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それにしても、しみじみ思う。Aiをして専門家にお願いし、きちんと費用を払いましょう。そんな単純な原則を実行したいだけなのに、なぜこんなに風当たりが強いのだろう。実に不思議なことである。(145ページ)
デビュー作『チーム・バチスタの栄光』が映画化やドラマ化され、いまや医療ミステリーの第一人者となった海堂尊の半生を描いた自伝。ご本業は小説家ではなく、現役の医師(病理医)。
それにしても、編集者が「けぷ」とメールに書いたように(333 ページ)、とんでもないボリュームのドキュメンタリーである。しかも、全編にわたって毒だらけ。エンターテイメントな小説とは裏腹に、毒だらけの内容。医学界とはそういうところなんだ、官僚や警察・検察はやっぱりそうなんだ――と、私のような一般市民の興味をかき立てる。
ヨシタケシンスケさん(海堂さんの小説『 医学のたまご
』のイラストも担当)の挿絵が絶妙に毒抜きの役割を果たしている。
「Ai の概念が生まれた日は 99 年 11 月 6 日」(15 ページ)。「患者遺族を招待し法要を営む慰霊祭の当日」に、うとうとしながら思いついたという。それから 10 年以上にわたり、医学界や官僚・警察の抵抗を受けながらも Ai の普及に努める。
著者曰く「それにしても、しみじみ思う。Ai をして専門家にお願いし、きちんと費用を払いましょう。そんな単純な原則を実行したいだけなのに、なぜこんなに風当たりが強いのだろう。実に不思議なことである」(145 ページ)――いや、それは無いでしょ、と突っ込みたくなった。海堂先生は弁が立ち過ぎて、相手の不快感を煽るような剛速球を投げることがありますってば(笑)。
うがった見方をすれば、歴史のある学会でそれなりの立場にあり、厚生労働省の研究会などの委員を歴任したことがあるような方が Ai の普及に携わっていれば、それほど苦労はなかったはずである。日本はそういう国なのだと感じる今日この頃――。
私は Ai に賛成である。
もし私の親族が「死因不明」の死に方をして、警察に「解剖してよろしいですか?」と問われたら、やはり躊躇すると思う。現実問題として、多くの遺族が私と同じような状況で解剖を避けているのではないだろうか。
そのとき、「まずは Ai」という選択肢があれば、私は費用を払ってでも Ai をしてもらうだろう。それから「解剖」という段取りなら、たぶん納得できる。
こういうことは、学校や家族の中で、もっと議論した方がいいと思う。医学界や官僚・警察の問題ではないからだ。
老婆心ながら、本書を通読して「けぷ」と感じたら、2 ページと 440 ページを読み返していただきたい。本書で言わんとしていることは、それほど難解ではない。
■メーカーサイト⇒ 海堂尊=著/講談社/2011年02月発行 ゴーゴーAi
■販売店は こちら
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