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June 2, 2013
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カテゴリ: ヒーロー映画

 素顔のアイアンマンであるトニー・スタークは、めげないキャラクターだ。
 それはスーパーマンのような不撓不屈のスーパーヒーローということではない。
 性格的には自己チューで破天荒なのだ。そこを恋人のポッター、親友ハッピー、ローズ大佐にツッこまれる。
 そう、トニー・スタークは、浮世離れしたボケをかます。だから、周囲の常識人からツッこまれるのだが、まったくめげずに減らず口をたたく。
 そういったトニーの破天荒さが、ときとして問題解決につながったりもするんだが。

 ニーチェは、「事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである」と言っている。人の性格を楽観的と悲観的に分けたりするが、それはその人が状況をどう認識するかによってちがってくる。だから、めげないトニー・スタークを見習うといいかな、と思ったりする。

 しかし、トニー・スタークは凡人ではない。天才科学者であり、億万長者でり、さらにスーパーヒーローなのだ。そしてめげない性格ときたら、トニー・スターク=アイアンマンは無敵なのかと思えてくる。ところがそうではない。

 1999年、トニー・スタークは、傲慢な性格ゆえに、人から怨みをかってしまう(まあ、相手も悪かったんだけどね)。
 そういえば、『アイアンマン』も『アイアンマン2』も、ヴィラン(敵方)はトニーやスターク家に怨みをもっていた。それらは、一方的で傍迷惑な怨みであった。しかし、今回は、トニーの行為が直接の原因になっている。
 怨みをもった相手は、強大なパワーを蓄えてトニーを襲ってくる。
 親友ハッピーが爆破事件に巻き込まれたことで、トニーは自宅の場所を明かし「いつでもかかってこい」と敵を挑発する。
 そうしたら、敵はなんとヘリコプターの編成を組んで襲ってきた。億万長者の象徴であるトニーの超豪邸にミサイルを打ち込み、完全に破壊してしまう。敵をあまく見てたんだな。
 這々の体でミサイル攻撃を逃れたトニー・スターク。だが、反撃しようにもアイアンマンのスーツがエネルギー不足で使えなくなってしまった。

さらに、めげないはずのトニー・スタークが、今回はパニック障害に苦しむ。
 アベンジャーズとしてのエイリアンとの闘いがあまりにも過酷で、トラウマになってしまったのだ。
 そんな状態で、ヴィラン一味を迎え撃つことができるのか。

 今回の設定では、トニー・スタークはご難続きである。しかも、それらのご難を、自分のミスから、あるいは通常の精神状態でなかったりすることから招いている。
 そこが映画をおもしろくしているのは確かだ。
 ヒーローは強いばかりでなく、ピンチに陥ってこそ観客のエモーションを刺激する。

 この設定は、『アベンジャーズ』抜きには語れない。
 なにしろ『アベンジャーズ』はスーパーヒーロー大集合だ。スーパーヒーローが束になって闘わなければならない相手だから、敵は「とんでもないの6倍か7倍」の超強敵である。アベンジャーズの敵がとんでもなくすごすぎるということにしなければならない。
 となると、アイアンマン単体で闘う相手は、あんまり強すぎては困る。そのマイナス分をトニーのミスやパニック障害が補っているわけだ。
 もう少し慎重に行動していたら、あるいはパニック障害がなければ、アイアンマンはもっと強いはずだ。今回のアイアンマンは苦戦しているけど、本来の力を発揮すれば、もっと楽に敵を倒せたはずだ、という具合に。
 観客の目には、決してスケールダウンには映らない。だが、トニー・スタークの個人的事情が、アイアンマンとアベンジャーズの闘いの軽重を説明している。

 とはいえ、スーパーヒーローの存在意義とは、人を助けることである。ただ、強い敵とバトルをするのがスーパーヒーローではない。
 映画の中で敵の攻撃により、12人の人間が命の危機に直面する。救出に向かうアイアンマンだが、エドウィン・ジャーヴィス(コンピュータ)の計算では、助けられるのは4名が限度という。超困難な状況でもアイアンマンは、12人全員の命を救うために全力を尽くす。それでこそスーパーヒーローだ。
 トニー・スタークって、傲慢で減らず口なんだけど、いい奴なんだよな。

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Last updated  June 2, 2013 07:24:56 PM
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