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January 13, 2008
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カテゴリ: 特撮映画
あの子もこの子も「ガメラ対ギャオス」を見に行った。口コミで評判が広がり、クラスの中で、入場者サービスの下敷きをもっている友達がどんどんふえていった。教室が、ガメラとギャオスの話題でもちきりだった。ゴジラのシリーズでも、東映まんがまつりでも、あんな盛り上がりを見せたことはなかった。

「大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス(1967)」
監督:湯浅憲明
出演:堤 志郎:本郷功次郎
金丸すみ子:笠原玲子

 富士山の噴火によって出現した怪獣ギャオス。ガメラが東宝のゴジラに対抗した怪獣であるならば、ギャオスはラドンを意識したであろう空飛ぶ怪獣です。ギャオス対策会議の席上で「ギャオスは動物学的に見て、鳥類ですか、爬虫類ですか」との質問が出る。青木博士の答えは「あんな怪獣は、有史以来現れたことがありません。強いて分類すれば、怪獣類でしょう。」これは、じつに明快で心地よい答えです。なぜギャオスはガメラに足を食いちぎられて、即座に生えてくるのか。生き物なのに、なぜ苦手な火が燃え盛ると腹から消火液を噴霧できるのか、すべてが「怪獣類だから」ということです。
 この作品のリメイク「ガメラ大怪獣空中決戦(1995)」で、鳥類学者長峰真弓はギャオスについてこう言います。「鳥じゃありません。羽毛がなく、牙がある。あんな鳥はいません」青木博士の答えが、言葉を変えて引き継がれていたのですね。

 では、“怪獣類”ギャオスについて見ていきましょう。ギャオスは口から300万サイクルの超音波メスを発射し、なんでも切断してしまいます(さすがにガメラの甲羅を通すことはできなかった)。この超音波メス、別名超音波光線とも呼ばれる。子供の頃、ここに引っかかった。音波とは音でしょ。なのになぜギャオスは光線を出すのか?今回この疑問を解くために超音波メスについて調べてみました。超音波メスは、刃先に縦の超音波振動を伝え、組織の凝固(止血)と切離を 同時に行うということ。やっぱり光線は出ないようだ。
 ギャオスとは、簡単にいうと、コウモリのような怪獣です。コウモリは暗い中で、超音波を出して、周囲の反響を聞き分けながら行動します。そこから“超音波メス”という発想が出たのでしょう。
 形状的に見ると、コウモリもギャオスも前足が翼になっています。コウモリは親指が鉤爪に飛び出ており、あとの指が長くのびて、それらの指の間に膜ついて翼になっています。ギャオスは、コウモリの鉤爪にあたる部分が手のようなっていて、何本も指があります(さすが怪獣類)。翼についた手で、人間を掴みます。そして、食べてしまうのです。
 しかし、不思議なのは、手に見られるところから前足(翼)の付け根までに、人間にあるような肘部分の関節はありません。まっすぐのびたままです。それなのにギャオスは掴んだ人間をどうやって口まで運んだのでしょうか。これについては、子供ながらに考えました。多分、一旦足元などの地面に置いて、それから食らいついたのでしょう。そのシーンは、スピーディな展開を考えて、省略されたのだと思われます。

 前足については、ガメラも驚くべき能力をもっています。岩を掴んで、ギャオスに投げつけ、口にすっぽりはめこんで超音波メスを封じます。ナイスコントロール!そういった器用さだけに止まりません。ガメラは、ギャオスに襲われた英一少年を危機一髪のところで助けます。そして、英一少年を甲羅に乗せて運びます。このとき、ます英一くんを前足でやさしく掴みます。つぎに、画面に甲羅の部分が映り、ガメラの前足がかぶります。指を広げて少年を置きます。さて、あたかも人間が自分の背中をかくかのように、亀がどうやって甲羅の上まで前足をもってくることができたのでしょうか。この映画で最大の謎でした。それ以後、亀を見かけると、前足部分をじっと観察して、甲羅の上までもってくることができるかどうか何度も確かめました。

 さて、凶悪ギャオスの前に立ちふさがったぼくらのガメラも、超音波メスにより大けがをしてしまいます。ガメラに頼らず、人間がギャオスを倒さなければなりません。夜行性のギャオスは紫外線に当たると組織が何分の一にも収縮するのです。なんとか日にあてたい。夜が明けるまで屋外にとどめておく方法はないか。そこで考えついたのが“回転ラウンジ作戦”。ホテルの回転展望ラウンジにギャオスを乗せ、高速回転させると目が回ってしまう。ギャオスがクラクラ、フラフラしているうちに、日の出を迎えれば成功というもの。回転ラウンジにギャオスをおびき寄せるため、屋上にはギャオスの好きな人間の血液と同じ臭いと味のする人工血液の噴水が備え付けられた。ギャオスがラウンジに乗り、噴水の血液を飲み始め、回転が始まった。
 ギャオスがいくら夢中で人工血液を飲んでいるからといって、グルグル回されてもその場から逃げないのが不思議だった。そこで、実験。公園の回転遊具にパンくずを撒き、鳩や雀を待った。鳥がパンくずをつつきに来たら、回転遊具を回す。なんのことはない、鳥たちは、ちょっとでも遊具が動くとすぐに飛び立ってしまった。結果から、餌より、身の安全が優先するとの考察を得たのでした。

 “怪獣類”の数々のはてなマーク。当時はそれらを感じながらも、映画の展開に引き込まれました。子供の味方ガメラが、人食い凶悪怪獣ギャオスをいかに倒すかを、子供も、そして大人も、固唾を飲んで見守っていました。だから、学校の友達がたくさんこの映画を見に行ったのです。
 これは、プロレスに似ています。レスラーがコーナートップによじ登り、ニードロップを落とす。対戦相手はよけもせずリングの上に寝ているのはなぜか。四の字固めやコブラツイストはレスラーがやるときれいに決まるのに、友達にかけようとすると相手が防御してしまって全然決まらない。それでも、日本中が力道山、ジャイアント馬場、アントニオ猪木が、得意技で凶悪外国人レスラーを倒すのに興奮しました。

 怪獣類とは、そしてプロレスのわざも大いなる“はったり”です。あの時代は、些末な部分の整合性よりも、そういった観客を楽しませるための“はったり”を受け入れていました。甲羅の上に前足が届くとガメラが言うのならば、そうなんだと容認する。レスラーが、グロッキー状態だから動けないとするのだったら、許容する。そして、見せてくれるものや全体の流れに浸ることができました。
 最近のCGによるリアルな画面、そしてK-1やプライドなどのリアルファイトよりも、荒唐無稽な“はったり”を見せる怪獣映画やプロレスがおもしろかった。その全盛期を体験できたのは、人生の財産です。

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Last updated  February 24, 2008 08:09:27 AM
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