New Zealand 虹の立つ国へ

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■第26章 『新しい生活-2』



One Tree Hill




第26章「新しい生活-2」


やっと日本からの荷物が届き、ものを収めるところへ収めて自分のマレーシア行きの準備が終わったのが3月の始め頃であった。
子供達も2月のはじめから小学校に通い始めたばかりであるが、なんとか嫌がらずに学校に通っている。
一方ワイフには私の留守中、私の代わりをしてもらわなければならないので、車の運転を教える。

NZは車社会のため、何処へ行くのも車である。
学校の送り迎え、買い物、普段のさまざまな用事を足すのも全て車。
公共の交通機関はバスと列車が走っているが、列車は日本と違い全く使い物にならないくらいに路線が短く、発達もしていない。
またバスも当時は運行スケジュールが今ほど密ではなかったため、これも役に立たなかった。

彼女は日本でも車を運転していたが、NZでは特有の交通ルールがある為、まずそれをマスターしなければならない。
そのルールとは、
1) 原則的に自分からみて右側から来る車は全て優先。
2) ランナバウトシステム。
特に、当時住んでいたエリアは悪名高きPanmuaの六叉路があり、ここは交通事故の名所でもあったので、早くこのランナバウトに慣れてもらわないと買い物にも行けない状態であった。

このPanmuaのランナバウトは一周150メートルはあろうかという、3車線の大きなランナバウトで、慣れないとまずこの交通量が凄いランナバウトに進入する事が出来ない。

通常このRun aboutというシステムは'比較的交通量の少ない'交差点の中心に円形のアイランドを置き、その周りをまわって通過する車が時計回りに回って通過するシステムなである。
しかしこのPanmuaに信号を設置する事はおそらくは不可能であるため、いまだにランナバウトのままである。
英国やヨーロッパには数多く見られるシステムで日本には殆どないが、時々地方の都市で見かける、いわば駅前のロータリーのようなものである。

このランナバウトは信号ではないために交差点に進入するタイミングが全てである。
そしてこの時に前述の右から来る車優先のルールが適用される。
慣れれば結構便利なシステムではある。
特に交通量の少ない場所においては、日本の馬鹿の一つ覚えのような信号機が林立するシステムよりはずっと機能的だと思う。


これらのルールとともに道も覚えなければならない。
英国圏の特色の一つとして、国内の全ての道に名前がついている事である。
よって住所は 何番の○○ストリート と表記される。
だから、地図さえ持っていれば、あるいは相手の住所さえわかれば問題なく辿り着けるのである。
当時は今のようにナビシステムなども無く、日本よりずっと判りやすいと感心したものであった。

家から学校まで、スーパーまで、Cityに出るには? 高速道路の出口は? Cityでは何処に車を留める? 駐車料金の払い方は?

普段の生活では、小切手の書き方、ルール、銀行での手続きの仕方。
各種料金の支払い方法、買い物の仕方等など、彼女が覚えなければならない事は山ほどあった。
一通りの事をワイフに教え、後ろ髪を引かれる思いでマレーシアのSibuに向かう。
いよいよ、マレーシアでの新しい仕事の始まりである。





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