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December 31, 2006
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カテゴリ: 特撮映画
 2006年のお正月映画として公開された「キング・コング」。上映時間は188分。大作にはちがいないが、長い。映画館に入るのに躊躇してしまった。映画が始まる前のCMや予告編も入れると3時間半をこえる。まずトイレ、途中で席を立ちたくない。寒い日に、うっかり利尿作用のあるコーヒーなどを飲むと、2時間の映画で後半は我慢できなくて「早く終われ」と思ってしまうことがある。そして、間がもてるか。つまらない作品に長時間つき合わされたら、泣きたくなってしまう。
 楽しいはずの映画が、場合によっては拷問になる。けれど、不安は杞憂に終わった。もちましたよ、4時間近くも。水分を控えましたから。ストーリー的にも、時間を感じさせない流れだった。
 内容的には、ほぼ1933年のオリジナル版をなぞる形だった。33年版は100分。差し引き88分。B級映画1本分だ。長くなった分は、ヒロイン、アン・ダロウの大恐慌下での生活などを描いて人物描写を濃くしたから。そして、髑髏島での冒険なども、グレードアップしている。コングが丸太橋を激しく揺すって人間たちを谷底に振り落とす場面、ティラノザウルスとの激しいバトル場面など、オリジナル版にあるシーンが、CGを使ってダイナミックに再現されているところが嬉しい。ただ、CGは画面がスムーズである分印象が軽い。オリジナル版はスクリーンプロセスを使って、実際に大写しした恐竜やコングの前で人間が演技をしているので迫力があり、見た目に合成がわかるのだが、工夫している様子が伝わってきて楽しい。
 長時間飽きずに見ることはできたが、オリジナル版で味わった興奮はなかった。それは、キング・コングのモンスター度が低かったからだ。
 モンスター度とは、通常の生物では考えられない驚異的な能力などをもっている度合いである。例えば、フランケンシュタインの怪物は、死体を接ぎ合わせて電気ショックで命を吹き込まれ、大人の男を軽々と頭上高く持ち上げる怪力をもち、死んだと思われてもまた蘇るところなど、モンスター度は軽く合格点を上回る。日本が世界に誇るゴジラは、身長50m、口から放射能火炎を吐き、砲弾もミサイルもものともしないなどなど、モンスター度はレッドゾーンを振り切りそうだ。
 では、キング・コングはというと、でかいだけのただのゴリラか?髑髏島は、有史以前の恐竜たちが歩き回るロスと・ワールドなのだけれど、地球上にかつて身長8mのゴリラがいたという話はない。巨体は、この固体特有のものか(05年版では、巨大なゴリラの白骨みたいなものが映っていたが)。クロム鋼の鎖を引きちぎるほどの腕力はもっている(通常の4倍の体だからできたのか)。それらを総合したとき、りっぱなモンスターとして度数を計上できるような気もするが・・・。
 キング・コングは2度ばかり、東宝の映画に出演したことがある。「キング・コング対ゴジラ(1962)」と「キング・コングの逆襲(1967)」である。
 前者は通称ファロ島コングと区別される。なんと身長は45mだ。しかし、ゴジラが放射能火炎を吐きまくって、およそ通常の生物にはない能力ですごむと、コングは目をパチクリさせ、勝ち誇るゴジラを尻目に、すごすごと引き上げてしまう。1回戦はコングの負け。ゴジラと対抗するためには、放射能火炎に対抗する必殺技を身に着けなければならない。コングは、雷に打たれて帯電体質となる。2回戦では、ゴジラに電気クロー攻撃をしかけるコング。かくして日米を代表するスーパーバトルの決着はつかず、引き分けに終わった。いかに身長が45mあろうとも、やはりゴリラである。モンスター度においてはゴジラに比べ、劣勢だったといえる。
 逆襲コングは、モンド島出身、身長20mの設定だ。モンド島でのゴロザウルスや海蛇とのバトルは、33年版コングを再現している。催眠術で悪の科学者ドクター・フーに操られ、エレメントXを掘るあたりは、やっぱりでかいゴリラだ(ゴリラに催眠術が効くかどうかはしらないが)。逆襲コングは、ドクター・フーが差し向けたメカニコング(デザインが秀逸)と闘う。コングと気持ちを通じ合わせるスーザンが叫ぶ「逃げてコング。闘っちゃだめ。あれは、生き物じゃないわ。機械なの。勝てないわ」。しかし、決然とメカニと対戦し、これを打ち破る。さらに、ラストではスーザンを置き去りにする。元祖アメリカン・コングは、ヒロイン、アンのために命を落とすというのに、逆襲コングは南の島へ去っていくあたりがかっこいい。逆襲コングのモンスター度は、かなり加点された!?。
 番外編のコングを見てきたが、オリジナル(33年版)のコングは、明らかにモンスター度が高かった。それは、“恐怖点”が大きく評価されるからだ(私がしているんだけどね)。33年版アン・ダロウは、33年版コングに対して、恐怖の悲鳴を上げ続ける。コングの方は、アンを愛おしむような渋さを見せるが、アンは最後まで絶叫するのみである。つまりコングはあくまでもモンスターとして扱われている。
 これが05年版コングになると、大きく違う。コングが登場し、体を鷲づかみされて、最初は仰天動転し、恐怖心で声の限りに叫ぶ05年版アンだが、次第に心を通わせ、髑髏島で一緒に夕日を眺める。さらにニューヨークで暴れまわる05年版コングのもとへ05年版アンが駆けつけたりする。確かにアン以外には敵意むき出しで凶暴性を発揮するコングだがたとえアン1人に対してだけでも、人と理解しあう様子を見せれば、モンスター度は低く感じられる。
 1933年当時は、まだまだ自然は脅威でした。だから、でかいだけのただのゴリラでもモンスターになった。現代は自然、動物保護の時代ですからね。いたずらに野生動物をモンスターにしてはいけません。ゴリラの立場や心情も尊重しないとね。


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Last updated  December 31, 2006 06:47:51 AM
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