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<<第34章「教育 II」
第35章「大学」

さて大学であるが、これが日本の大学とちょっと赴きを異にする。
とにかく「勉強させる、させられる」そうである。
長男はオークランド大学で経済、 次男はクライストチャーチのリンコン大学で造成設計をそれぞれ専攻しているが、学年が上がるに連れて二人とも寝る間を惜しんで勉強している、いや させられている様である。

先日も久しぶりに次男が遊びに来たが、大学が休みに入る前の一月は睡眠時間を殆ど普段の半分以下に切り詰めて課題を仕上げているとの事。
別に成績が悪いから勉強させられる訳ではなく、皆同じようにハードワークしているそうだ。
この点長男も同じで、学校に翌朝まで残ってシュミレーションをしたりするのは日常茶飯事との事。
大学側も施設は24時間学生に開放しているので、こんな事は当たり前なのかも知れない。
二人とも一応アルバイトはしているが、勉強が忙しくなるとそれも休んで学習しているらしい。

大学とは 「大きく学ぶ 」と書くが、二人とも文字通り読んで字の如し の学生生活を送っている。
習う内容もかなり実践的、或いは卒業後社会に出て直ぐに役立つような内容を学んでいるらしい。 このあたりも日本の大学とはかなり違う部分ではないだろうか。


一方休みの時は思い切って頭を空っぽにして休む。
次男などは夏休みもドイツの彼女に会いに、3度目の欧州旅行に2ヶ月間ほど行ってきたばかり。
しかし今はまた日々勉強に追われる毎日を送っている。
ドイツに居る彼女も大学生で同様に、今は卒論の仕上げに必死だとか。
ドイツでは卒論を提出しても、最後にもう一回試験がありそれに合格しないと卒業証書はもらえないとの事。
この厳しさには驚くばかりである。

高校で大学受験の為に大変な思いをして受験して、大学では反対に羽根を伸ばす何処かの学生とは大分違うようだ。


一方、私立高校で高い授業料を払って卒業しても大学に行かない生徒もいる。
息子達の友人の半分は大学に行かずに、卒業後直ぐに何処かの会社に就職してしまった。
この辺りも日本と違い、発想もそれを受け入れる社会も非常に自由である。
彼らは就職しても会社に対してあまり忠誠心を持たない。
それどころから、会社で働く=キャリアを作る、あるいはお金を貯める事と思っている。

此処で若い世代の幾つかの標準パターンを紹介しておこう。

1) 大学進学から就職→離職→海外旅行→帰国・再就職
 これなどは、結構多いパターンで社会に出てお金を貯めて、見聞を広める為に海外に出てゆく。 短くて1年、長ければ3-5年位掛けて世界を回ってくるのである。
気に入れば、そのまま他所の国に住み着き、飽きれば戻って来てNZで再就職。
受け入れる社会側も、海外から戻った青年を積極的に受け入れる風習がある。

2) 高校卒業→就職→離職・大学入学→卒業→再就職
このパターンは、卒業後働いて大学入学への学資作り、或いはとりあえず一旦社会に出て社会の雰囲気を味わい自分に合いそうな職業についてみる。
そのご自己分析して自分にあった分野を大学は入学し直して専門的に勉強し、卒業後により良い条件を獲得する。

3) 高校卒業→即海外で就職→帰国後就職あるいは大学進学
これは先の(2)の変形パターンだが、一旦働いてみて自分の目標を絞り込むのは同じ。

これらのパターンが実行できる背景には、政府からの補助がある。
NZでは21歳以上であれば、ある程度の学力を有すればだれでも大学に入学出来るという規定とStudy linkが主催する奨学金ローンとAllowanceがある。
奨学金ローンは卒業後に返済するわけだが、アローワンスの方は一種の小遣いと同じで返済の義務は無い。
これらの補助があるから学生はある程度安心して勉強に専念できるのである。

私の息子達も申請してこれらの補助を得ている。

以上の理由により大学に来ている年齢もさまざまで おじさん、おばさんがキャンパスを闊歩している姿も見かける。
まさに学ぶ為に存在する学府である。


若きKiwi達は飛行機に乗って世界に羽ばたいて行く。
行き先はや張り英語圏が多いが、特に英国とお隣のオーストラリアが多い。
特に英国は為替レートの関係上(ポンドは世界一高い通貨)、英国で3年働くとNZで5年働いたのと同じくらいの収入があるという。
また英国でのKiwi達の評判は概して良く、「勤勉でよく働く」と言うのが通説になっているようだ。
そのせいもあってか、以前はNZパスポートの所持者は3年間のワークパーミットが下りたが、今はたったの一年しか降りないらしい。
遅まきながらおっとりと構えた宗主国の英国も元植民地に厳しい条件を突きつけてきた。

一方お隣の豪州のボンダイビーチなどはKiwi村と呼ばれるくらいにNZからの移住者が多い場所である。
此処も以前は英国と同じで為替レートの関係上働き甲斐のある場所であったが、最近の異常なKiwiドル高であまりメリットは無くなったと言える。
しかし豪州は今好景気に沸いており、就職機会も多く若いKiwi達には魅力ある場所のようだ。


所で我が息子達の将来の就職はどの様に考えているのか先日二人の息子にそれぞれ聞いてみた。

上の息子は経済専攻だが、どうやら日本での就職を検討している節がある。
ガールフレンドの一人が日本人とKiwiとのハーフで昨年日本での就職が決まったらしい。
最近は海外帰国子女向けの就職斡旋サイトなども盛んで、その子がその一つに応募して日本でのフォーラムに参加しトントン拍子で就職が決まったのを聞いたようである。
この子は息子とは補習校の同級生にあたるが、息子よりよりKiwiらしい女の子であるが、彼女から色々と情報を仕入れているようだ。
息子としては、日本語の読み書きが不得意なのが心配のようだが、最近は外人でも就職できるくらいなのでその辺りは何とでもなるらしい。

他にも日本人とのハーフの子がホンダで働いているし、住友商事の子会社に就職が決まった子もいる。何れも補習校の同級生達で幼い頃から一緒に遊んだ仲間である。

一方下の息子は造成設計を専攻。
今のNZは不動産ブームでこの分野の卒業生は引っ張りダコらしいが、こちらも本人はNZで就職する気はあまりなさそうだ。
一つにはNZの場合給料が安い事があるらしい。
一方海外でも大きなプロジェクトは世界中で行われており、こちらも慢性人手不足らしい。
特に中東のドバイで行われてパームアイランドリゾート計画は壮大なもので、息子の通うリンコン大学の卒業生も多数参加しているとの事。
今回のドイツからの帰りも何日がドバイで過ごして現地を見てきたようだ。
ドイツ人の彼女とは何れは結婚するらしいが、その前に出稼ぎで一稼ぎするらしい。
英国も働き口としては良いが、ビザが一年しか下りないので長居はできない。


<<第34章「教育I」



第36章「海外における日本語教育」>>







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Last updated  2007.06.16 14:29:03
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