★サンチャゴ巡礼日記

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2004年10月21日
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カテゴリ: サンチャゴ巡礼2004
■第4日 ポンフェラーダ~ペレヘ 28km

手前のビリャフランカでやめるつもりが5km先のペレヘまで歩いてしまった。
あすはサンチャゴへの道で「最後の難関」といわれるセブレイロ峠への上りが控えている。
これで少しは楽になるだろう。

ビリャフランカで道に迷い、カップルの巡礼者にたずねた。
彼らも続いてペレヘの巡礼宿に到着する。
ドイツ人だという女の子が話しかけてきた。

「日本のどこから?」
「東京です」
「わたしの父の奥さんは日本人なの」
「ええっ?」

とても日本人の血が混じっているようには見えない。
それもそのはず、日本人なのは彼女の母ではなく「父の妻」だった。

「とても不思議な話なの。
わたしの父は離婚して日本人女性と結婚したんだけど、2人が知り合ったのは東京オリンピックのとき。
父が東京に行ったとき、彼女はドイツ語の通訳だったの。
2人はお互いに家庭を持ったんだけど、そのあと再び恋に落ちたというわけ。
おもしろい話でしょう?」

ドラマみたいな人生があるんだなあ。
ドイツ人の父、日本人の義理の母はベルリンで暮らしているという。

ペレヘに着いたのが午後3時。
寝るまではおおむね次のようにして過ごす。

1.まずシャワー。一日の汗と疲れを洗い落とす。
2.次いで洗濯。スペインの太陽は強烈なのですぐに乾く。
3.時間や腹のすき具合によって食事、あるいは食料の調達。
4.昼寝、日記書き、散歩など。
そして10時には寝てしまう。
時間があるようであんがい忙しい。

19時に村で一軒のバルに行く。
メニューを訳してもらったことをきっかけに隣のテーブルの男性と話す。
バルセロナから来たペペといった。

「カトリックとして育ったが神の存在は信じない」
と彼はいう。
じゃあなぜカミーノ(サンチャゴへの道)に来たの?

「カミーノは宗教以上のもの。
宗教的な人たちだけのものじゃない。
なにかを見つけるために、過去に見失ったものを探すために来る人も多いよ。
カミーノで見つけるもの、学ぶことは人によってちがう。
あなたのカミーノとわたしのカミーノではちがうんだ」

「なぜカミーノを歩いてるのか?」
このあともそうたずねたり、逆にたずねられたりした。
つたない英語を駆使してこのような会話をさまざまな国の巡礼者とかわすこと。
これが巡礼中の最大の楽しみではないだろうか。

教会の前でにひざを折ってじっと祈りを捧げる敬虔な人がいる一方で「神は存在しない」といいきる人もいる。
そのどちらもが「なにか」を求めてサンチャゴまでの道を歩いているように思えた。

巡礼路でしばしば聞くあいさつがある。
「ブエン・カミーノ!」
よい巡礼を、お気をつけて、とでも訳すのだろうか。
お互いの巡礼の無事を祈り、祝福しあう。
ことばが通じなくても、巡礼者同士、目に見えない心のつながりを感じることがよくあった。

そんなとき心がほんのりと温かくなる。
「巡礼に出てよかった」と思う瞬間だ。

ペレヘの巡礼宿

▲石造りで山小屋風のペレヘの巡礼宿。





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最終更新日  2004年10月21日 22時48分47秒
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