♪ ★ ♪ ★ メイ's History ♪ ★ ♪ ★ |
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2003.6.3 メイが我家へやって来た日。 その前日の事を思い出すと、今でも涙がこみ上げて来る。 2003.6.2 私は、仕事の為、外出していた。 家で仕事をしている主人は、気分転換に庭に出て、タバコを吸ったりしている。 その日は天気も良く、裏庭もグルッと回ってみたらしい。 すると、よく見かけていたキジ猫が裏庭の山椒の木の根元で、寝ていた。 警戒心の強い猫だったので、主人も不思議に思いながら、近寄ってみた。 それでも、キジ猫はピクリともしない。 『死んでる!?』 キジ猫は、寝ていたのでは無く、静かに眠る様に息を引き取っていたのだ。 猫は、死を察知して、人前では決して、死に行く姿を見せないと言うのに、 キジ猫は何故、こんな裏庭で眠る様に死んで行ったんだろう? 私達が最後に見かけたキジ猫はお腹がパンパンに膨らんだ姿だった。 きっと、何処かで子供を産み、ご飯にあまりありつけずに、疲れ果てて、死んで行ったのかも知れない。 うちでも、何度かご飯をあげて、馴らそうと試みていたのだが、 私達が姿を見せると逃げて行ってしまう様な猫だったので、 むやみに餌を与えてもと思い、一切、与えないでいた。 『こんな事になるなら、もう少し、あげ続けてみれば良かった。』 そう悔やみながら、主人はキジ猫の亡骸を裏庭に埋葬した。 重い空気のまま、仕事を終え、一服しに外へ出た。 しばらくすると、近くで小さく、でもしっかりとした鳴き声が聞こえてきた。 『ミー、ミー、ミー!』 叫ぶように鳴いている声のする方へ、行ってみると・・・ 2軒裏の家の庭に2匹の子猫の姿があった。 その家は別荘なので、人は誰も居ない。 主人は、ちょっとお邪魔して、子猫に近付いた。 茶トラとキジトラの子猫は主人に警戒するでもなく、戸袋の中に向かって鳴き叫んでいた。 戸袋の中を覗くと、もう1匹子猫がブルブル震えながら、うずくまっていた。 2匹の子猫は、その子猫を呼んでいるようだった。 しかし、中の子猫は、動く事も出来ないでいる。 ふと、主人は鍋に火をかけていた事を思い出した。 とりあえず、2匹の子猫を戸袋の中に入れ、天敵に遭わない様にし、 後ろ髪をひかれながら、一旦、家に戻った。 火を止め、スグに先程の場所に戻ってみると、もう、そこには子猫の姿は無かった。 時間にして、5分足らずの出来事だった。 『あの時、2匹だけでも、先に家に連れて帰れば良かった。』 今日、2度目の後悔が主人を襲った。 子猫の柄からして、死んだキジ猫の子供だと確信した主人は、そこら中を探し回った。 『まだ、ヨチヨチ歩きの子猫の事だ。そんなに遠くに行くはずが無い!』 手のひらサイズの子猫が隠れそうな所を隈なく探し、 間違って踏まない様に気を付けながら必死の捜索を続けていた。 その時、頭上でカラスが鳴いた。 『カラスにやられたのかな?』 これだけ探しても、見つからない所をみると、思わず最悪な展開を想像してしまう。 主人が一旦、家に戻ろうとした時、既に、頭上からカラスが狙っていたのかも知れない。 しばらくして、私は仕事から帰ってきた。 主人は私の帰りを待ち侘びていたかのように、今日の出来事を早口で話した。 そして、二人でもう一度、子猫の居た場所に行き、大きな草の陰や、家の物陰などを手分けして探した。 時には、鳴き声が聞こえないかと、耳を澄ましてみたが、全く聞こえなかった。 陽が沈み、辺りも暗くなり始めていたので、私達は諦め、自宅に戻った。 2匹だけでも、救えたのでは…と、主人は自分を責め、落ち込んでいた。 私は、そんな主人に何も声をかける事が出来なかった。 次の日も、私は仕事だったので、主人の事が気になりながら、出かけた。 仕事場でも、考えるのは子猫の事と、それを気に病んでいる主人の事ばかりで、 仕事が終るなり、急いで家に帰った。 家に着き、車をバックで車庫に入れていると、主人が家から出て来た。 何て、声をかけようか、考えながら、車を降りると、 朝、出掛ける時とは、打って変っての表情の明るさに、不思議に思いながら近付くと、 目の前に、サッと両手を出して来た。 『うわ~っ!可愛い♪』 主人の掌の上には、小さな子猫が1匹、チョコンと乗っていた。 主人は私が出かけてからも、諦め切れずに、探していたそうだ。 仕事の合間に、何度か外に出ては探し…を繰り返していたら、何度目かに外に出た時、子猫の声がした。 慌てて声がする方へ、行ってみると、前日、戸袋の中にブルブル震えていた1匹が鳴き叫んでいた。 他の2匹も、側に居るかもと思い、周りを探してみたが、やっぱり、見当たらなかった。 見つかった子猫も、目の周りは目やにでグショグショで、放っておいたら、死んでしまいそうな状態だった。 主人は、急いで掛かり付けの獣医さんに電話をし、病院へ連れて行った。 獣医さんの仰るには、生後2~3週間で、栄養状態は極めて悪いらしく、風邪もひいているとの事だった。 目薬を貰い、子猫用のミルクと哺乳瓶を買い、戻って来たそうだ。 それから、私達は、前日、埋葬したキジ猫の所へ行き、子猫と一緒に手を合わせた。 そして、救えなかった2匹の子猫の事を謝り、見つかった子猫を精一杯、愛情持って育てる事を約束した。 『きっと、キジ猫は私達に子猫達の事をヨロシクって、言いたかったんだよね!』 私は、キジ猫の死と子猫達には深い関わりがあるに違いないと思っていた、 主人も、同じ様に思っていたみたいだ。 こうして、その猫は5月生まれという事で、『メイ』と名付けた。 今では、戸袋の中でブルブル震えていた事が嘘の様に、お転婆で抱かれるのが嫌いで、 気が強い、逞しい猫に育ってしまった(^_^;) でも、好奇心は旺盛だけど、臆病者なので、あんまり昔と変わっていないかな? もうちょっと、女の子らしくなってくれると良いんだけど… |