ケルトの夢

ケルトの夢

アルフィー




『メゾン・ド・ヒミコ』が借りられない時に、代わりの美形でも観ようと思って借りて、結局観るのが後になったのですが―

これ、すごい映画でしたv

ちょっと不明を恥じました。

そもそも、1966年版のオリジナルが、名作なのですってね(汗)

そして本作も、軽妙なコメディタッチでテンポよく観られる作品ながら、実はものすごく凝ってるんです。


ジュード・ロウ演じる主人公は、とびきりの伊達男でお気楽なプレイボーイ。

オリジナルは、あの最高にスタイリッシュな60年代のロンドンを舞台としていましたが、リメイク版はマンハッタンに舞台を移し、アルフィーは単身英国から渡って、高級リムジンの運転手をしているロンドン・ボーイ。
アルフィーの英語はコックニーでした(たぶん)。

セクシーな人妻のお相手の後、シングルマザーのアパートに行って、「ホテルと間違えてる?」なんて釘を刺されてる。
彼女とはとてもいい感じで、彼女の幼い息子にもメロメロなくせに、「ゴージャスさが足りない」なんて言ってる。

一定以上に女性と親密になるのが不安なんです。

この設定はよくありそうだし、監督もだからこそ「普遍性のあるテーマで現代的」だと考えて、リメイクに挑戦したそうです。

みんなから愛されるのに、人をきちんと愛せないアルフィーは、段々なんだかうまく行かなくなって、取り返しのつかないことをしたと知る…
初めてガードを解こうとした時には、ほろ苦い結末。
孤独な彼ですが、この先苦労するだろうけど、きっといい男になるだろうな、とも思わせます。



もう、ジュード出ずっぱり。
カメラはジュードを追いっぱなし。

しかも、オリジナルの手法を踏襲して、場面ごとに観客に胸のうちを語るのです。
監督は「ジュードはカメラがお友達みたいに自然だ」と言っています。

すごい役者だと再認識。
セリフもいいけど、表情やしぐさが実に雄弁。そしてキュートv
監督はじめスタッフが彼にほれ込んだみたいです。
共演者からも絶賛だしね。

シーンごとに変わる色調。季節も、アルフィーの心情に伴うかのように、夏から冬へと移っていきます。

ミック・ジャガーとデイヴ・スチュアートの音楽がまたすばらしいvv
テーマ「オールド・ハビッツ・ダイ・ハード」が名曲!


さり気なく、実はものすごく凝った作りは、英国人スタッフのプロダクション・デザイナー(作品全体の美術プランを受け持つ)のソフィー・べッチャーの手腕によるところも大きいみたいです。

撮影は、マンハッタンを舞台にしながら、緻密な脚本に沿うよう、実際にはロンドンやリヴァプール、マンチェスターなどでも行なわれたそうです。

街角一区画使える場所を確保し、歩道を広げ、右側通行にし(笑)、建物にはアルミで非常階段を作り(英国の建物にはないから)、信号機や街頭も付け…
町並みにCGは使ってないことも誇りみたいです。

窓の外の風景も、書き割りだと照明が平板になると、ミニチュアで作成。観客が気が付かないような小さな窓にシルエットが動いていたりするそうです。
この辺りは、監督が司会をするクリエイターの座談会でわかりました。

SWもコメンタリーでいくらでも言う事がある感じですが、それに劣らず、スタッフもキャストも語ることがありそうでした。

携わったみんなが、すごく愛着を感じている。

インテリアがまたすてきなのですよね~

現代の設定だけど、オリジナルへのオマージュで、60年代風のテイストとスタイリッシュさを追求してる。

共演の役者陣もみんな魅力的で、高嶺の花・ゴージャスなスーザン・サランドンがかっこいいし、この作品で注目のキュートなシエナ・ミラーとは、ジュードはプライベートで婚約しちゃった(笑)


原作が英国なので、ハリウッド映画お約束のきっちりした結末じゃないところも好みです。


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