放浪の達人ブログ

セルフタイマー



高校時代からの親友と山の中にピクニックに行って来た。
彼とは何度も星空を眺めながら野宿したことがあるのだが
最初に一緒に野宿をしたのは高校1年の夏だったなあ。

今回のピクニックは朝10時過ぎに登山口を出発して
連続する滝を見ながら吊り橋を幾つも渡って紅葉を楽しみ、
遅い昼食を山の中の滝壺のほとりで食べた。
紅葉最盛期の間近なのに最深部の滝まで誰も来ることがなく
完全な貸切状態で秋の森を満喫したのだった。

最近はデジカメを使って記念写真を撮る人達は少ない。
ほとんどの場合はスマホでパシャリである。
スマホでの撮影は腕を伸ばしての自撮りスタイルだ。
俺はスマホもガラケーも持つのが嫌いなので所持していないから
今回のピクニックでもデジカメを三脚にセットして写真を撮った。
まず同行者に吊り橋の真ん中に立ってもらい、
俺がセルフタイマーをセットしてシャッターを押して
10秒のタイマーの間に猛ダッシュして吊り橋まで走る。
構図に入る場所まで走ったらピタッと止まってカメラにポーズ。
ちゃんと写ったかカメラの元に戻って画像の確認。
「よしよし、写ってる」という定番の行動である。

しかしこの一連の行動は傍から見たら虚しく見えるだろうな。
前にもスリランカの砂浜で大きな砂山を作ってトンネルも掘って
デジカメをセットしてセルフタイマーの10秒の間に砂山の所まで走って
ポーズをつけて撮影してからまたデジカメの所まで戻り、
ちゃんと撮れてるか確認してというのを数回繰り返していたのだが、
ハッ!こりゃ虚しい!誰かに見られてねえだろうな?とキョロキョロして
(中年男性が独りで大きな砂山を作ってること自体が既に虚しいのだが)
不審な行動が更に不審さを増す行動となっていたものの、
幸いにも誰もいない広大な砂浜だったので目撃者などおらず
静かなさざ波の音だけが聞こえていただけであるが、
その波の音も何だか虚しく寂しく聞こえたのは言うまでもない。

さて前述の吊り橋での記念写真もちゃんと写ってはいたが、
中年男性2人の笑い声が静寂の森の中でこだましていたのは
実にシュールというか不気味なものである。

最近は観光名所で自撮り撮影をしている人達をよく見かけるが、
アイドルのようなヒラヒラのスカートやら日傘なんぞを小道具にしたり、
中にはどこぞのアニメのコスプレまでしている人もいたりして
インスタ映えするようにポーズをとっているんだが
決して我に返ってはいかんぞ、急に虚しくなるからな。
現場では周りの視線は気にせず楽しく人生を過ごそうではないか。


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