放浪の達人ブログ

コムローイ祭り


皆さんはコムローイ祭りというのを知っているだろうか?
「ああ、アレね。知ってる」って人はなかなかいないだろう。
コムローイ祭りというのは英語ではランタン・フェスティバルといわれ、
文字通り熱気球の原理でランタンを空に上げる祭りである。
ディズニー映画の「塔の上のラプンツェル」のモデルになった祭りで、
一斉に数千個のランタンを空に飛ばす風景は世界で最も美しい祭りと呼ばれている。
ポール・マッカートニーも最新のワールドツアーで「LET IT BE」を演奏する際、
そのランタンが一斉に上がるシーンをバックスクリーンに映し出している。

僕はその祭りの存在を知らなかったのだが、妻が行きたいと言ったので、
じゃあ行きましょうってことで調べてみるとタイのチェンマイ北部で開催されるようだ。
ネットで調べると11月の満月の夜に行われるということだが正式な開催日程は不明。
11月の4日だろうと予測して飛行機のチケットを買った。
コムローイ祭りの開催場所もチェンマイ北部の大学内だとか仏教寺院だとか
情報が乱れ飛んでいたのでその辺りの宿を前後3日間予約して出発。
出発間近になって開催日は11月3日と発表された。

コムローイ祭り当日までタイとミャンマーの国境近くの田舎のコテージで
のんびり何日か過ごした後、コムローイ祭り参加のために移動した。
このコムローイ祭りが開催される場所に入るにはチケットが必要だが、
世界中の旅行会社が押さえてしまうため極めて入手困難、しかも恐ろしく高額だ。
会場周辺には世界中の旅行者がランタンが一斉に上がるのを見ようといっぱいだ。

夜の8時頃、会場から数千個のランタンが一斉に飛ばされた。
もう圧巻である。周りは歓声や悲鳴、溜め息でどよめき立つ。
空を見上げる。あまりの美しさに鳥肌が立ち涙がこぼれそうになる。
数千個のランタンは満月に吸い寄せられるように天高く舞い上がって行く。
僕達夫婦も1つ200円ほどでランタンを買って空に解き放った。

ランタン下部に付けられたロウが燃え尽きるまで多分30分ぐらいだろうか。
燃え尽きるまでランタンは空高くどんどん上がって行く。
まるで天の川のようだ。いやそれどころか頭上はランタンで埋め尽くされている。
こんな夢のような美しいシーンを見ることが出来るなんて。

横を流れる小川では同時に精霊流しが行われている。
火の祭典という面では花火大会と同じだが、気分が全く違う。
花火大会との違いは「祈り」である。
空にランタンを打ち上げる時、人は祈るようにランタンの行方を見つめる。
夢、願い、祈り、それらを乗せてランタンはどこまでも空高く昇って行く。
こんなにも儚く、こんなにもスピリチュアルな祭りは世界の祭りでも稀有だろう。

【放浪の達人ブログ】ではこのコムローイ祭りの動画を載せているので、
興味のある人はぜひ検索してアクセスしていただきたい。
だが動画を見るのと実際に体験するのとでは大違いだ。
生きているうちに皆さんにも1度は体験していただきたい。
あ、なんだかタイ観光庁の回し者みたいなエッセイになっちゃった。


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