ケルトの夢

ケルトの夢

チャリング・クロス街84番地


本好きな人なら、たぶん魅了されてしまうと思います。

チャリング・クロス84.jpg


しかも、この書簡は、アメリカ合衆国の女性から、英国ロンドンの古書店への本のオーダーと、入荷や請求、出荷のお知らせのやり取りなのです。

そこから厚い友情が育まれる様は、奇跡に近いすてきな往復書簡になっています。

この地味な書簡集が、ベストセラーになり、多くの人に愛され、珠玉の映画になりました。


私は、初めてこの原作を図書館で手に取った時、そんな有名な作品とは知らなかったんです。
理由はひとつ、チャリング・クロスという地名に惹かれたから。

チャリング・クロスは小さな書店が並ぶ本屋街なのですが、私が知っていたのはロンドンの鉄道ターミナルの一つとして。

クリスティの作品の中で、印象的に駅名が出てきたのです(『スリーピング・マーダー』かなあ、と思うのですが)。

読んですぐに夢中になりました。

その後で映画があることを知り、書簡集を映画にするという試みに興味を覚えました。
見事に原作のよさを生かした名作になっています。


チャリング・クロス84DVD.jpg

ニューヨークに住む「売れない作家」へレーン・ハンフにアン・バンクロフト(すごく活躍している女優さんですが、1番有名なのは『卒業』のミセス・ロビンソンでしょうか)、古書店の担当者フランクにアンソニー・ホプキンス、その妻にジュディ・デンチ。監督はデビッド・ジョーンズ。

20年以上に渡る、手紙のやり取りの物語。

その魅力の一つは、「本物の装丁の本物の本が欲しいの。でもアメリカでは高価な稀覯本になってしまう」「新刊よりも人々のクセのついた古書が好き」というヘレーンの本談義です。

彼女は小説よりも実録を好み、探して欲しいと頼むリストは、すてきな図書案内にもなっています。
私もこの本で、『サミュエル・ピープスの日記』を知りました。

ヘレーンの注文は安価な本、なのですが、私たちがふだん手にする古本とはちょっと違います。
映画の中で、「100年前の本よ! 英国のりっぱなカントリーハウスにあるべきものよ」と言うと、親友が「いいえ、私がこの本だったら、このアパートにいることが幸せよ」と答えるシーンがあります。


そして、もう一つの魅力は、変幻自在でユーモアあふれるヘレーンの手紙を、いつの間にかフランクはじめ古書店のみんなが心待ちにし、生まれていく友情の様子。

特に、第二次世界大戦後の英国の食料困窮を知ったヘレーンが、書店のみんなへ食料品の贈りものをすることから、ぐっと親しみが深まります。

ヘレーンは、ずっと英国史、文学史の舞台を目にする旅行を夢見、そして書店の仲間も心待ちにします…



現在、マークス社はありませんが、チャリング・クロス84番地には、記念のプレートが残っています。

映画は、原作よりちょっとロマンティックな味付けがしてあるように思います。

静かな静かな物語ですが、どちらも、ものすごくお勧めv

出版後にヘレーンが渡英した際には、チャリング・クロス街の全ての書店が、ウィンドウに本作を並べて歓迎した、とアマゾンのレビューにありました。


<追記>

さっき書き忘れたのですが、50年代のファッションも可愛いです。

現エリザベス女王の戴冠式も見られますv

<追記2>

お互いに海の向こうから応援を頼むのは、ドジャースとトテナム・ホットスパーズ。
スパーズは今も人気のロンドンの老舗チームだが、え?ドジャース?と思って調べたところ、 ブルックリン・ドジャースでしたv
1957年にロスに本拠地を移転してます。

実話だからこその、いい感じな2チームのチョイスですvv


ロンドンのテームズ川、チャリングクロス橋(24cm×30cm)


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