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2023.12.09
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カテゴリ: 報徳記を読む
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報徳記  巻之七 

【9】下總國大生郷村再復の命を受け良策を献ず

天保十四癸(みづのと)卯年(うとし)春、下總國(しもふさのくに)大生郷村(おほふがうむら)荒蕪(くわうぶ)を開き貧民を安んじ、一邑(いふ)再興の道を献ぜよと命ず。
先生直ちに此の邑(むら)に至り見分するに、人民極貧にして田圃(でんぼ)は原野に歸(き)し、民家破壊し衣食乏(とも)しくして、平年猶(なほ)菜食(さいしよく)あり。
先生愀然(しうぜん)として曰く、
今の時(とき)春陽(しゆんやう)温暖の候なりといへども、此の邑(むら)に臨み此の民の困苦を見るに至りては、身體(しんたい)栗々(りつりつ)として嚴寒(げんかん)に歩(ほ)するが如し。
嗚呼(あゝ)是も亦(また)天民(てんみん)也(なり)。
何ぞ貧困此の如くに至るや。
是に於て毎戸(まいこ)に其の艱苦の緩急を察し、手づから金を與(あた)へて其の急迫を救ふ。
邑民(いふみん)拜伏(はいふく)流涕(りうてい)して恩を謝せり。

邑(むら)の里正を久馬(きうま)と云ふ。
性(せい)多欲にして下民(かみん)に利子二割の財を貸し、其の利を絞(しぼ)り、償ふことあたはざるものは、田圃(でんぼ)を取りて我が家田(かでん)とす。
是を以て邑民(いふみん)彌々(いよいよ)衰弱流氓(りうばう)、遂に此の極窮(ごくきゆう)に迫れり。
先生其の衰弊の本(もと)を考へ、再盛の道を慮り、遂に江都(かうと)に歸(かへ)り、再復永安の仕法を調べ之を官に奏(そう)せり。
官其の道の仁術なるを察し、開業の事を命ぜんとす。
時に縣令(けんれい)建言する所ありて、遂に此の事を廢(はい)せり。
後之を聞くに、里正(りせい)久馬(きうま)數年(すうねん)私曲(しきよく)を行ふこと甚だし。
一里正(りせい)の爲(ため)に一邑(いふ)無罪の民、極窮困苦是の如きに至れり。
然るに先生仕法行はるゝ時は、自ら私曲(しきよく)を逞(たくま)しくすることあたはずして、一身の不利とならんことを恐れ、私(ひそ)かに賄賂(わいろ)を行ひ謀計(ぼうけい)を設けて道を塞(ふさ)ぎたりと云ふ。
後數(すう)年を經(へ)て某(それ)年に至り、縣令(けんれい)小林某(なにがし)此の事を聞き、一邑(いふ)の廢亡(はいぼう)せんことを憂ひ、邑民(いふみん)に諭すに先生の良法を以てし、官に請うて以て再復の仕法を先生に委任す。
先生已むことを得ず其の需(もと)めに應(おう)じ、遂に仕法を施し、數(すう)百金を抛(なげう)ち貧民を撫し廢田(はいでん)を開き、民屋(みんをく)を修復し再盛の道を行ふ。
邑民(いふみん)大いに悦び始めて生養(せいやう)の道を得たりと爲(な)す。
里正(りせい)再たび姦計(かんけい)を以て邑民(いふみん)を誑(たぶら)かし、縣令(けんれい)の屬吏(ぞくり)に賄賂(わいろ)し、遂に良法を破り私曲(しきよく)を壇(ほしいまゝ)にせり。
是に於て仕法之が爲(ため)に廢(はい)せり。

然れども順序を經(へ)ずして直訴するを以て、之を縣令(けんれい)に下附(かふ)す。
縣令(けんれい)頗(すこぶ)る屬吏(ぞくり)の爲(ため)に惑ひを取り、良民を叱(しつ)して之を退け、遂(つひ)に再興の仕法を廢(はい)し、獨(ひと)り里正(りせい)而已(のみ)奸曲(かんきよく)貪婪(どんらん)を專(もつぱ)らにすることを得たり。
時人(じじん)邑民(いふみん)を憐み里正の奸悪を悪(にく)み、良法の中廢(ちゆうはい)を惜まざるはなし。





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最終更新日  2023.12.09 00:00:18


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