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曽根スウプ

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2015.09.05
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カテゴリ: 読書感想
私が勝手に 描写が容赦無い3大作家様 と思っている方々がいらっしゃいまして。
「そういのパス」「あんたの感想なんかどうでもいい」という方は、スルー願います。



岩井志麻子2.jpg


岩井志麻子1.jpg


岩井志麻子さん。

恐らく最も有名な『ぼっけえ、きょうてえ』のような、怖いのにどこか抒情を感じさせる作品や、『自由戀愛』『女學校』のような、上流階級の煌びやかな描写の美しさに浪漫を感じる作品や、『岡山女』のような、ミステリー風味の奇妙な清涼感のある作品もあるのですが、岩井さん作品のほとんどが無理矢理「底辺」に位置づけされてしまった人達の怨嗟が聞こえるような生々しさで、これでもかこれでもかと容赦ない‘現実’を突き付けてくれるものばかりなので、拝読する前には心の準備が必要になります。

上の二作品を「容赦ない」代表にしましたが、同じくらいキツい話はまだまだあります。
全てリアルかというと「こんな奴いるか?」って人物もたまに出てきて…自分のことを「私は非の打ち所がない」「落ち度は全くない」「私ほど立派な人間はいない」と、思うだけならまだしも、ぽんぽん口に出す人なんているのかなぁ。
本当に「非の打ち所がなくて」「落ち度もない」「立派な人間」はそんなこと言わないだろうし、口にした時点で、てか思った時点で立派でもなんでもないと思うけど(;^ω^)…ギャグなのかな…

リアルに時々荒唐無稽を挟む…そこらへんのバランスがまたお見事。





真梨幸子1.jpg


真梨幸子2.jpg


真梨幸子さん。

とりあえずこの二作品を挙げましたが、救いのある話はほとんど無かったように記憶しています。
(『更年期少女』は文庫化にあたって『みんな、邪魔!』とタイトルが変えられていますが、個人的には『更年期少女』の方が不気味さが増して合っているように思えました)

登場人物が全て一癖も二癖もある。いわゆる「善人」は出てこない。
大抵読んだことを後悔するのに、暫くするとまた読んでしまう…いわゆる「怖いもの見たさ」という心理からくるのでしょうか。






湊かなえ2.jpg

湊かなえ1.jpg


湊かなえさん。

この方の作品も相当キツい。
上には挙げませんでしたが、『白ゆき姫殺人事件』も途中で挫けそうになったなぁ…。でも読んでしまう。
上のお二人の作品に比べたらまだ救いがあるような気もしますが。
たまに「善人」が出てくることもあるし、『告白』のような、やりきれないけれど一種の痛快感のある話もありますし。

んー…でも『告白』以外は再読は無理かな…。






全員女性なのは偶然…かな…
男性作家様も勿論相当表現がエグい方は大勢いらっしゃいますが、こんな風にエグられるというか、精神にクるのはやはり女性の表現の方のように感じました。
例えば筒井康隆さんは、残酷描写や‘狂気’の描写が凄まじいことで有名ですが、それらは星新一さんが解説されていたように「透明な残酷」さで、真っ黒な塊が飛び込んでくるような感じではないな…と思っています。
乃南アサさんも一時期は相当クる表現をされていましたが、次第にソフトになっていかれたように思えました。(個人的に)

人はここまで他人に対して悪意を持つことが出来るのか、ここまで酷いことが出来るのかと愕然とします。
そしてその悪意を持つ登場人物の行為が無意識だったり正当化されていたりする(つまりほとんど罪悪感を持っていない)のが更に怖い。
性善説を信じたいんだけどなぁ…これらを読むとグラついてしまう。

どれもやりきれない、救いのない、暫く悪夢にうなされるような話ばかりで、読後感は最悪、読んでいる間に吸い込んでしまった毒気が暫く抜けず、茫然としてしまうのに…読まずにいられない。
ってか、一度読み始めたら途中でやめるなんて怖くてできない。変な譬えだけど、コックリさんを途中でやめると呪われる、という説に少し似ているかも。
もしかしたら、もう少し読み進めれば‘救い’が見えてくるかもしれないし、案外大団円が待っているかも、いくら何でもこんなに酷いままってことはないでしょ…と期待するのだけれど、大抵の場合それが叶うことはない。結末はもっと悲惨だったりする。
1~2回ならともかく、数回も同じ結果になるなら読むのをやめればいい。でも結局また読んでしまう。

これは、御三方の「読ませる力」が強いからなのですが…多分、岩井ワールド真梨ワールド湊ワールドにどっぷり浸かって、さんざん辛い思いをして本を閉じ、放心状態から抜けて周囲を見廻すと、そこにあるのはいつもと同じ平和な世界…であることに心底ほっとする、その為に読んでいるのかもしれません。
悪夢から覚めた時のあの安心感…に近いかな。
……まぁ悪趣味なんですが(;^^)
そして、新刊が出れば手に取ってしまう(ただし、家に置いておくのは怖いのでほとんど買わずに図書館で借りているという)引力のある作家様です。

無論、御三方も性悪説を信じておられるわけではないでしょう。ここまで執拗に‘悪意’が書けるのは悪意を持っていないからとも言えますし。本当に悪意まみれなら、こんなに冷静には書けないでしょう。
だから…描写力、なんだよなぁ…。
岩井志麻子さんはよく、明治・大正時代頃の極貧生活を書かれますが、当然そんな時代のことなど経験されているはずもないし、そもそもこの方が極貧のわけがない(極貧小説を書いている関係で周囲の方々に本当に極貧と思われてよく奢って貰った、と書いておられましたが)にも関わらず、息遣いが感じられるほど描写はリアルです。

まぁ「経験の無い事は書けない」となると、ミステリー作家はどうするんだって話になりますし、恋愛小説や官能小説を書かれている方の全員が全員百戦錬磨かというとそうではないでしょうし。
尤も岩井さんは、‘底辺’の描写だけでなく、いわゆるセレブの描写も、高級白粉の匂いがするほどにリアルに描かれますから、やはり描写力が卓越しているのでしょう。


「辛いなら読むな!」というツッコミには上で答えたつもりですが、「感想まで書くな!」というツッコミも聞こえてくるようです。
それに関しては…昨日読み終えたばかりでまだ毒気が抜けてないので、こうして文にして吐き出す事で抜くことが出来たら…という気持ちで書いてみました。
かなり心が軽くなりました。
「傍迷惑な…」というツッコミも聞こえてきそうですが。

大変失礼致しました<(_ _)>








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最終更新日  2015.09.07 12:36:40
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