乳がんに気づくまで




1997年 5月の中旬 会社の所属部長の送別会があった。

普段なら みんなとわいわい楽しく盛り上がるはずなのに

 なんとしてもしんどくて そんな席にいるのが耐えられず

 そうそうに帰宅した。

飲みに出るといつも午前様の私が

 予想外に早く帰宅したことに 夫も驚いていた。

そのころから 何とも言えぬ倦怠感で 仕事をするのも大儀で

少しでも 休んでいたいと思うようになっていた。


そんな時 同僚の友人で占いに凝っていた人がいて

 会社の女性社員全員の占いを印刷して持って来てくれた。

その占いの私の未来像の人形は 黒く塗られて お先まっくら状態

それを見て はっと頭に思い浮かぶものがあった。

毎朝見る鏡に映る私の右目に輝きがなく

 数日前から ふと触ってみた右胸に硬いしこりがあることを・・・


それは 日を変え 時間をおき 何度触れてもそこに動かずにあった。

これは なんだろう まさか まさかと

 思うだけで 血の気の引く病名だった。


確かに 乳がんになる確率は高いとずっと思っていた。

妊娠中毒症で 急性腎炎を患い 子どもには母乳を与えていなかったし

 何度か流産の経験もあった。

乳がんのハイリスクファクターであったから 常に乳がんチェックはしていた。


7月になり ひょっとしたら乳腺炎かもしれないと受診した 乳腺専門外科で

 いつもと違う検査をされ 細胞診をしますと

 針を刺されたところで 私は 覚悟を決めた。

診察後 医師は「即 手術ですね」と冷たく言った。


その時は その言葉を冷静に聞くことが出来た。

しかし 家に帰り 一人で 考えていると頭の中が真っ白になった。


その夜は 全く眠れなかった。

乳房を失う・・・・・

  そんなことは 絶対 イヤだと 心の中で叫んでいた。






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