいう)暴風雪中(せつちゆう)といへども駕(が)を用ゐず、躬(み)親(みづか)ら籍田(せきでん)を耕やし民の艱難を試み、民間の老人を賞して父老を尊敬せんことを教へ、力田(りきでん)のものを賞して勸農(くわんのう)の道を教へ、幼若(えうじやく)を導くに孝悌(かうてい)を以てし、貧民を安撫(あんぶ)して其の業(げふ)を勵(はげ)ましめ邑々(むらむら)の盛衰人氣(にんき)の善悪を直見(ちょくけん)し、諭(さと)すに二宮の良法を以てし玉ふ。
領民君(きみ)の仁心深くして民を憐み玉ふことの厚きに感じ、汚風(をふう)を革(あらた)め家業を勵(はげ)み、君の憂勞(いうらう)を安んじ奉らんとす。

是を以て彌々(いよいよ)先生の道廣(ひろ)く行はれ、大いに風化(ふうくわ)することを得たり。
且(かつ)忠臣を擧(あ)げ政(せい)を任じ、能(よ)く臣下の諌(いさ)めを納(い)れ、善言を求めて以て速かに之(これ)を行ひ、臣下過(あやま)ちありといへども、教諭(けうゆ)を加へ改心せしむるを以て先とし人を廢棄(はいき)せず、屡々(しばしば)先生を招き禮(れい)を厚くして教を請ひ、其の論説を聞き大いに悦び、益々(ますます)其の道を施行(しかう)し、群臣に仕法の良善なることを諭(さと)し、仕法に力を用ゐる臣下を召(め)して屡々(しばしば)其の勞(らう)を慰(ゐ)し厚く賞譽(しやうよ)を下し玉ふ。
是(これ)を以て諸臣感激し再興の道を成就し、君意を安んぜんことを以て今日の專務(せんむ)とせり。
美名他邦(たはう)に響き賢君を以て稱(しょう)するに至れり。
其の初め幼若(えうじやく)の時に當(あた)り、先君甚だ之を愛して膝下(しつか)に養育し玉ふ。

君(きみ)豊丸君(とよまるぎみ)を愛し玉はゞ、必ず艱難の地に於(おい)て養育し玉ふべし。
古(いにしへ)より人君(じんくん)幼(えう)にして深宮(しんきゆう)に居(を)り婦人の手に長(ちやう)じ玉ふもの、往々闇愚(あんぐ)にして嘗(かつ)て下民の艱苦を知らず。
奢侈(しやし)に流れ放肆(ほうし)に陥り、遂(つひ)に國家(こくか)の衰廢(すいはい)に赴(おもむ)くこと珍しからず。
今國家(こくか)の衰弱百姓の艱難は、君(きみ)の明らかに知り玉ふところなり。
此(こ)の君をして艱苦に長じ賢明ならしめば、父君(ふくん)の善政を地に墜(おと)さず、一藩を憐み百姓を撫育(ぶいく)し、國家(こくか)再興の政(せい)成就すべし。
若し愛(あい)に泥(なず)み婦人(ふじん)の手に長(ちやう)ぜしめ玉はゞ、庸君(ようくん)にして艱苦を厭(いと)ひ、臣下の言を用ゐず、稼穡(かしょく)の艱難は何(なに)ものなることを辨(わきま)へ玉はざるに至らんか。
然らば君(きみ)一世の丹誠を以て國事(こくじ)を憂勞(いうらう)し玉ふことも一時に廢(はい)し永(なが)く再盛を断ぜん。
誠に君の不幸而已(のみ)にあらずして一國(こく)上下(しやうか)の大患(たいくわん)なり。
夫(そ)れ生まれながら賢聖なるは億萬(おくまん)中といへども得難し。
假令(たとひ)性質賢なりといへども艱難を經(へ)ざる時は其の美質(びしつ)顯(あらは)はれずして、仁恕(じんじよ)の心薄し。
況や其の次をや。
是れ古人(こじん)切磋琢磨(さつさたくま)の功を重んずる所以(ゆゑん)なり。
臣幼君(えうくん)をして、上(かみ)忠孝を盡(つく)し下(しも)百姓を惠(めぐ)み玉ふの賢君ならしめんことを願ふ而已(のみ)。
君それ之を慮(おもんぱか)れ。

先君感賞(かんしやう)して曰(いわ)く、
汝(なんぢ)の言(げん)誠に國家(こくか)を憂ひ予(よ)が父子(ふし)を愛するの忠言といふべし。
故に今直(たゞ)に此(こ)の子を以て汝(なんぢ)に委(まか)せん。
進退養育の道余(よ)敢(あへ)て言はず。
汝(なんぢ)が意(い)に任せよ
と命ず。





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最終更新日  2023.12.04 02:49:37


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