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私
:どこかの書評でとりあげていたので、図書館に予約しておいた。
大分待って借りることができた。
横浜市図書館にはこの本は2冊あるが、俺の後まだ、 21人の人
が待っている。
ところで、この本は、 本文は560頁を超える大著
だね。
本の最後にある 引用文献リストだけで40頁
あり、 数百の引用文献
があげられている。
メインテーマ
は副題にあるように、 トヨタがいかにフォードから学び、かつ、独特のトヨタ生産方式を生み出しかを詳細に、文献を元に辿っている。
A氏 :製造業の生産管理をしていた君にとっては得意な分野だね。
私
:そうだね。
俺たちくらいの年代でないと、すらすら読めないような 工場管理用語
が登場するね。
しかし、いくら 製造業経験者
でも、 高度成長時代で、アメリカの製造業のいろいろな生産管理手法を学んで応用してきた人
でないと、この本はすらすら読めないだろうね。
俺の現場時代に学んで、応用してきた なつかしいアメリカや日本で考え出した生産管理手法の名前
が多数登場する。
ところで、この本の題名の「 ものづくりの寓話 」という意味がピンと来なかった。
A氏:「 寓話 」というと「 教訓又は諷刺を含めたたとえ話 」と辞書にあり「 イソップ寓話 」が事例としてあげられているね。
私
:ところが、この著者が意味する「 寓話
」はこれと異なるね。
これがこの本の最後に書いてある。
英語の「 fable
」の意味の中で、日本語の用例にない「 多くの人々が真実だと信じているが、間違っている説明や言説
」という意味に用いている。
フォードからトヨタが何を学び、そしてトヨタ生産方式はどのようにして生まれたかについて、 世間で言われていることに間違いが多いということを指摘している本
だね。
著者が、この本をまとめるきっかけになったのは、ある社長が
「 戦後、トヨタがどうして大きくなったのか
。
あの生産システムがどうして出てきたのか。
いろんな本が出ているけれども納得できない。
トヨタのことをちゃんと書き残すというのは学問的に重要ではないのかね」
と言われてことだという。
フォード
も教科書的には コンベヤーシステム
で大きなコストダウンをしたということだが、 それも実態と違うと言う。
コンベヤーシステムの前の工場は、平屋でなく、もう、上の階から組んで下に降りるという流れになっていたし、 組立部品の互換性
もよくなってきたという背景もある。
著者は、 賃金を一挙に倍の5ドルにしたことも背景
にあるとしているね。
それに、 トヨタ生産方式の特徴のように言われている「混流生産」
もすでに アメリカの自動車ライン
では行われていたという。
A氏 :「 混流生産 」?
私 : 1つの組立ラインにいろいろな車種を流す生産方式 だね。
この厚い本を読んで、感じたことは、 トヨタ生産方式は、現場リーダーの改善能力が基礎をなしていた
ことだね。
その 改善能力
も アメリカで体系化された改善手法を現場がうまく吸収
して成熟させているね。
精神論ではないね。
しかし、それが今、 日本のものづくりの現場
で崩れているね。
それが残念だね。