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Ryu-chan6708

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2016.08.08
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 今週、特に興味を引いたのは、 下記3冊

1. 井手英策〈著〉 『18歳からの格差論 日本に本当に必要なもの』

2. 柴田悠〈著〉 『子育て支援が日本を救う 政策効果の統計分析』

この2冊 京大教授 ・諸富徹氏 が一緒にとりあげたもの。

今の日本は、貧困と格差は拡大 するばかりだが、「 成長がすべてを解決する」という神話は、めっきが剥がれ落ちた として、ここで取り上げる 2人の気鋭の若い研究者 は、 こうした論理を転倒 させ、 貧困と格差の克服こそが先決 であり、 それが日本を救い、成長を可能にするというのだというものだ としている。

『18歳からの格差論』 では 著者 は、 従来の発想を転換 し、 貧困層に限った救済ではなく、子育てや教育、医療など人間に共通して必要なサービス を、 すべての人々に対して(無償で)保障する社会の構築 であり、 その費用 は、 全員が(所得に比例して)負担 する。

こうすれば、 すべての人々が受益者となり、お互いが、いがみ合う必要はなくなる

は、 政府から一方的に取られる負担か ら、 暮らしのための分かち合いへと転換され、格差も是正される という。

『子育て支援が日本を救う』 では、 著者 統計分析 によって、 子育て支援と就労支援の充実が、子どもの 貧困率 を引き下げ、女性の労働参加率や出生率、労働生産性を高め、経済成長率 を押し上げる と明らかにした。

そのために 必要となる予算 は、 所得税の累進化 相続税の拡大、資産税の累進化 などの組み合わせで 十分に捻出可能だと試算 するという、きわめて 説得的な改革案 だという。

社会保障 は、 日本ではほぼ高齢者への政策 を意味してきたが、 いまや大きな政策転換を行うべき時期に来たのではないだろうか 評者 は言う。

3. 『コンビニ人間』 村田沙耶香〈著〉 評・斎藤美奈子(文芸評論家)

 これは今回、 芥川賞をもらった作品 だ。

子どもの頃 から世間とずれており、家族の心配の種だった 主人公恵子 は、同じ制服を身にまとい、 接客マニュアルを体得 し、 コンビニ店員になった日に次のように確信する

 「 そのとき、私は、初めて、世界の部品になることができたのだった。(略)世界の正常な部品としての私が、この日、確かに誕生したのだった

以来18年間 彼女は同じコンビニでアルバイトを続け 36歳、独身、恋愛経験なしのまま。

こういう人が周囲にいたら就職も結婚もしないで大丈夫とか思うのが「常識」 だが、 小説 そんな世間の「常識」を逆手 にとり、 コンビニ人間という生物の目から見た、世間の人々のあやしさをこれでもかと描き出す 水槽の中の魚が人類の生態を観察するような視点でと評者は言う

 そして、 新種のプロレタリア文学 で、 恵子 が暮らすのは 労働疎外の先にある世界 であり、 読者はときに哄笑し、ときに冷や汗をかきながら、景色が反転する感覚を味わうだろうと評者は言う

明後日の10日発売の文藝春秋9月号 にこの小説が掲載されるだろうから、買って読んでみたい。

著者自身も現在コンビニ店員だ というのも興味をひく。






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Last updated  2016.08.08 22:36:26
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