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New Zealand 虹の立つ国へ
■第30章 『NZで初めての家の購入』
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第30章「NZで初めての家の購入」
時間がちょっと前後するが、マレーシアから戻った頃にやっと日本のマンションが売れた。
先にも書いたが、日本を離れる時点でワイフの友人の不動産屋に鍵を渡して販売を依頼していたのである。
当初は半年あれば処分できるであろうと期待していたのだが、一年経っても売れる様子がない。
我々が依頼した女性は残念ながら不動産屋として経歴が浅く、結局彼女経由では我々の自宅は売れず、最終的に大手の不動産会社に依頼する事にした。
彼女もそれなりに動いていてくれていたようだが、結果としてあらわれないのである。
我々も日本の自宅を売ってNZで家を購入するつもりでいたので、家が売れてくれない事には身動きできない。
大手の不動産屋に切り換えて2ヵ月後自宅は売れた。
販売価格はバブル時よりずっと下であったが、それでも購入時より4割以上高い値段で売れた。
自分自身、あまり'"たら・れば"の話はしない方だが、この時ほど早くから大手に任せておけばと後悔した事はない。
後悔先に立たずとは良く言ったものである。
日本へ一時帰国して住宅の処分手続きを全て終えて、オークランドに戻り早速家捜しを始める。
毎日暇を見つけては新聞、不動産屋のショーウィンドーなどを眺めて歩く。
週末になると折込み広告のOpen Homeのチラシを見ては、よさそうな物件を見て歩く。
でも中々良いものがない。
じつはこの時は庭の広い家を探していたのである。
当時は今のような不動産ブームに突入する前で、St.Heliers, あるいはKohimaramaのエリアで600~800平方メートルの敷地、一戸建てが25万ドル前後で購入出来た。
ある日、なにも知らずにフラリと見に行った家で丁度オークションが開催されていた。
その家が結構気に入っていきなり飛び入りでオークションに参加してしまい、その場にいた不動産屋を大いに慌てさせてしまった事もあった。
今にして思えば、知らぬ事とは言いながら恥ずかしい限りである。
こちらでの家のオークションはある程度 出来レースである。
というのは事前にオークショナーと買い手を連れた不動産屋が十分に打ち合わせをした上で、オークションを始めるのである。
Reserve Priceもある程度わかっている。
勿論値段は天井なしで何処まで上がるか判らないが、買い手の予算はわかっているのである程度予測は付く。
何より競りに参加する人がわかっているのである。
よって、映画のように飛び入りの買い手は滅多に現れないはずであったが、我々はそれをやってしまったのである。
無論、こちらは現金を持っているのでオークションに参加できる資格はあるのだが。
ちなみにローンを組んで家を購入する人は原則的にはオークションに参加できない。
勿論、銀行より事前に承諾を得ていれば別だが、基本的には現金のみである。
灯台元暗し。
散々あちこち歩き回って色々な物件を見て疲れた頃、家の前のストリートを下がった場所に立つ家が売りに出ていたのを偶然発見する。
敷地も900平米以上あり庭はフロントヤードとバックヤードで広さも申し分ない。
建物はおそらく築50年近いと思われる、総二階のWeather Board張りの家である。
寝室は主寝室を含めて3部屋、ダイニング、リビングとファミリールームのほかに一階部分にオフィスとして使えるStudyが付いている。
ただ、キッチンが如何にも古く直ぐにも手を入れないと駄目であった。
特にワイフは日本で長年中華料理の先生をしていたこともあり、いま住んでいる家のキッチンが同じように古かったので、どうしても新しいものが欲しいという。
私が一番気に入ったのは、ダイニングに張ってあった絨毯をはがした時に、下がフローリングになっていた事である。
それもカウリの幅広の板であった。
カウリとはNZ原生樹種の一種であるが、Lord of Forest(森の主)とも呼ばれるほどに非常に大きく育つ樹種である。
西オークランドには数少ないKauri Forestが残っていて森林内を散策できる。
200年前NZに英国人が入植した当時はこの天を突くように大きく太くなったKauriが森に林立していたという。
しかし、その後の乱伐によりその数が著しく減った為NZ政府は慌ててKauriの伐採を全面的に禁止する。
この保護政策もしないよりマシではあるが、この樹種が天を突くほどに太く大きく高くなるには何百年という年月を要するのである。
ゆえに現在Kauriを使った家、家具は非常に貴重なのである。
キッチンには手を入れなければならないが、その代わり自分達の好きなキッチンが出来るという利点もあるし、今住んでいるエリアからも目と鼻の先である。
庭も広いと言う事で購買決定。
早速オッファーを入れて購入した。
確か25万ドルくらいだったと思う。
今では考えられない値段である。
後年此処を売ったが、売れた値段は50万ドルに一寸欠けるくらいだったと思う。
儲かったように見えるが、周りも皆値上がっているので一緒である。
こうして念願の広い芝生の付いた自分の家を持つ事が出来た。
また一つ夢の実現である。
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