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系はいつも低い確率の事象グループから高い確率の事象グループに進む
熱、温度、秩序、無秩序、元にはもどらない、時間の矢、宇宙の熱的死‥‥これらは熱力学の第二法則、すなわち「エントロピー」増加則に関係する。だが、「エントロピー」とは一体何なのか――本書は、複数のサイコロを転がす思考実験をすることで、エントロピーを理解することができる。
いままで熱力学の世界の用語であると考えていた「エントロピー」は、じつは統計学や確率学に置き換えて考えることで、すぐに理解できるものだったのだ。もちろん、確率・統計に関する高校生程度の知識は必要ではあるが、大学生でも難解とされている熱力学の第二法則に比べたら簡明なことである。
だが一方で、宇宙のどこへ行っても確率・統計学の公理は成り立つのかという疑問が生じる。その辺は著者も承知しているらしく、「決して」「永久に」などという言葉を太字にするなど、特に注意を払っている。
もし、この前提があやふやなものだとすると、ナンシー・クレスの SF「 プロバビリティ・サン
」に登場する「確率子」が存在するのかもしれない。
■メーカーサイト⇒ アリー・ベン・ナイム=著/講談社/2010年07月発行 エントロピーがわかる
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