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January 3, 2008
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カテゴリ: 特撮映画
映画の題名は「ナイトメア ミュージアム」。「ナイト ミュージアム(2006)」ではありません。この手のまぎらわしい映画、けっこうありますよね。例えば「トランスモーファー(2007)」、え!?スピルバーグ制作総指揮の「トランスフォーマー(2007)」じゃないんです。「スターレック皇帝の侵略(2005)」、いつの間に「スタートレック」シリーズの新作ができたかと思いますが、トレックじゃなくて“レック”なのです。これらのDVDをうっかりまちがえて借りる人もいるでしょう。でも、意図的に借りて、楽しむのも一興です。

「ナイトメア ミュージアム(2006)」
監督: ルーイー・マイマン
出演:マッコール教授:ジェレミー・ロンドン
ルーディ:グリフ・ファースト
レイチェル・ドネガン:ウェンディ・カーター

 「ナイト ミュージアム」と題名が似ていることから、「ナイトメア ミュージアム」もオリジナルと同じように博物館で大騒ぎする映画かなあと思いました。それはそれで、メジャー(本家)とB級(パクリ版)を比較してみると面白い。けれど、「ナイトメア」の方には、博物館は前半にちらっと登場しただけ。ほとんど映画の舞台にはなっていません。それもそのはず、原題は“BASILISK: THE SERPENT KING”日本語にすると「蛇王バシリスク」。なんと怪獣映画だったのです。
 怪獣は、普通の生物では考えられない特殊な存在です。火を噴いたり光線を発射したりします。人間の使う武器が通用しません。たいていの場合、地球上に一頭しかいない、などなど。生物学的、物理学的にはありえない特性を備えています。それらは、映画を面白くするための設定なのですが、それらについてあまり明快な説明はありません。なんでかよくわからないけど、怪獣は市街地を襲い、建物を破壊します。ふつう、進行方向に邪魔物があれば、猫だって犬だって歩きやすいようによけて通ると思いますが、怪獣はなんでも真正面からぶつかり、踏んづけて進みます。
 怪獣は、通常の生物が放射能等で突然変異を起こしたり、宇宙からやってきたりします。この映画では、伝説のバシリスク(またはバジリスク)を扱っています。バシリスクは、ドラゴンやカッパなどと同じ想像上の怪物です。そのバシリスクが実在したというお話。その中で、可能な限り怪獣バシリスクについて、科学的に説明を試み、ていねいに怪獣映画をつくろうという姿勢に好感がもてました。怪獣映画だからといって、「この程度につくっときゃあいいんだよ」という投げやり、やっつけの仕事ぶりは、許せません。

 マッコール教授は、リビアの遺跡から巨大なバジリスクの石像とメデューサの瞳と呼ばれる宝石が飾られた黄金の杖を発掘します。コロラド州にある自然史博物館に展示されることになり、日食の日に除幕式が行われる。ところが、日食の光がメデューサの瞳を通しての石像に照射されたとき、バシリスクが2000年の眠りから復活し、人々を襲い始める。
 なおバシリスクは、全長15mほどの蛇型怪獣です。都市破壊はしません。

 マッコール教授とレイチェル博士のやりとりの中で、科学と超自然現象の対比というテーマが語られます。マッコールは、「神話と歴史は相反する」と言い、科学的、合理的な立場を取ります。一方の、レイチェルは「私は、(学問的に)超自然を探求することで、世界の平凡さを補いたい」と考えています。ここは、怪獣の存在意義に触れる議論だと思います。 
科学とは、常識的、現実的な世界観です。そして、怪獣は、超自然、空想、荒唐無稽の存在です。科学的に怪獣なんてありえないとしてしまえば、怪獣映画は成り立たなくなってしまいます。
 反対に、怪獣だから何でもあり、にしてしまうと、怪獣映画の質を低下させます。映画の中で怪獣を登場させるとき、なんだかわからないけど巨大で、特殊な能力をもち、不死身の存在として描いてしまうと、アクションとバトルだけに依存してしまいがちです。それをやりすぎると、怪獣を受け入れるのは、幼い子どもに限られてしまいます。
科学的なシミュレーションとして怪獣を設定すれば、そこに大人の観賞にも耐えうる怪獣映画の可能性があります、と考えるのは怪獣好きだけか。

 バシリスク迎撃に、軍隊が出動します。しかし、機関銃もバズーカも、バシリスクには通用しません。マッコールの助手であるルーディがバシリスクの鱗を発見、分析すると、石綿状の切れない、熱にも強い断熱材、絶縁体でできていることがわかる。だから、銃弾、ロケット弾でも殺せないというわけです。ゴジラが砲弾をはね返すのは、皮膚がやたらと硬くて分厚いから、という説明に比べると、より具体的な説明です。
通常の武器が通用しないバシリスク、しかし、マッコール教授は叫びます「生き物なら殺せるはずだ」。マッコールは、バシリスクを人知が及ばない超自然的なものとは考えず、あくまでも科学の範疇で解決を図ろうとするのです。

 バシリスクは、日食の光がメデューサの瞳を通して照射されたときに石像と化し、同じくその石像にメデューサの瞳を通して日食の光をあてたときに蘇る。そのへんの理由付けはされていません。いずれにしても、バシリスクを倒すため方法は、日食の光が必要なのです。けれど、つぎの日食は、この後40年も待たなければなりません。
 ルーディは、日食と同じ効果をもつ光があることに気付きます。それは、原子力発電所の核融合の光でした。光を宝石(メデューサの瞳)に通すことについては、つぎのような説明をします。頑丈なバシリスクの鱗に対しては、強烈なエックス線やガンマ線などを照射すれば破壊できるかもしれない。その際には焦点を絞るために、メデューサの瞳のような屈折率の高い宝石を通過させる必要がある、というものです。もっともらしい説明です。納得して映画を見ていきましょう。
 マッコール教授は、射能スーツを装着し、メデューサの瞳が装飾された黄金の杖をもって原子力発電所へ入ります。バシリスクをおびき出し、メデューサの瞳を通して核融合の光を照射。しかし、バシリスクを完全に石化することができない。マッコールは一計を案じ、使用済み燃料棒の冷却タンク(ー45℃の溶液)に突き落として、バシリスクを凍らせることに成功、ついにバシリスクを倒したのです。
 自然現象である日食の光を、科学的に再現することはできなかった。しかし、科学的な方法で、自然的存在であるバシリスクを退治することができた、という結末です。

 かつてゴジラが出現した時代には、怪獣が都市を襲撃、破壊することも、人間のもつ兵器が通じないことも許容されていました。それは、怪獣が目新しかったためもあるでしょうし、兵器がショボかったせいでもあるでしょう。しかし、夥しい数の怪獣を見てくると、都市を破壊するのは、怪獣にとって何の目的、利益があるのかと訝しく感じます。また、近代兵器の破壊力の前には、巨大怪獣といえども耐えられることにまったく説得力がありません。
時代は進み、人々はすっかり情報通になってしまいました。情報化社会の中では、非現実的な存在である怪獣は、とても生きづらいといえるでしょう。けれど、怪獣は、まだまだ魅力を引き出せます。そのためには、ある程度理に叶った説明を備えた怪獣が必要です。なんで一頭しかいないか、なんで街を襲うか、などの説明が。

 さて、不死身のバシリスクは、本当に葬り去られたのか。驚異の生命力をもつバシリスクは、氷が溶けたら復活しそうです。続編があればの話だけれども。

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Last updated  February 24, 2008 08:10:48 AM
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