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September 18, 2006
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カテゴリ: 特撮映画
 「巨大怪物マンシング」は、ゴルフウエアを着た怪物でなければ、巨大化したペンギンが出てくるわけでもない。原題は「MAN-THING」、直訳すれば「人なり物」だそうだ。ペンギンの方はMunsingwearです。カタカナで表記すると「マンシング」でも、英単語の綴りが違います。
 今をさかのぼる15,6年前に「怪人スワンプシングThe Return of Swamp Thing(1988)」を見た。マッドサイエンティストによって改造人間にされてしまった主人公が復讐を挑み、悪の科学者が生み出す怪人と戦うという仮面ライダー系統の作品だった。面白かったのだよ、これが。

 で、ビデオ屋さんで「巨大怪物マンシング」を手に取ったときは、スワンプシングの続編か、関連作品かと思って期待した。
 「シング」が共通しているでしょ。それから、マンシングも、スワンプシングも、沼地を舞台としていて、怪人と怪物(とされるもの=パッケージの絵柄から)の形状も似ているのです。さらに、「人気コミックの映画化」というフレーズがあった。
 だから、「ウルトラマン(1,966~1967)」と「ウルトラセブン(1967~1968)」みたいな関係かな、あるいは「怪人」だったタイトルが、「巨大怪物」と変わっているところから「シルバー仮面(1971~1972)」が「シルバー仮面ジャイアント」になったようなものか、などと思いを巡らせた。
 けれど、両者はいくつかの共通点に見えるものがありながら、直接の関連はありませんでした。調べてみると、「怪人スワンプシング」はDCコミック(スーパーマンやバットマンのマンガ出版社)の所属、「巨大生物マンシング」の方はマーベル・コミック(スパイダーマン、X-メンなどの出版社)の専属だった。
 してみると、東宝「ゴジラ」と大映「ガメラ」(「ラ」が共通、巨大怪獣映画)、または任天堂「ポケモン」とバンダイ「デジモン」(「モン」が共通、ゲーム、アニメキャラクター) の関係と考えれば一番近いのかな。

 さてさて、「マンシング」だが、冒頭沼地にキャンプしにきたヤング(って今は言わないか?)の中から、例によって1組のバカップルが抜け出して、例のごとく二人の世界に浸る。お楽しみのところへ太い蔦か枝か、東宝植物怪獣(植獣)ビオランテの触手のようなものが伸びてきて、男の背中から胸へ貫通、血の固まりが飛び散る。ここにタイトルが被る「MAN-THING」!
 これは、「13日の金曜日シリーズ(1980~)」、ジェイソンのスプラッター無差別殺戮パターンだ。そういう映画なのか、と思うとそうではない。
 石油会社が製油などのために、沼地の自然環境を破壊している。それに反対する住民たち。このような設定で悪玉は、たいてい企業である。ヤツらは、私利私欲のために自然環境を省みない。無力な一般市民は、いつも犠牲者だ。そして、マンシングはといえば、古の部族の聖地に宿る精霊が、沼地を守るために実体化したなどとの説明がある。なんだ、マンシングは、悪いモンスターではないのか。

 この筋立ては、どっかで見たことがないか。そう、あの日本が誇る特撮時代劇「大魔神(1966)」だ。悪家老が諜反を起こして、城主は討たれてしまう。領民は、重税をかけられ苦しむ。怒った大魔神復活し、大暴れ、家老一味を成敗する。
 「大魔神」が公開されたのは、今から40年前のゴールデンウィークだった。なんと、「大怪獣決闘ガメラ対バルゴン」との2本立てだったのだ。狂喜乱舞、こんな最強2本立てを、それ以後もほかには知らない!
 実際田舎町の映画館は超満員立ち見だ。スクリーンの横側に、観客席から地下トイレに続く階段があったが、そこの仕切りに登って映画を見た(わかりにいくかね。とにかく席には座れず、人が多すぎて子どもにとっては、立ち見ではスクリーンが見えなかったのです)。
 新聞の宣伝広告には、右側にガメラとバルゴンの対決シーン、左側に逃げ惑う人々の背後から迫りくる大魔神という構図があった (事前の情報は、ほとんどそれだけ) 。
 新聞広告の大魔神は、(ネーミングからも)邪悪なモンスターという感じだった。近代兵器をもたない時代の人間たちが、どうやって大魔神を倒すのか、そこが興味の焦点となった。ところが、悪家老の傍若無人ぶり、迫害される城主の残党や領民、山の神として畏れられている魔神像、などの展開を見ているうちに、違うと思った。
 「大魔神は、善い者なんだ」トイレの階段との仕切りの上で、映画小僧は突然叫んでしまった。
 「え、大魔神は善い者?・・・」ザワザワザワ、静かな映画館に波紋が拡がった。観客はみんな、大魔神は人と敵対する怪物だと思っていたのだ。
 一人の小学生が聞いてきた。「大魔神は本当に善い者なの?」
 「だって、善い人たちがこれだけ悪いやつに苦しめられたら、もう大魔神が助けに現れるしかないじゃないか」などと、あたかも天才探偵少年が事件の謎解きをするように解説をしてみせた。大人たちまでもが「ほぉー」とかいって聞いてくれた(田舎だったし、そういうのんびりした時代だった)。
 案の定大魔神は、亡き城主の娘小笹の祈りに応え、悪家老たちのあまりの暴虐ぶりに激怒して、大暴れする。

 大魔神については、わかった。じゃあなんでマンシングは、バカップルを襲ったのだ。バカップルは、悪企業の人間じゃないぞ。あの場面を見たら、観客は、ジェイソンみたいな無差別殺人鬼の話かと思うじゃないか。さあどうする、田舎の天才探偵少年の成れの果て。「うーん」と頭を抱えている場合じゃない。
 もう一度「大魔神」を見てみよう。怒り心頭に発した魔神様は、悪家老を倒したあとも荒れ狂っている。「里へ暴れ出たら、大変なことになるぞ」「なんとしても里へ出すな」。人々は食い止めようとするが、魔神のパワーには敵うはずがない。(結果的には、小笹が静まってくれるよう涙を落とすと、魔神の怒りは静まり、姿を消した。)
 マンシングも、聖地を破壊されて、怒り狂ってしまったのだね。沼に侵入する人間は、みんな敵だったわけだ(ちょっと単純?)。だから、バカップルに限らず、人々が殺されてしまったのだよ。制作サイドが、ちょっとジェイソンの真似っこをして雰囲気を盛り上げてみよう、と考えたかどうかは知らないけれど。
 ラスト、怒りのあまりに判断力と選択能力に狂いが生じているマンシングが、ヒーロー、ヒロインをも含めた人々に迫り来る(ヒーローは、怪我をして動けない!)。その場面は、古いモンスター映画を見ているような懐かしさを感じました。悪の社長を成敗し、石油採掘機が破壊されたことで、マンシングは消え去る(やっぱり大魔神みたい)。

 山の守り神「大魔神」は、悪を滅ぼすと山へ帰っていったのだろうか。しかし、「大魔神怒る(1966)」においては湖の神、「大魔神逆襲(1966)」では雪の神として祀られ、悪がはびこるたびに憤怒の復活を果たした(近々また新作が作られるそうです)。
 「マンシング」も、驕り高ぶる人間を戒めるために、怒りの再登場があるのか。それはひたすら映画が売れたかどうかにかかっています。





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Last updated  September 18, 2006 06:45:50 AM
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