知的漫遊紀行

私：「 宙に浮いた年金 」5000万件の責任論は興味があるね。

Ａ氏 ： 民社党の菅氏の責任 だと書いた 自民党の広報ビラは修正される ようだね。
　しかし、 街頭演説で白昼堂々菅氏の責任だと言った安倍首相はどうするのかね 。
　「 他人に責任を転嫁する 」というのは「 美しい国 」を掲げる人がすることかね。
選挙に勝ちたいためには、なりふりかまわないという本性 が、突然、発生した事の重大性に驚いてつい出てしまったのかね。

私 ：手厳しいね。
　君はこの年金記録の問題は誰に責任があると思うかね？

Ａ氏 ：やはり、社会保険庁の問題だから、 歴代社会保険庁の長官 が大きな責任があるのではないの？

Ａ氏 ：その 総理 は 自民党員多数の国会 が選んだ。
　その 自民党議員 は 国民 が選んだ。
　そうなると、 まわりまわって棄権した人を含め国民の責任 だね。

私： 太平洋戦争の戦争責任 が問題になったとき、すぐに「 一億総懺悔 」と言われ問題を起こしたことがあったね。
　これと論理が似ているね。
全員責任は結局、全員無責任につながるね 。
　しかし、今回の問題の直接的な原因は、 現場の単純作業ミス らしいね。
　「 秀一 」で読みは「 しゅういち 」なのに社保庁の入力が記録は「 ヒデカズ 」で別人になっているかもしれない。

Ａ氏 ：それを 確認しないで勝手に自分の解釈で入力 していたという報道だね。
　あるいは確認のため、 市町村に電話しても連絡がすぐ取れないと面倒なので自分の独断の読みで入力 したという。
　疑問点は上司に聞けばいいではないの？

私 ：それが社会保険庁長官の責任かね。
　厚生労働大臣の責任かね。
別に専門知識があるかの問題でなく、大人の常識だよ 。
　戦争は相手があるが、これは相手のない自己責任の単純業務だよ。
自己の仕事ぶりとの戦い だよ。
　戦略の責任も戦術の責任もないね。
　典型的な自己責任だよ。

Ａ氏 ： 社会保険庁 は組合である 自治労 の力が強く、余裕ありすぎの仕事だったらしいね。
　パソコン入力も休憩が多かったという。
　これが問題としてとりあげられているね。

私 ：それは別の見方もできるね。
余裕が十分あれば、疲れもなく丁寧に仕事ができ、入力ミスは少ないはずではないの？
どうも、責任のなすりあいばかりで 入力作業者の現場イメージ が湧かないね。

Ａ氏 ：君は確か、この１９８０年代にはコンピュータ嫌いではなかったの？

私： １９８０年頃、友人がいた中堅の問屋が倒産しそうになった。
バーコード時代 の前だね。
　相談されたので現場を調べに行ったら、 原因は単純で売上げの入力ミス だと分かった。
　全国、２０くらいある営業所と関東と関西にある倉庫とオンラインでつながっていたシステムだった。
　売上げと在庫の出庫がリンクしていたから、在庫もあわない。
コンピュー在庫にマイナス がたくさんあった。
　月末の請求書も合わない。
　顧客は離れていく。
　経営データは混乱しており、これが経営を直撃していた。

Ａ氏 ：結局、どういう手を打ったの？

私 ：早急に、 オンラインからもコンピュータからも撤退 し、 電卓に戻すようにと 提案したよ。
会社幹部はショックで最初は抵抗したが、創業社長の決断で、１年かかって撤退し、危機を脱し、業績を回復したよ。
撤退 していなかったら今頃会社はなかったね。
　３年後にシステム設計を変えてコンピュータに戻ったがね。

Ａ氏 ：製造業でも似たことはあったの？

私 ：やはり１９８０年代だと思うが、知っている中堅会社の コンピュータ在庫がマイナス していた。
　ところが、棚卸しは一部の在庫だけやり、後はコンピュータ在庫をもとに決算していた。
　決算が問題になっていると思った。
　そこで、 きちんと棚卸しをしてもらったら、１５億円くらい棚卸し在庫減となった。
もろに、赤字につながる。
　その会社の当時の利益は１０億円程度だったから、 実際には５億円ほど赤字だね。
それなのに税金を払っていたことになる。
上場会社だったから公認会計士も問題 だね。

Ａ氏 ：今は社会保険庁のコンピュータシステム倒産だね。

私 ：社保庁の実状は詳細に分からないが、現状の報道ではソフトの本質的な問題でなく、 長い間続いた入力作業者とその直属の上司の怠惰なミス しか考えられないね。
　残念だがね。

　上は下がしっかりやっていると思っているという 上層部無責任の日本型 だね。