おしゃれ手紙

2009.03.26
XML
テーマ: 愛しき人へ(903)
カテゴリ: 父の麦わら帽子

中でもうちは、貧しくかった。
けれども、父は明るく、話好きだったのでいろんな人がうちに来ていた。

ある時、朝鮮の女性が来た。
私より5歳上の男の子がいた彼女は、40代前半だったのだろうか。

「あんた、どこの出身なら?」と父が日本人の人の出身地を聞くようにその女性に尋ねた。

たどたどしい、日本語で彼女は応えていたが、小学生の低学年だった、私にはよく分からなかった。

昼でも暗い土間には、家の中で、たったひとつの電灯が灯り、寒かったので、いっと缶とよばれる空き缶で、火を焚いて暖をとった。

それが貧しいうちの最大のもてなしだった。

社会全体が貧しく、中でも朝鮮の人々は、廃品回収業など限られた職業しかなく、日本名にしてひっそりと暮らしていた。

会話の後、
「あんたも苦労したんじゃなァ・・・」と父がねぎらうように、その女性に言った。

コジマという日本名を名乗っていた、あの女性はその後、どうなったのだろうか?
彼女の息子は今頃、どうしているのだろうか?

WBCの日韓戦をテレビで見ながら、50年以上前のことを思い出した。
・・・・・・・・・・・・・・・
バナー
ボタン

◎自然と人間が仲良く暮らしていたころの話です。
★3月26日* 父の麦わら帽子:目次 *
・・・・・・・・・・・・・





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009.03.28 16:23:35
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Favorite Blog

「連合赤軍の時代」2… New! h1212jpさん

秋の訪れ(虫が苦手… New! コーデ0117さん

ベーグル買って、池… New! 歩楽styleさん

今月の慶北妻の会 New! はんらさん

母は渡来人系、桓武… New! maki5417さん

Keyword Search

▼キーワード検索

Calendar


© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: