ケルトの夢

ケルトの夢

麦の穂を揺らす風

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敬愛するケン・ローチ、しかもアイルランドの話ですから、観ないわけにはいきませんv

でも、今この映画を撮り、パルムドールを受賞したということ、そして何より日本でこんなにこの作品を観たがっている人がいる、ということが、私にはうれしい驚きです。

この作品について聞いたとき、ケン・ローチの健在を知って嬉しかったのですが、
「健在」なんて失礼でした。
なんとも瑞々しく、彼のすばらしい到達点に老いはみじんも感じられません。


実は、思いをただ噛み締めて、あまり多くは語りたくない気持ちでいます。

エンドロールとともに、今度は観た人たちの胸の中に物語が始まるような作品です。




物語は、1920年、イングランド支配下のアイルランド。
人々はゲール語を話すことも独自のスポーツをすることすら禁じられていた。

独立の気運が高まり、1918年に発足したアイルランド共和国議会は、しかし非合法化し地下活動を余儀なくされ、イングランドから冷酷な武装警察隊が送り込まれて来た。

医学を学んだデミアンは、ロンドンの病院に仕事が決まり、故郷を離れようとしていた。青年たちのリーダーである兄テディは、戦いの参加を求めるが、デミアンは勝ち目のない戦いに懐疑的だった。
ところが、忘れられない2つの出来事に、デミアンも医師の道ではなく、独立の戦いを選ぶことになる。
神学を学んだテディと、人の命を助けるために学んだデミアンの兄弟が、同胞を救うために銃をとる…


時は、グレートブリテンが、それこそ日の沈まぬ国の時代。あまりにも強大な存在です。
そして、なぜ独立を果たせないのかといえば、一部の富裕層が、自分たちの既得権を守るためにイングランド側についているからです。


熾烈を極めた独立戦争も締結に向うが、そこに待っていたのは Free Stateとは名ばかり、英国王に忠誠を近い、真の独立国家ではなかった。


この条約で、イングランド軍を追い出したのだからよしとする考えと、「緑(アイルランド)になっても中は赤い(イングランド)まま(社会は何も変わらない)」「国旗と支配者の訛りが変わるだけだ」と、条約を認めない側に国内は二分されてしまう。

デミアンは、子どもたちが栄養失調で倒れ、多くの人が貧しいままの状態に、戦いの目的が達成されたとは思えず、自由国軍に対抗する道を選びますが、内乱ほど、悲惨なものはなく…



アイルランド共和国が誕生するのは、1937年です。




ケン・ローチは、イングランド人です。
イングランドの歴史をまっすぐ見つめ、闘う相手は何か、連帯すべき人はどこにいるのか、とメッセージを送っています。
そしてその眼差しは、現在の自国のブレア政権にもまっすぐ注がれています。

なぜ、今英国がテロの大きな脅威にさらされているのか。
同じ過ちを繰り返してはいないか。




デミアン役のキリアン・マーフィー、デミアンに大きな影響を与える、列車の運転手ダン役のリーアム・カニンガム、テディ役の役者など、みんな魅力的な顔をしています。
ただし、キリアン・マーフィーは、確か『真珠の耳飾りの少女』で、てんてん(^^)/さんに「不細工」と言われている青年は彼らしい(笑)
美形ではないけど、彫刻家がモデルにしたくなりそうな顔をしています。

麦の穂をゆらす風2gif.gif


彼自身が、作品の舞台になったコークの生まれ。


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