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2015.03.01
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カテゴリ: 街 こおりやま
     阿尺と安積(続)

 本誌・2月号、「阿尺と安積」(コラム)で、「宝積寺」の読みから考えて、「安積」と文字を変えた時点では「あしゃく」あるいは「あしゃか」と読んでいたが、後、「あさか」に転訛したといったようなことを書きました。先日、安藤智重氏より次のようなご指摘を戴きました。

【ご指摘】
 「宝積寺」の「積・しゃく」は呉音です。奈良時代に遣隋使が長安から漢音を学んで持ち帰る以前に、すでに日本に定着していた漢字音です。呉音は漢音より「古い読み」で、仏教関係は呉音で読みます。
 三種の神器の一つの八尺瓊勾玉の「尺」は、「さか」と読んでいます。「杖足らず 八尺(やさか) の嘆き嘆けども」などと『万葉集』でも「尺」は「さか」と読みます。そうであれば、「阿尺」「安積」の「尺・積」を「さか」と読んで、特に問題ありません。平安中期の漢和辞書『和名抄』でも「阿佐加」と訓じています。「しゃく」から「さか」に転訛したということの根拠をご教示ください。

【私からの回答】
 大辞林(三省堂)『さか【尺】』の項に、[「しゃく」の転]君来ますやと我が嘆く八尺の嘆き/万3176。と出ていますが・・・。

【再指摘】
 なるほど。はじめ呉音の「しゃく」が入ってきて、日本で「さか」に転じたということなのでしょう。「さか」という音は、母音が二つ入っていますから、中国本来の音ではなく、日本に入ってから転じた音と思われます。ところで、古代「さしすせそ」は「しゃししゅしぇしょ」に近い音でした。今も博多弁など九州の方言に残っています。ですから、「さか」という表記であっても、実際は「しゃか」と言ったのではないでしょうか。とすれば、「あしゃか」という読みが「安積」につながるという橋本様のご推測は、大正解でしたね。

【結語】
 私の不勉強のため、前回のコラムで事実誤認があり、読者の皆様にご迷惑をおかけしました。しかし結果的にではありますが、「阿尺」「安積」は「あしゃか」の読みでよかったようです。



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最終更新日  2015.03.01 08:22:26
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